わたしの好きな仏さまめぐり(瀬戸内寂聴 著)
今年、95歳となられる
瀬戸内寂聴さん。
作家として僧侶として、現役で活躍中です。
京都の自らのお寺・寂庵で行われる
法話の会にはたくさんの参加申込が殺到。
仏さまの話、人生の悩み、文化芸術などなど
深い人生経験に根ざした寂聴さんの語りは
もちろん小説、エッセイ、対談まで
寂聴さんの本は世代を超えた人気があります。
本書はそんな寂聴さんによる古寺と仏像を
めぐるガイドです。
仏像ブームはますます熱くなってきています。
京都、奈良はじめ各地の仏像をめぐるのはもちろん、
ミュージアムでの仏像展も開催のたびに
いつも長い行列ができるほどの人気です。
なぜこんなに仏像に魅かれるのでしょうか。
それがこの寂聴さんの本を読むとよくわかります。
十七歳のときに奈良。法隆寺の百済観音像を見て
涙がひたすら溢れてどうしようもなかった体験を
した寂聴さん。ひとつの仏像になぜこんなにも感動
するのか、そのわけを知りたくて寂聴さんの
仏さまめぐりは始まったのです。
本書では、寂聴さんが長い年月をかけてめぐったお寺、
出会った仏像から、よりすぐりをセレクトしました。
小説での女性の描写は当代一の寂聴さんですら、
その官能性に圧倒されたという奈良・法華寺の十一面観音。
いっぽうで少女の初々しさをもつ京都・浄瑠璃寺の吉祥天、
そして琵琶湖畔の里に隠れる美しくあでやかな観音さまたち。
寂聴さんの出会いの感動が直に伝わってきます。
また寂聴さんを荒れ寺の復興に呼び寄せたという
岩手・天台寺の桂泉観音、気弱になった寂聴さんも
その厳しいお顔を見るとパワーがもらえるという
京都・神護寺の薬師如来などのめぐりあいなど、
寂聴さんは最愛の仏像から本当に「生きる力」を
もらっているということが実感できます。
ぜひ本書を読んで寂聴さんのめぐった道程をたどり、
仏像とよいめぐりあわせの縁を得て
豊かな人生を送ってほしい。
それこそが寂聴さんがこの本に込めた祈りです。
またお寺にお参りして、達筆の文字に
朱の判子が押された御朱印をもらうのも大ブーム。
専用の御朱印帖も様々なデザインで売っています。
今回の本はそんな御朱印帖のサイズに合わせています。
ぜひ愛用の御朱印帖と一緒に旅行かばんにしのばせて
これからの季節の古寺、仏像をめぐる旅に
おでかけください。