もうひとりのイルカ物語 なごり雪の季節に旅立っていった夫へ(イルカ 著)
歌手イルカさんの夫であり、音楽プロデューサーでもあった神部和夫さんが2007年3月21日に亡くなりました。神部さんは20年ほど前からパーキンソン病を患い、イルカさんはそのことを公にしていませんでした。人に会うことが神部さんのストレスになる状態が、初期の頃から、ずっと続いていたからです。 本書をイルカさんが書いたのは夫の天国への旅立ちに花を手向けるためです。そして、歌手イルカの存在に不可欠だった、「もうひとりのイルカ」である神部和夫の物語を記すためでもあります。 学生時代にフォークソングが縁で知り合ったふたりは夫婦デュオ・シュリークスとして活動し、その後、イルカさんはソロデビューします。イルカさんの才能を見出し、ソロデビューさせ、音楽的な方向性を決めたのは神部さんです。 イルカさんは「なごり雪」の大ヒットを契機にアーティストとして成功を収め、海外の有名ミュージシャンと共演するなどして、フォークソングをメジャーな存在にしました。それを陰で支えたのは夫でもある神部さんです。プロデューサーとして絶頂期にあった頃、神部さんは突然パーキンソン病に襲われます。 それから、イルカさんと神部さんの病と共に生きる日々が始まります。その日々は神部さんの死まで二十年続くことになりました。 本書では神部さんとイルカさんとの出逢い、二人三脚で家庭と音楽の世界を築いていくふたりの物語、パーキンソン病の発病、そして神部さんの死までがイルカさん本人の手で綴られます。
イルカさんは神部さんへの想いをこう本書で綴っています。― 人前では泣かないと決めたけれど、お父さんの前では泣いてあげるね。素直な心を忘れぬように 本書は神部さんの一周忌の日である3月21日に発売されます。本を出したことで、イルカさんの喪がひとつ明けたようです。