「世の中には音楽が溢れているけれど、自分がほんとうに聴きたいのは、いったいどんな音なんだろう?」。特集「はじまりの音楽」は、そんなあなたのためのディスクガイドです。
携帯にはたくさんの曲が入っているし、インターネットでは聴き放題サービスも定着、レコメンド機能も充実……。便利になった一方で、自ら進んで音楽を探し、選び、聞き込んでいる人は減っているのかもしれません。
今号のBRUTUSは、ロックやジャズなど従来の分野ではない新しい‟音楽の入り口”を作ります。一緒に作ってくれたのは、ミュージシャンから美術家まで33人の音楽関係者やクリエーターたち。
たとえばテイ・トウワさんは「経年変化」、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんは「喪失」、細野晴臣さんは「東京五輪」、奈良美智さんは「スペルト小麦」、内田樹さんは「系譜学」といったジャンルを作り、曲やアルバムを選んでくれました。それらを図解、年表、4コマ漫画といった、さまざまな手法で紹介します。
ほかにも、最後の晩餐ならぬ“最後の音楽”を石破茂さん(衆議院議員)、小峠英二さん(お笑い芸人)、一ノ瀬メイさん(競泳選手)、吉増剛造さん(詩人)など、年齢も職業もバラバラな20人に尋ねた「人生の5曲、最後の1曲」を加え、合計382曲とアルバム84枚を掲載しました。さらに、付録のブック・イン・ブック「設置音楽」では、8年ぶりのアルバムを発表する坂本龍一さんの独占インタビューをほぼノーカットで収録、坂本さんの“音楽の入り口”を尋ねます。
今までと違う入り口から出会った音楽のその先には、新しい世界が広がっているかもしれません。いま、人生を豊かにする最良で最速の方法は、音楽を聴くことです。