どんぶり+もう一品(足立 洋子 著)
子育て中も、ひとり暮らしになった今も、忙しい時は気がつくと「おどんぶり」を作っています。
では簡単なだけが「おどんぶり」なのかと言うとそうではなく、とても奥が深く、
何より「作った」感があります。ご飯さえあれば、のりをもんで、冷蔵庫にある何かをのせて、
だしじょうゆをかけ、わさびやホースラディッシュをのせる――これで満足。
育ちざかりの息子がいた時はご飯にのり、ステーキを焼いてのせるだけ。
一汁三菜の、苦労して作った完璧な夕食には「華がない!」と言う息子が、
「ステーキ丼なら毎日でもいいな」と言った、おいしそうな顔を思い出します。
ステーキだけにならないよう、ほうれん草のソテーを添えたり、肉を焼いた肉汁にしょうゆと酒、
ガーリックを入れてソースにしてかけたり……。
ひとつの器の中で、ご飯を中心にいろいろなものがおいしく混ざり合う「おどんぶり」のレパートリーは
次から次へと浮かんできて、毎回、「おいしいー!!」と盛り上がってしまうのが、
私にとっての「おどんぶり」なのです。
難点があるとしたら、あまりの優秀さに、これひとつでよし! とできることでしょうか。
でも、それだけだと、ちょっと手抜き感があるし、栄養バランスも心配。
「『どんぶり+もう一品』で満足できるものを」と考えて作ったのが本書です。
これで、おなかも栄養も満足もOKにしましょう。皆さまの「おどんぶり」の世界が、
ますます広がりますように。
足立洋子 (本書「はじめに」より)