子どものチカラを信じましょう 小児科医のぼくが伝えたい子育ての悩み解決法(高橋孝雄 著)
子育ての常識を変えた、
画期的なベストセラー、
第2弾ついに登場!
お母さんお父さんの悩みや迷いに
具体的に医学的にお答えします。
上手なしつけ、才能の見つけ方、
早期教育、発達障害……
37年の経験がたどり着いた結論。
最高の子育ては、子どもの長所を伸ばすこと。
<はじめに>
2018年9月に『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』
という本を出しました。
育児や幼児教育の専門家ではない、おまけに男性のぼくが、
このような本を書いていいのかなと思いながらの出版でした。
しかし驚くべきことに出版後まもなく、お手紙やネット上のコメントで
「ふに落ちた」「スッと心に入ってきた」という感想をたくさんいただきました。
「ああ、これでよかったんだ」と、やっと思うことができました。
また、講演会では、涙ぐんで耳を傾けているお母さん、腕組みして肯いているお父さん。
多くの読者の方々に直接お話しする機会にも恵まれました。
その場で多くの質問をしていただきました。
伝えて良かったこと、伝えきれずにいたこと、新たな気付きも多くありました。
時がたつにつれ、『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』で、
ぼくが誰に何を語りかけたかったのか、じわじわと実感していったのです。
「子どもたちはみな、遺伝子のシナリオに守られて育つ」という視点は、
医師としての知識と経験に基づくものです。とても重要なメッセージです。
小児科医として、小児神経科医として、そこはしっかりとお伝えしたいと思っていました。
ただやはり、ぼくの本を通じて、「遺伝子で決まっていることは努力しても無駄」
という誤解に基づいた不安を感じたお母さんお父さんがいらしたことも事実でした。
そうであれば、大事なことは、もっとわかりやすく伝えたい、という強い思いがあり、
この本を出版することにしました。
実際に子育てをしている真っ最中の、お母さんお父さんが、日々感じる、
悩みや疑問、それをお聞きして、なるべく具体的にお答えするという形式を取っています。
(抜粋)
<目次>
●第1章
幼児期の成長具合や育て方、
心配事がたくさんあります。
Q 他の子と比べて、成長や発達が遅いようです。
きちんと育っているのか、不安です。
「育つ」には「成長」と「発達」があります
脳は最後まで守られます
脳が“成長”するにつれ神経が“発達”します
発達には大きく分けて3種類あります
3、4ヶ月で「成長」と「発達」のバランスを診ます
「つかむ」と「つまむ」は大違い
右肩上がりなら心配いりません
かわいいと思って育てる、それだけで十分です
子育てを楽しみ、成長の瞬間を記憶しましょう
Q 「魔の2歳児」のイヤイヤに、
どう対処すればいいですか。
自分で決めて失敗する。そこから子どもは多くを学びます
子どもにまねされても恥ずかしくない行動をしましょう
「ひとりっ子はわがまま」は間違い。子どもは社会で育つもの
自分勝手なことをして傷つく。そういう機会はあっていい
Q 甘やかすばかりではよくないと思います。
厳しく叱るのはダメですか。
はっきり言うことは、医療の現場でも難しい
叱り方に正解はありません
叱るときに大切なのは親のリーダーシップ
感情にまかせて叱ってはいけない
Q きょうだいを育てるときに、
何に気をつければいいですか。
下の子が生まれたとき嫉妬するのは当然
上の子も下の子も同じように接する
下の子のお世話をさせるのがいちばんです
Q 落ち着きがない、他の子とうまく関われない。
もしかしたら、発達障害なのでしょうか。
「発達遅滞」と「発達障害」は違います
発達障害は持って生まれた「個性」です
病名をつけることにはメリットもデメリットもあります
ADHDは大人になると克服できることも多いです
人間関係に恵まれると思わぬ成功を収めることがあります
人と違ってもいい、まず自分を好きになる
1回叱ったら9回褒める
得意なことと苦手なことがあるのが特徴
Q 男の子と女の子、赤ちゃんでもずいぶん違います。
育ち方、育て方に差はありますか。
胎児の性が分かれはじめるのは着床から約8週間後
性差の見極めが困難な場合もあります
生まれた時から決まっている「男らしさ」、「女らしさ」
男の子らしさ、女の子らしさには「揺らぎ」があります
ありのままの姿を受け入れてあげること
Q 病気にならないために、
子どもの免疫力を高める必要がありますか。
新型コロナに対しては世界中の誰も免疫をもっていません
免疫力は食べ物では鍛えられません
風邪を引きやすいのは免疫力の問題ではありません
生まれたての赤ちゃんの免疫力は?
