45分でわかる!脳を鍛える読書のしかた。(茂木 健一郎 著)
●内容紹介
本書は、2009年7月12日に開催された第16回東京国際ブックフェア読書推進セミナー「茂木流『読書のすすめ』」の講演をもとにしたもの。小学三年生で年間100冊、五年生で年間200冊を読破し、高校時代には『赤毛のアン』シリーズを原書で読み、「読書」をベースに学力(英語力も)・知力・思考力を伸ばしてきた茂木健一郎氏が、『論語』、夏目漱石、樋口一葉、内田百閒、小林秀雄、『赤毛のアン』……数々の愛読書を紹介しながら、活字の力、読書の効能、日本語の素晴らしさ等について語る。「活字を読んで、聴いて、書けば、脳は成長する!」ことを実証してきた人気脳科学者が、「読書」の魅力についてはじめて語る!
1 「本を読む楽しさ」は変わらない!
あらゆる情報が飛び交うインターネット
活字はもっと息が長いもの
「本」の役目は終わらない
2 世紀をまたいで読み継がれる「活字」の底力
自慢の「自筆物」コレクション
漱石の「自筆原稿」
「活字」の持つ力
『論語』への興味
二千年の長きを生き続ける『論語』
現代のベストセラーの息の長さは?
生の経験は文学になり得るか?
「一葉文学」から読み取る「もののあはれ」
一葉のようにはいかないが……
3 読めば読むほど深遠な「漱石文学」
『三四郎』から感じる、漱石の冷徹な批評眼
何十回読んでも新発見がある
じつは蚊帳の外に置かれている三四郎
現代の小説では到底かなわない!
4 人としてあるべき姿を思い起こさせる名作
私の愛読書『赤毛のアン』
『赤毛のアン』のあらすじ
あらためて思う名作の底の深さ
物語の裏のウラ
L.M.モンゴメリが書きたかったこと
5 時を経て、回数を重ねて深まる読書の面白さ
脳が成長する過程は植物に似ている
大人になって読むと、印象がまったく違う
男女の三角関係が多い漱石文学
丸谷才一さんの謎解きによると……
6 「読む」力を養うためには「書く」ことも必要
「読む」だけでも脳の成長にいいのか?
私のもの書きデビュー
母の反応にビックリ!
「読む」だけでなく「書く」ことも大切
7 文章や言葉は誰でも磨いていける
内田百閒の名調子に学ぶ
講演を聴くことも役に立つ
いったん身についた文章のクセは変えられない
言葉や文章は磨いていくべきもの
8 日本語の将来のためになすべきこと
日本語は滅びる!?
それでも英語で文章を書くのは難しい
もっと日本のよさを発信しなければ
バイリンガル脳は老化に強い
9 素晴らしき日本語による素晴らしき日本文化の発信
日本語の素晴らしさを忘れてはいけない
重要な意味を持つ「翻訳」
日本独特の文化「おまかせ」
日本独特の文化「秘仏」
アニメやマンガ以外でも、日本文化のよさを海外に発信するべき
■本書に登場する作品リスト
●著者紹介
茂木健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院連携教授(脳科学、認知科学)。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。2005年、『脳と仮想』で第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。2006年1月よりNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』キャスター。著書多数。