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BRUTUS 823号:居住空間学 2016

BRUTUS No. 823

ブルータス恒例の特集「居住空間学」、今年のテーマは“特別な場所を作る”。住む場所、そしてそこを作っていく過程を、洋服や髪型以上に大事な個性と捉える人たちが建てた家たち。愛情をたっぷりかけ、経済事情は工夫と仲間の助けで乗り越えた、日本とLAに住む19組の特別な場所を紹介します。

今回、まず目立つのが、今までとはうってかわったイメージの表紙。このインパクトある建物は、北海道東部の別海町に立つサイロの家。アメリカ製のスチールサイロをカットして移設したのだとか。この家の主である渡辺北斗さんは、現代美術家の大竹伸朗さんが1年間住み込みで働いたこともある〈ウルリー牧場〉を営んでいると聞き、この家に住むのも納得。与えられた環境を受け止め、明るく逞しく住む姿は、「住む」ことを存分に楽しんでいました。

生活の拠点である自宅以外の「特別な場所」を紹介しているのも、今号の特徴です。いつもより穏やかに、あるいは賑やかに、気の合う仲間と集う場所。そのような家を4軒紹介。セルフビルドで手に入れた6坪のアトリエや、犬と遊ぶ湖畔のキットハウス…豪華な別荘でなくても叶えられる「特別」とは。海外編のLAでは、「光」をテーマに7組の住まいを紹介。ニュアンスに満ちたLAの光に促された、クリエイターの想像力の結集がここに。

「家を造ったらわかることがあるかもしれない。だって家って生活の全てでしょ」と、今回誌面に登場する住まい手のひとり、はったえいこさんは言いました。特別な場所がもたらす、いきいきとした暮らしぶりが、この特集には詰まっています。



CONTENTS

小池一子 —— クリエイティブディレクター ●東京都新宿区


特集
居住空間学2016

渡辺北斗 —— 酪農家 ●北海道別海町
オステアー・クリストファー —— アニエスベー カルチャープロジェクト ●東京都港区
奥村 忍 —— みんげい おくむら店主 ●千葉県船橋市
高下隆次 —— ミタカ代表取締役 ●大阪府大阪市

もうひとつの特別な場所を持つ4組の物語。
成瀬洋平 —— イラストレーター ●岐阜県中津川市
原田マハ —— 小説家 ●長野県蓼科高原
築地雅人 —— ドワネル オーナー/ビオトープ代表 ●神奈川県箱根町
郡司昌彦 郡司明子 —— ウィンドウディスプレイ・デザイナー/ドッグカフェ オーナー ●滋賀県大津市

古今東西、名作別荘から学ぶ特別な場所の作り方。

益子と読谷の家造りレポート。
はったえいこ —— スターネット ディレクター/トネリコ 主宰 ●栃木県益子町
岩村浩生 —— 庭師/庭と建築 ハーベストハイ!代表 ●沖縄県読谷村

住み継ぐ。
富士見の家 設計・アントニン・レーモンド —— ●東京都千代田区

Powered by Light
住み手の自由さと創作力を刺激するロサンゼルスの光。

BOOK IN BOOK
SUBARUの移動空間学。

連載 ヘンテコノミクス 第3話「スーパーおしの」の巻
作・佐藤雅彦、菅 俊一 画・高橋秀明

 

…and more!


From Editors 1

家を特別な場所にするために。
ふたつの考え方。

名作椅子や、ヴィンテージ家具といった華々しいものは何一つないのだけれど、そこにおいてあるものすべてについて、それぞれの履歴を一時間話すことができる。
都会に住むことにこだわりがある、だからこそ、その場所にある住まいは、コンパクトで機能的であればいい。余白の部分は、週一回、車で一、二時間かけて訪れるもうひとつの住まいに任せる。

住む場所に対するこだわりは、ひとそれぞれ。前者は、9年間居住空間学の取材で追いかけてきた達人たちの住まい。今回であれば、〈スターネット〉ディレクター・〈トネリコ〉主宰のはったえいこさんや、元鉄工所を大胆にリノベーションした、高下隆次さんの家。
後者は『居住空間学2016』づくりにあたってのリサーチの中でてきたキーワード〈もうひとつの家〉を手に入れた人たち。たとえば、小説家の原田マハさん、〈ドワネル〉オーナー・ビオトープ代表の築地雅人さん。ひとつの家に、居心地、趣味性、機能性などすべてを求めない。別荘というほど大げさなものではなく、二拠点三拠点をもって、役割分担させる。特別すぎない、特別な場所作りをしている人たちとの出会いがありました。

今年で9年目となる〈居住空間学〉、これまでのシリーズに負けず劣らずスゴい部屋はたっぷりと。でありますが、暮らしのスタイル=【家】というものをどうとらえていくか、あらためて考えるきっかけとなるような〈もうひとつの家〉を持つ人たちの話も聞きに行きました。

インテリアの参考に、家づくりの参考にはもちろん、家族の変化に伴う今後の暮らしのことや、もしかしたらお金とのつきあい方も。夢と現実を同時に想像できるような本になったと思います。

 
●杉江宣洋(本誌担当編集)



From Editors 2

2番目だけど、特別です。

「家のことは、2番目になっちゃうわね」

特集の巻頭で紹介しているクリエイティブディレクターの小池一子さんは、家と自分との関係を話しながら、カラリとそう言いました。1970年代から第一線で活躍し、今春から十和田市現代美術館の館長も務めるなど、80歳を前に益々多忙を極める彼女にとって、自宅の普請あれこれは、どうしても「2番目」になってしまうのだとか。それでも、どうでもいいってわけではなくて、人生の節目節目に手を入れ、思い入れのある家具やアートを配し、共に成長してきた生き物のような「大切な拠りどころ」。付かず離れず、じゃないけれど、その家との付き合い方のバランスが素晴らしく、改めて学ぶところ多し、の取材でした。

小池さんに比べて語るのもおこがましいけれど、家についての特集を担当している私もまた、家のことは、2番目になりがちです。そのへんの箱で代用している収納ボックスのことも気になってはいるものの、それどころじゃないんです今、みたいな日々の繰り返し。さあ、やるぞと取り掛かるのに何年もかかったりします。でも、そうやって、ちょっとずつでもいいから、我が家にときどき目を向けて、整えていくことが、「家の外」での自分を整え直すことになるんだなあ、と改めて思う次第です。

家は好きだし、特別な場所だけれど、家のことにばかり、かまけてもいられない。逆もまた真なりで、家のことにばかり、かまけてもいられないけど、やっぱり家は、自分にとって大切な、特別な場所。

今年で9年目になる「居住空間学」。今回訪ねた家とその住人の関係もまたいろいろです。100%の完璧は求めない人、自らの頭の中にある壮大な構想に向かって20年以上改装し続ける人…… 1年中家づくりとはいかなくても、年に1度は家のこと、その「いろいろ」をぜひ参考にしてみてください。

 
●岡野 民(本誌担当編集)




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