史上最強の助っ人エディター/H・テラサキ傑作選(寺﨑 央 著 テラ本制作委員会 企画・制作)
幻のムック『Made in USA Catalog』を作り、『平凡パンチ』『POPEYE』『BRUTUS』などを舞台に、
若い男たちの文化風俗に多大な影響を与えた伝説のフリー・エディターにしてライター、
H・テラサキこと寺﨑央。
ファッション、映画から始まって、山歩き、釣りなどのアウトドア、カメラ、
バイクやスポーツなどの分野を得意とし、それがまた好きこそものので博覧強記だった。
何がいま、おしゃれであるかを探し、世界の雑誌の最先端を見つめながら仕事をした。
ページを企画構成するだけでなく、原稿を書き、イラストを描き、写真を撮り、版画を彫り、
レイアウトまで自らこなす全方位的編集人間だった。
活版ページをグラビア風に見せるために全凸版という荒技を使ったり、
35ミリ原寸以下で写真を使用し極小写真を並べる一方では、
バンドエイドを見開き2ページで実物大以上にどでかく見せたりと、人を驚かすようなページ作りをした。
デイパックをデイパと短縮形で表記したのも、小さなスペースにたくさんの情報を詰め込むための
サービス精神から始めたことだった。
今や、モノ雑誌では当たり前になったこうしたページ作りを最初に見せてくれた張本人がH・テラサキ。
人の気がつかないこと、人のやらないことを実験的にページにすることに情熱を燃やし、
自らも楽しく雑誌作りの現場で遊んだ人でもあった。
あの石川次郎氏をして「困ったときのテラ頼み」と言わしめた
正統にして異能なハイパー編集者の仕事ぶりを多くの紙面を載録して紹介しようという傑作選。
同時にこれはまた60年代から始まる時代のクロニクルであり、雑誌の面白さの見本市でもある。