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「いつかは別れがやってきてしまうもの」愛するジャックラッセルテリア達と過ごした出会いと別れの17年間。

「いつかは別れがやってきてしまうもの」
愛するジャックラッセルテリア達と過ごした出会いと別れの17年間。

 
『Hello Again また会う時の約束。』著者イワサキユキオさんインタビュー

3匹の子犬の誕生とその旅立ちの日々を、美麗な写真と繊細な文章でつづった2004年のベストセラー写真集『Say Hello! あのこによろしく。』。
著者であるイワサキユキオさんと、ジャックラッセルテリアの母犬ルーシー、その子犬たちが過ごす幸せに満ちた毎日と、子犬2匹の巣立ちは、多くの読者の感動を誘いました。
あれから14年。イワサキさんはルーシーと、家で飼うことに決めた末っ子ハンナの2匹と暮らしてきました。愛する2匹と過ごすかけがえのない日々、そして訪れるルーシーとの別れ。今作『Hello Again またあうときの約束。』は、ペットを飼っている人だけでなく、誰もが経験する大切な存在との別れを考えるきっかけになる一冊です。

著者のイワサキユキオさんにルーシーやハンナとの思い出、そして本に込めた想いを伺いました。

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イワサキさんに抱かれて、ハンナも嬉しそう!


―――ハンナ、とても可愛いですね。上目遣いにやられました。

ありがとうございます。この子は「可愛い」と言われ慣れているところがあって(笑)。「うん、知ってる」みたいな表情をするでしょ?

―――確かに(笑)。撮影中も怖がったりせずに、イワサキさんの隣でリラックスしていました。普段、だいぶ甘やかされてるんじゃないですか?

けっこう甘々な飼い主なんです(笑)。小さいころは厳しくしつけていたんですけど、大きくなってからは、ハンナが幸せだったらそれでいいかなと思って。美味しいものを食べて、ストレスがないほうが犬にとっても良いですよね、きっと。

―――その通りですね。ハンナがうらやましいです。お料理もなるべく手作りしているそうで。

手作りだと犬の健康にも良いですからね。本にも書いていますが、体臭がなくなったり、毛づやもよくなったんですよ。

―――手作りのお誕生日ケーキも豪華でしたね!

結構こだわっています。全粒粉の生地にサツマイモのクリーム、水切りヨーグルトを使ってブッシュ・ド・ノエルを作ったり。レシピもオリジナルなんですよ。20代後半に製菓学校に通っていたこともあって、お菓子作りの経験はあるんです。まあ、あのときは犬のためにケーキを作ることになるなんて思ってもみなかったんですけどね(笑)。

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手作りのケーキはとてもカラフルです。プロも顔負けの出来!



―――まだその頃はルーシーとも出会っていませんもんね。ルーシーやハンナと色々な場所にお出かけされているのも印象的でした。

普段の散歩だけでなくて、写真を撮る目的で遠出もします。ドッグフレンドリーなお店を中心に、外食やショッピングもしますよ。学芸大学のクレープ屋さんなど、ハンナが小さな頃から可愛がってもらっているお店もあります。

―――そういえばソフトクリームを2つあげている写真も載っていましたね。ハンナもなかなか食いしん坊なんですね。

いえ、あれはボクが2つとも食べちゃいました(笑)。

―――(笑)。

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上目遣いのハンナ。こんな目で見られたら甘やかしちゃいますね。


―――ルーシーやハンナと過ごした日々をまとめたものが前作『Say Hello! あのこによろしく。』であり、今回の『Hello Again またあうときの約束。』ですよね。1日に何枚くらい撮られていたんですか?

そうですね……。ハンナが生まれたころは、日々成長があったので毎日50~60枚。多いときは100枚以上撮ってましたね。

―――100枚! それだけ可愛かったということですね。ちなみに、写真を撮るときの工夫はありますか?

犬の目線と同じ高さで撮ることを意識していますね。僕らが普段見ているのとは全く違う景色が見えてくるんです。「そうか、犬たちはこういう風景を見ているのか」と考えると面白いですよ。

―――なるほど。確かに写真を見ているうちにルーシーやハンナに感情移入している自分がいました。

目線の高さが、そう感じる理由かもしれませんね。例えば、犬にとってのお花見は、桜が散ってからなんです。僕たち人間は上を向いて、咲いている桜を見るけれど、犬はそうじゃなくて、地面に散った桜を見ています。

―――犬の目線だからこその発見がありますね。たくさん撮られている中から、お気に入りを選ぶとしたらどうですか?

う~ん…。この本で選ぶなら、何気ないときの、ルーシーとハンナがくっついている写真ですかね。
親子の関係が出ているというか。何でもない日常の一枚なんだけど、とても好きな写真です。

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親子水入らずのひととき。背中にぶちがあるのがルーシーです。


―――2匹のホッとした様子が伝わってきますね。

もう1枚は山に出かけたときの写真ですね。東山魁夷の『緑響く』っていう有名な絵があるんです。木々の鮮やかな緑の中に白い馬がいて、それらが鏡のように湖面に映っている様を描いた、とても綺麗な絵です。この写真は、長野県に行った時に、実際に東山魁夷がその絵を描いたのと同じ場所で撮ったんです。ルーシーとハンナが白い馬のようにも見えて、湖面に映る木々が上下対称、2匹が左右対称になっていて。奇跡的なタイミングでシャッターが切れたんです!