●第2章
子どもの能力を伸ばすために、
?親ができることはありますか。
Q 早期教育は、必要でしょうか。
どういう効果があるのでしょうか。
脳のしわの一本一本まで、遺伝子が決めている
遺伝子に守られているから、環境が悪くてもきちんと育つ
胎児のときから「子育て」は勝手に始まっています
「素質のないもの」「向いてないこと」をやらせるのは逆効果
親の夢は子どもに託さない。夢は自分でかなえましょう
学校に行きたくない子は行かなくていい
自分に自信を持てる子になるかどうか、それが一番大事
お受験にも無理強いは禁物
持っている能力は“必要なとき”に自然と発揮されます
Q コミュニケーション能力は、
どうすればアップしますか。
コミュニケーション能力を測ることはできません
男の子と女の子ではコミュニケーションの仕方が異なります
気の合う仲間と楽しい時間を過ごすことが大切
親が無口でも問題ありません
Q 子どもの才能、
どうすれば早く見つけられますか。
才能は子ども自身が見つけるもの
才能は余白の中にあります
語学力と知能は別ものです
言語はあくまでもツール。大事なのは何を考えるか
脳が震えるような会話をしましょう
Q 子どもたちが競争するのはいいことでしょうか。
悪影響はありませんか。
成功や失敗の積み重ねが心を育みます
すべての競争は社会の縮図です
相手の顔が見えない競争はよくない
負けることは多くを学ぶチャンス
Q 子どもの興味を育てるために、
親がしてあげられることはなんですか。
「興味の種」は大人には見えないものです
「自分で見つけた」と思えることが大事
子どもが夢中になり始めたら放っておきましょう
夢中と依存は違います
Q 遊びに夢中になっている子どもたち。
親は何か手助けをすべきでしょうか。
遊びの延長線上に学びを設定する必要はありません
一人で「学ぶ」より、子ども同士で「遊ぶ」
“正しい子育て”に負け続ける育児
遊ぶ子どものように育児に夢中なる
Q 外国語を身につけさせるには、
小さいうちがいいのでしょうか。
能力を身につけるためのテクニカル・ピリオド
幼児期全体がクリティカル・ピリオドとも言えます
バイリンガルにすることがそんなに重要でしょうか
母語をしっかり体験させることが一番
読解力は、得意な子も苦手な子も「平等に」伸びます
素質の有無にかかわらず努力は報われる
●第3章
これからの時代、
子育ても変わりますか
Q しつけの内容に迷っています。
どこまで何を言い聞かせればいいですか。
「しつけ」と「叱り」を区別しましょう。
何をしつけるかは、親の価値観を反映します
しつけ方は自然に任せる
Q 「自分で決める力」をつけるために、
大事なことは何でしょうか。
決める力が大人でも弱い
自分で選ぶことを嫌う日本人
自分で選択することが達成感・幸福感の大前提です
失敗しすぎないよう、勝率を考えて選ばせる
Q AI時代には“考える力”が必要と言われます。
いまから身につける方法はありますか。
感情を伴う実体験を積み重ねることが大切です
ごく普通の日常体験に任せるしかない
デジタル時代であっても、必要なことは変わらない
子どもが自ら判断して選択する時、“考える力”が育まれます
いつの時代も最高の教育者はお母さん、お父さん
Q 遺伝子の持つ力と、育つ環境の関係について、
わかりやすく教えてください。
すべての遺伝子がいつも機能しているわけではありません
遺伝子が決める設計図は楽譜のようなもの
一人ひとりが唯一無二の存在である理由
弾き方が変われば曲の印象はまったく変わる
遺伝子は底から支える力、環境は包み込むように促す力
Q しあわせに生きるために必要な、
「三つのチカラ」とはなんでしょうか。
「共感力」は、しあわせな人生の原動力です
力強く人生を歩んでいくために必要な「意思決定力」
まず親自身が自己肯定感を強く持つこと
この子を産んでよかった、と思うだけでいい