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食事革命 vol.8 野菜の摂取量とベジブロス。

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vol. 8 野菜の摂取量とベジブロス。

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野菜の中でもキャベツの仲間、アスパラガスは大好物。自宅でも外食でも口にすることが多い。
野菜はカラダにいい。多くの人はそんな漠然としたイメージで、なんとなく野菜ジュースを飲んだり、サラダを食べたりしているのではないだろうか。実はかつては僕もそのひとりだった。
でも、食事や栄養のことに興味を持つようになり、野菜の重要な役割というものについて改めて知ることになった。

3大栄養素の糖質、脂質、タンパク質は野菜に含まれるビタミンがないと効率的に使われずに余ってしまう。糖質や脂質はビタミンB群の助けを借りて初めてエネルギーとなり、タンパク質から作られるコラーゲンの合成もビタミンCなしにはうまく運ばない。

さらに、野菜に豊富に含まれている食物繊維は体内の余分な脂質を排出してくれる大事な役割も果たしてくれる。

僕は男にしては珍しく、子どもの頃から野菜が大好きだった。でも、そんなふうに栄養のことを考えて食べていたわけではない。それにあまり食欲のない朝食では、卵とパン、卵とおにぎりというように十分な野菜が摂れないこともしばしばだったのだ。

管理栄養士の石川三知さんからはこんなアドバイスをいただいた。

[ 石川さんコメント ]

ミラノで購入しやすく、なおかつおすすめなのはブロッコリーや芽キャベツなど、アブラナ科の野菜です。これらは抗酸化作用が高く消化吸収の負担が少ない野菜だからです。また、アスパラガスもおすすめです。エネルギー代謝に関係するアスパラギン酸をはじめ、疲労やストレス対策、赤血球の増加に関わる栄養素が豊富。私も栄養指導をしている選手には、カラダをいたわりつつエネルギー効率を上げるこれらの野菜をすすめています。

自宅での食事はもちろん、クラブハウスでも外食でも選択肢があればどんどん野菜を摂るべし。そんな助言を受けてから、僕の野菜摂取量は以前より格段に増えたと思う。

自宅では1食につき、10種類以上の野菜を摂っているし、外食をするときもサラダはマスト。それともう1品、アスパラガスやホウレンソウなどの野菜が使ってある料理を頼むようにしている。クラブハウスの食事でもボリュームのある野菜のひと皿を確保するようになった。

野菜本来の味が
楽しめるようになった。

すると、不思議なことに味覚に変化が表れてきたのだ。以前は野菜を食べるときに市販のドレッシングをたっぷりかけていた。そうでないと美味しく感じなかったのだ。それが今では、少量の塩とオリーブオイルのみでシンプルに野菜そのものの味を楽しめるようになった。素材の味、食材が持っている本来の味が分かるようになったのだ。

「この野菜、こんなに甘みがあったんだ」
「調味料をたくさん使って味付けしなくても十分美味しい」

そういうことに気がつくと、食事が俄然、楽しくなってくる。メンタル的にも、自分は今カラダにいいものを食べているという前向きな気持ちが強くなった。同じものを食べるにしても、それが実になっていると思うか否かで消化や吸収の効率も変わってくるのではないかと僕は思っている。

こうして添加物の多い調味料を使うことはほとんどなくなり、自宅での食事の味付けはどんどんシンプルになっていった。今では逆にサラダにドレッシングなどがかかっていると、食が進まないほどだ。

さらに、もうひとつ、野菜の摂り方に関してこんな変化があった。これは姉の麻歩が今年になって取り入れてくれたのだが、「ベジブロス」という野菜の出汁を使うようになったことだ。
ベジブロスの材料は、野菜の種や皮、ヘタなど、普通は捨ててしまうような、いわゆる「野菜くず」だ。

ここに実は抗酸化物質をはじめとする野菜特有の栄養が豊富に含まれているという。

皮には紫外線や土の中の細菌などから実を守るための、種には子孫を残すための、ヘタには葉を成長させるための機能性成分がぎゅっと詰まっているのだ。

材料はとくにこれでなければいけないというものはない。たとえばピーマンの種、ネギの青い部分、タマネギの皮、ニンジンやトマトのヘタ、パセリの茎……。種類を問わず5種類以上の野菜くずを使うのがコツらしい。

作り方は至極簡単。両手一杯の野菜くずを鍋に入れて酒と一緒に煮込んで漉すだけ。この出汁がどんな料理にでも応用できる。といっても、僕が作るわけではないのだが。

姉によると、野菜を余すところなく使えて無駄も出ないし、しかも栄養を丸ごと摂れることが何よりのメリットだという。しかも、動物性の出汁と違ってマイルドな甘みや旨みが引き出せるので、料理の味わいが深くなったのだとか。

食べる専門の僕もそう思う。ひょっとすると、食事を変えてから味覚が鋭くなったように感じるのは、このベジブロスがひと役買っているのかもしれない。
ちょっと料理の腕に覚えのある男性なら、手軽に取り入れられると思う。ぜひ試してみてほしい。


アブラナ科の野菜
他の野菜に比べ、含まれている栄養素の種類や量が多いのが特徴。キャベツやカブなども代表格。
ベジブロス
ホールフード協会が啓蒙している野菜活用法。「ベジ」=「野菜」、「ブロス」=「出汁」の意。
機能性成分
トマトのリコピン、タマネギのケセルチンなど色や香りなどの成分で、ファイトケミカルともいう。



YUTO NAGATOMO

●ながとも・ゆうと 小学校1年でサッカーを始め、東福岡高校、明治大学を経てFC東京でプロデビュー。2010年イタリアに渡り、現在インテル・ミラノに所属。

構成/石飛カノ 撮影/中島慶子 監修/石川三知(Office LAC-U)