ブルータス恒例の特集「居住空間学」、今年のテーマは“特別な場所を作る”。住む場所、そしてそこを作っていく過程を、洋服や髪型以上に大事な個性と捉える人たちが建てた家たち。愛情をたっぷりかけ、経済事情は工夫と仲間の助けで乗り越えた、日本とLAに住む19組の特別な場所を紹介します。
今回、まず目立つのが、今までとはうってかわったイメージの表紙。このインパクトある建物は、北海道東部の別海町に立つサイロの家。アメリカ製のスチールサイロをカットして移設したのだとか。この家の主である渡辺北斗さんは、現代美術家の大竹伸朗さんが1年間住み込みで働いたこともある〈ウルリー牧場〉を営んでいると聞き、この家に住むのも納得。与えられた環境を受け止め、明るく逞しく住む姿は、「住む」ことを存分に楽しんでいました。
生活の拠点である自宅以外の「特別な場所」を紹介しているのも、今号の特徴です。いつもより穏やかに、あるいは賑やかに、気の合う仲間と集う場所。そのような家を4軒紹介。セルフビルドで手に入れた6坪のアトリエや、犬と遊ぶ湖畔のキットハウス…豪華な別荘でなくても叶えられる「特別」とは。海外編のLAでは、「光」をテーマに7組の住まいを紹介。ニュアンスに満ちたLAの光に促された、クリエイターの想像力の結集がここに。
「家を造ったらわかることがあるかもしれない。だって家って生活の全てでしょ」と、今回誌面に登場する住まい手のひとり、はったえいこさんは言いました。特別な場所がもたらす、いきいきとした暮らしぶりが、この特集には詰まっています。