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BRUTUS 891号:曜変天目 宇宙でござる!?

BRUTUS 891号:曜変天目 宇宙でござる!?

BRUTUS No. 891

漆黒の肌に銀色の斑文、それを取り巻くオーロラのような光彩。あまりの美しさから“碗の中の宇宙”とも称される唐物茶碗「曜変天目」。現存するのは世界でたった3碗のみ。そのすべてが日本にあり国宝に指定されています。実はいま、この滅多に見ることのできない幻の茶碗が、東西の美術館で同時公開されているんです。奇跡の5週間(4/13〜5/19)をもっと楽しむために、茶人・千宗屋さん監修のもと「曜変天目」について掘り下げました。

そもそも「曜変天目」ってなに? どこで作られて、なにがすごいの? 本当に3つしかないの? などなど、基礎知識から風説まで中国陶磁史の専門家が徹底解説。そして東京・京都・大阪の所蔵元を訪ね、美術館の館長やお寺のご住職に話を聞くことで、数百年間の来歴や背後に広がる教え、「宝」としての在り方の違いなど、魅力の秘密を紐解きます。さらにブルータスは、千さんと一緒に「曜変天目」誕生の地、中国「建窯」へ。果てしない数の陶片が積み上げられた窯跡を訪れ、中国陶磁界のキーパーソンに会い、ベールに包まれた宋の茶文化に触れる。旅の終わりに千さんが導き出した曜変をめぐる謎の答えとは? 特別付録「2019年版 会いに行ける名茶碗図鑑30」もお楽しみに!



CONTENTS

ようへんてんもく……? 作画・井上 涼


特集
曜変天目 宇宙でござる!?

曜変天目、はじめの一歩。Q&Aで学ぶ基礎知識。

曜変天目 1碗目
東京・静嘉堂文庫美術館所蔵 曜変天目(稲葉天目) 世に類いなき、無上の茶碗。

実は似ている? 刀と茶道具の共通点。

曜変天目・制覇の旅 世田谷
緑の森を散歩しながら地元客の通う店まで。

「侘び」前夜、唐物数寄のグラマラスな世界へようこそ。

曜変天目 2碗目
京都・大徳寺龍光院所蔵 曜変天目 信仰とともにあり続ける茶碗。

「桃山の正倉院」としての龍光院。

曜変天目・制覇の旅 滋賀
進化する信楽のギャラリーで器探しの旅。

現代作家による曜変への挑戦。
愛知県・瀬戸 九代 長江惣吉/フランス・ブルゴーニュ ジャン・ジレル

曜変天目 3碗目
大阪・藤田美術館所蔵 曜変天目茶碗 仏教と美術と茶の湯をつなぐ。

始まりの地へ帰還する、懸け橋としての茶碗。

曜変天目・制覇の旅 奈良
早朝から暮れゆく奈良まで一日を過ごす。

千宗屋が曜変天目をめぐる謎を解き明かす。
中国・建窯ミステリーツアー。

歴史や流行をひとつかみ! 「東アジアの茶」年表。

Book in Book
2019年版 会いに行ける名茶碗図鑑30

DIOR
Pre-fall 2019 Men’s Collection in TOKYO

 

…and more!


From EditorsNo.891 フロム エディターズ

謎の多さが、特集の深さに。
「曜変天目」一点突破です。

2月に発売した特集「会田誠の死ぬまでにこの目で見たい日本の絵100」を担当して、限られたページ数のなかに100以上の作品をどう詰め込むかということに、ウンウン頭を悩ませていた頃。編集長より「次は曜変天目で特集を!」との命を受けました。

曜変天目。銀色の斑文とそれを包むような虹色の光彩が魅力というか、魔力を放つ世にも不思議な茶碗です。世界に3碗しか現存せず、そのすべてが日本にあり国宝指定。1つでもなかなか目にすることができない名品が、3碗同時期に公開されるという奇跡的な機会到来ということで、これを特集するのはBRUTUSの使命でもあります。うん。

ただ「100の絵」から「3つの茶碗」へということで、今度は3つしかないもので特集1冊作れるのかしらという悩みが浮上。「ちょっと時間をください」と一度棚上げさせてもらったのですが、今回の特集構成・執筆を担当してくれたライターの橋本麻里さんのレクチャーを受け、少し勉強しただけであっさり悩み解消。なにせ曜変天目は、その由来も、製法も、3つしか残ってない理由も、謎多き茶碗なのです。謎が多いということは、「掘れる」ということ。そして、3碗といっても、それぞれの伝来のなかで背負ってきた物語の違いがあることも知り。1冊特集ができる確証を得たため、曜変でGO!とあいなりました。BRUTUSがどれだけ掘れているか、ぜひ誌面で確認してください。

●中西 剛(本誌担当編集)



From EditorsNo.891 フロム エディターズ

3つの茶碗は孤高のアイドルのよう。

「3碗の曜変天目の同時展示は奇跡のような出来事である」。特集の構成をした橋本麻理さんのお話を聞くうちに、ミステリアスな生い立ちの3つの茶碗が伝説のアイドルであるような錯覚を覚えた。煌めく衣装。3人のフィンガースナップで始まる名曲のイントロが聴こえてくる。「♪君だけに ただ君だけにめぐり逢うために 僕はさびしさとともに生まれたよ」。3碗は同じ場所で見られるわけではない。同時期に日本各地の3つの美術館で開催される美術展に、それぞれが出展される。育った環境が違う3碗同士は、なかなかめぐり逢えないのだ。「♪君を見つめると僕の胸の中は 星が渦を巻く銀河に変わるよ」。曜変独特の光彩と斑文は、宇宙にたとえられる。3様の美しい銀河は人々に語り継がれ、国宝となり相応のオーラを身につけた。いつか3碗が同じステージに集結する日は来るのだろうか。未来に想いを馳せながら、3つの孤高のアイドルをこの機会にそれぞれ確かめに行きたい。

●神谷幸世(本誌担当編集)



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