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BRUTUS No. 799

「買う前に使う様子をイメージしますね。この定規で測ったら良さそうだなとか、このテーブルを囲んでみんなで何か食べたら楽しいんじゃないかとか、妄想を膨らませる。使う行為自体が楽しみになるのが、古いものの決定的な魅力だと思います」と語るのは、茅場町〈森岡書店〉店主の森岡督行さん。日々の暮らしの中で、愛着が持てる日用品を使うことは大事です。その日用品が、多くの年月を積み重ね、味や深みを増した古いものなら、なおさら使う楽しさは広がります。今号は「尊敬できる骨董品」。毎日を豊かに彩る生活の骨董が並びます。

スタートは、12人の「骨董品との付き合い方」。他からの評価ではなく、自分の価値観で選んだ骨董品とどうのように付き合っているのかを語ってもらいます。〈Swimsuit Department〉の郷古隆洋さんとは、東京、京都、大阪の骨董市を巡りました。フードスタイリスト・高橋みどりさんは、愛するワインバーに自信の古い器を持ち込み、料理を盛ってもらいます。また、ぜひ訪れたい名店で店主に話を聞き、その審美眼で選ばれた物を味わいました。骨董初心者は、ブックインブックを。テーマは「骨董品のはじめ方」です。

今号をヒントに、まずは生活の中に気に入った骨董品を1品。そこに盛られた料理や注がれた酒、生けられた花の味わいが、いつもと違って感じられることでしょう。

そして、今号と同時発売となるのが『合本・尊敬できる日用品』。2013年と2014年にリリースされた2冊の「尊敬できる日用品」特集を合わせて1冊にしました。こちらも一緒にご覧ください。


『第14回坊っちゃん文学賞』 青春文学作品、募集締め切り迫る!

夏目漱石の代表作「坊っちゃん」の舞台でお馴染みの松山市主催。大賞賞金200万円&マガジンハウス刊「クウネル」に掲載。応募に関する詳しい内容は、坊っちゃん文学賞ホームページまで!

http://www.bocchan.matsuyama.ehime.jp/


CONTENTS

特集
尊敬できる「骨董品」。

「骨董品」との付き合い方。

骨董市にて。
東京、京都、大阪、郷古隆洋と三都物語。

古い器を食卓に。 器スタイリング・高橋みどり

主と話す、ものを見る。

特別エッセイ
「骨董趣味」嫌い。 文・朝吹真理子

BOOK IN BOOK
骨董のはじめ方。
骨董をはじめる人のためのQ&A。/最初の骨董店ガイド。/
全国骨董市&イベントリスト。/骨董用語集。/骨董ブックナビ。

白とブルー。

「京都で骨董」は、こわくない。

骨董という病(ロマン)。 談・仲畑貴志

連載小説「ドルフィン・ソングを救え!」第八回 著・樋口毅宏

 

…and more!


From Editors 1

新しいものと同じ目線で、
古いものと付き合いたい。

お気づきの方もいると思いますが、『尊敬できる骨董品』特集は、おととし、昨年と発売した『尊敬できる日用品』という日用雑貨の特集が元になっています。朝、目が覚めて水を飲むグラスのように、普段何気なくつかっている日用品こそ、愛着をもって尊敬できるものを選びたい。そんな一文ではじまる企画でした。表紙は同じイラストレーターのノリタケさん。特集の構成も踏まえたところがありますし、親戚のような兄弟のような存在が、この特集です。

そもそも「新しいものと同じ目線で、古いものと付き合いたい」と思っていました。そこで今回、この骨董品特集と同じ日に、2回分をまとめたムック『合本・尊敬できる日用品』を発売しました。骨董品と日用品、お互いがお互いを補足してくれたら。

『尊敬できる骨董品』は、生活に即した「生活骨董」という考え方もあるのではないか、そこから始まった骨董品入門です。初心者にやさしい店があると聞けば行ってみる、京都ならここを訪ねるべしと聞けば、おそるおそる扉を開け……といったことを、繰り返し繰り返し。本誌で紹介しているさまざまは結構な数、自分が体験したそのままだったりします。

古いものにはあらかじめ時代をくぐり抜けてきた強い力が宿っている。求められて消えなかったもの。「残したい」と人に思わせてきた力がある。(平松洋子さん/エッセイスト)

長い時間が作り上げてきた質感が人の心を惹きつけるのは、古びていく過程で“自然”の姿に戻りつつあるからかもしれない。どこか自然の風景を眺める行為に近いのかもしれない。(『工芸青花』編集長・菅野康晴さん)

取材の中で、こんな素敵なことを教えていただくと、ますます自分の古いもの熱は続くような気がしています。たとえば「小皿一枚」でも、いろんなことを感じて考えられる。新たな生活の視座を教えてもらえたといいますか。
なんだかとりとめのない話になってしまいました。

 
●矢作雄介(本誌編集担当)



From Editors 2

付き合い方も、
価値の基準もそれぞれ。
骨董は人なり、です。

今回の特集を担当するにあたり最初に読んだ本が、コピーライターの仲畑貴志さんが2000年に書いたエッセイ集『この骨董が、アナタです。』でした。
骨董蒐集の世界にずぶずぶとハマっていくなかでの悲喜こもごもを軽妙なタッチで語る名著ですが、このタイトルは仲畑さんが雑誌で白洲正子さんと骨董対談をすることになり、自分が持っていた古い徳利を見せたときに言われた言葉が元になっているとのこと。
骨董は人を表す、ということなのでしょうが、今回の特集の取材で、骨董店主やコレクターなど色々な方に会うなかで、私自身がもっとも実感したところでもあります。

モノを見て、その持ち主に会うと、初対面でもすでに知っている人のような感覚になったし、同じモノを好きだと思えたら、なんだか友だちになれそうな気すらしちゃうのでした。勝手に。
数千円のものから数百万円のものまで値段はバラバラでも、持ち主それぞれにとっての価値は平等で。骨董品との付き合い方、考え方、向き合い方……そこに、人となりが出るような気がします。

冒頭で紹介した本の著者、仲畑貴志さんにも今回会いに行きました。
御年67歳の仲畑さん。「いまはそれほど骨董に対して血眼になってないよ」と言いながら、最後に「お気に入りのぐい呑みを撮らせてください」とお願いすると、「やっぱ唐津かな。あっ、それとも白洲さんに譲ってもらったやつにしようかな。根来に載せて、撮ったほうがカッコいいんじゃない」と目をキラキラさせながら、モノを出したりしまったり。
「骨董は、人がオモシロい」というのが、私の結論です。

 
●中西 剛(本誌編集担当)




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