著名人のポートレートを中心に、雑誌、書籍、広告ビジュアルの世界で幅広く活躍中の写真家、アンディ・チャオが、初の作品集を出版することになりました。シンガポール出身の著者が、写真家を目指して東京に移り住む前の2年間、世界中を旅して撮影した膨大な量のフィルムの中から、セレクトして新たにプリントし、自らの言葉を添えて構成しています。

1998年から2000年にかけて、日本はもとより、中国、インドをはじめアジア全域、ヨーロッパ、オーストラリアまで、各地を回って撮影した風景やそこに暮らす人々の写真は、ストレートで瑞々しい感性に溢れています。当時は、感情の趣くままに撮影したものを、あらためて見返していく過程で、自分がなぜ、その景色や人々に惹かれたのか、本人も自覚していなかった心の奥底が、次第に明らかになっていきました。約１年半をかけて写真を構成し、感情を言葉にしていくことで、アンディ自身が自分の”原点“を見つけたのです。

ポートレートやファッション撮影の現場では、気さくで飾らない人柄で知られるアンディですが、普段とは趣の異なる旅の写真と文章を通して、彼の美学や人間性が浮かび上がります。撮影から１５年経った今だからこそ、見つけることができた彼の『ROOTS』。渾身の一冊です。

装丁は、シンガポールを代表するアートディレクターでありアンディの友人である、テセウス・チャンが担当。日本をリードするクリエーター、箭内道彦氏が序文を寄せています。