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蓼科高原・御射鹿池にて。一面の緑に、ルーシーとハンナの白さが際立ちます。


―――様々な偶然が重なった1枚、何度も見返したくなりますよね。

見返すたびに撮ったときのことを思い出しますね。『Hello Again またあうときの約束。』に載せたのは全部が全部、思い出深い写真なんですけど、今挙げた2枚は特にお気に入りです。

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様々な思い出を振り返るイワサキさん。ハンナも興味津々。


―――写真を撮り続けていると、つらい思い出も残りますよね。

もちろんあります。でも、書籍化するにあたってほとんど削りました。特にルーシーの介護のときの写真は…。ルーシーが痩せていって、歩けなくなっていく様子もたくさん撮っていたんですけど、本にはあまり載せてないです。やっぱり見たくない人もいるだろうし、できるだけショッキングな写真は避けようと思って。

―――ルーシーが亡くなったときのことを文章にするのは、やはりつらい作業でしたか?

実は、ルーシーを介護しているときのエピソードは、亡くなった夜に一気に書いていたんです。もちろん本を作るときに付け足したり削ったりはありましたが、忘れちゃいけないと思って、その夜に書き留めておいたものがベースになっています。

―――思わずページをめくる手がとまる部分でした。イワサキさん自身、文章にすることで気が楽になった面もありますか?

ずっと溜まってたものを吐き出すというわけじゃないけど、文章にすることによって、ルーシーへの想いを振り返ることができました。もちろん、ルーシーの晩年はつらいものでしたが、感謝の気持ちを再確認する日々でもありました。亡くなったその日は、そばにいてあげたいって気持ちもありましたし、寝ずに文章を書いていましたね。

―――ルーシーが弱っていくことを、ハンナも寂しがっていましたか?

ルーシーが脳の病気になってからは、それまでと性格も変わりまるで別の犬のようになっちゃって。サークルの中でぐるぐる回ったりしていたので、ルーシーが近づくとハンナも怖がっていたんです……。
でも、ルーシーが亡くなってからはずっとそばについていました。やっぱり犬も分かるんですかね。亡くなってしばらくは、食欲も落ちて、ハンナもショックを受けていたんだと思います。

―――生まれてからずっと一緒の存在ですしね……。ハンナにルーシーの面影を見たりすることはありますか?

ハンナの耳が垂れるとルーシーにそっくりなんですよ。だからルーシーに会いたくなったときには、こうやって耳を押さえるんです。ハンナは迷惑そうにしてますけどね(笑)。
それと、ルーシーがいるときはこんなに食いしん坊じゃなかったんですけど、よく食べるようになって。そういうときに、まるでルーシーが乗り移っているみたいに感じます。
そんなハンナも、人間でいうともう80歳です。

―――犬は飼い主を追い越して成長しますよね。それが頼もしくもあり、切なくもあります。

犬を飼っている人すべてに言えることですよね。いつかは別れのときがやってきてしまうけれど、飼い主には最後の最後まで看取る責任があります。犬は先に逝ってしまうものだけれど。

―――私は『Hello Again』を読んで自分の親の顔が浮かびました。いつか別れがきてしまうんだと……。

そうですね。同じジャックラッセルテリアや、犬を飼っている人が読んでくれることが多いんですが、それ以外の人にも伝わる要素があると思っています。既に読んでくれた方の中には、家族や友人のことだけでなく、会社のことを考えたという人もいました。

―――会社……確かに別れがくるかもしれないのは、なにも動物や人だけではないですよね。

ルーシーと過ごした日々に、僕が教えられたことは本当にたくさんあります。それを読者の方に少しでも伝えられればいいなと。やっぱり犬好きの方に買っていただくことが多いんですが、それ以外の人にも手に取っていただきたいというのが僕のメッセージですね。もちろん、犬の話ではあるんですけど、家族や友人、同僚のことを考えるきっかけになる本でもあると思うので。

プロフィール
イワサキユキオ
1969年、石川県生まれ。CMの編集や、マネージメントの傍ら、趣味で自身の犬の写真を撮り続け、2004年、ほぼ日刊イトイ新聞で、「Say Hello! あのこによろしく。」の連載開始。
同年、同名の単行本(ほぼ日ブックス)を刊行。2006年には同名DVD(BMG JAPAN)の監督、編集、作詞などを務める。

現在、『Hello Again またあうときの約束。』を購入してインスタグラムに投稿いただいた方に、ポストカードをプレゼントするキャンペーンを実施中です。
詳しくはインスタグラムで、@helloagain_lucieで検索してみてください。


Hello Again またあうときの約束。

— イワサキユキオ 著電子版
  • ページ数:208頁
  • ISBN:9784838728367
  • 定価:1,404円 (税込)
  • 発売:2018.04.05
  • ジャンル:ペット
『Hello Again またあうときの約束。』 — イワサキユキオ 著

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