「マネー大動乱」時代を生きぬく情報活用術(増田 悦佐 著)
世の中はさまざまな情報であふれていますが、よく見ると2つのタイプに分けられることに気づきます。
一つは、自分が主張していることについての数量データを盛りこんだ情報。
もう一つは、数量的なデータの裏付けが全くない、
「自分はこう思う」「確かな筋から真相はこうだと聞いた」といったタイプの情報です。
でも、ここで大切なのは、
世界の政治・外交・社会・経済・金融といった分野の動きを自分なりに理解するためには、
データの裏付けのない情報はすべて無視することです。
たとえば、ふつうの新聞では記事の3/4~4/5はこうしたデータの裏付けのない情報です。
さすがに日本経済新聞になると、たとえグラフや表がない文章だけの記事だとしても、
いつどのくらいの量だったものがこれだけ増えた(減った)の数値データを織りこんだものが多くなります。
それでも、記事の半分を超えることはないでしょう。
つまり、私の提案は、新聞記事の半分以上は無視しましょうということなのです。
そう言われると、「こんなに多くの情報を右から左にやり過ごしてしまって大丈夫なのか?」
と心配になるかもしれませんが、それで大丈夫なのです。
文章だけの記事は、記者や論説委員が長年にわたってつくり上げてきたものの見方に沿って、
そのときどきの話題を論評するといったものが多いのです。
書き手の意見に賛成(反対)なら記事の結論にも賛成(反対)でしょう。
その記事を読むことによって、今まで知らなかった事実を発見するとか、
これまで考えもしなかった新しいものの見方を教えられることは、めったにないのが実情です。
それに対して、どんなに小さなデータでも、
具体的な数値の大小や、過去から現在までの動き、
そして、将来どうなるだろうかという予測の入った記事には、
どの程度のインパクトのある話なのだろうかという重要度の見当がつけやすい利点があります。
数量的なデータの入った記事からは、書き手の意見以上の情報を絞り出すこともできるのです。
(以上、本文より)
世界経済の動向を予測する経済書を次々と刊行しているアナリストの増田悦佐氏は、
「正しい情報(データ)に基づいて生きていけば安心した人生を送れる。
マスメディアの情報に踊らされるのではなく、個々人が正しい情報を使いこなさなくてはならない」
と語る。そんな増田氏の
・情報源はどこにあるのか?
・どんな情報をどうやって見つけ、読み込み、使いこなせば、的確な経済予測ができるのか?
・個人でも「未来予想図」を描けるような情報活用ができるのか?
について、氏が実践している「情報活用術」を、豊富な具体例とともに紹介する。
社会・経済が混迷している時代だからこそ、
正しい情報(データ)を使いこなそう!