マガジンワールド


Tarzan Editors No. 669 定例より

From Editors 定例より

その看板を見るとハズレ馬券を思い出す。 の巻

とつぜんですが、いつもの窓の向こうにはなにが見えます? 家であれば隣家、木立、駐車場、公園の風景、オフィスであれば隣のビル、商業施設、工場や倉庫、あるいははるか先を見透かせば青空のむこうに山や海が見える人もいるでしょう。いつもの席で、矩形にきりとられた空間に目をやったときに自分がいちばんほっとするのは土曜競馬をやるいつもの飲み屋の席で、窓のむこうに立ち食いうどんの看板が見える、その景色です。なんてことのない眺めなんですがね。

ところでJUNGLEGYMの取材で先日、フェルディナント・ヤマグチさんと防衛省にいってまいりました。その模様はぜひ、本誌でご覧いただきたいのですが、その際にさっそく、広報の方に省内を見学させていただきました。その広報のかたがあるところで足をとめました。「彼はこの窓から外にでていきました」。1970年11月25日。窓から出られるそのバルコニーには、拳をふりかざし、集まってきた自衛官むけて檄をとばす1人の男がいたのです。彼は窓の外になにを見ていたのでしょう。未来でしょうか、過去でしょうか。学生時代、あまり熱心な読者とはいえなかった自分はその日、ひさしぶりに彼の本を手にとりました。

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●担当:編集KH