第2回
ママは“撮り鉄”。

『クウネル』に異動してひと月、いよいよ本格的な取材が始まりました。初取材の地、静岡県は掛川にある、ねむの木こども美術館へ打ち合わせに行った日のことです。

前の晩から感じていた緊張はどこへやら、新幹線に乗るのが久しぶりだった私は、品川駅のホームに入線するこだま号を携帯のムービーで撮っておりました。中腰で、かなり真剣に。でも「鉄子」だからじゃあ、ありませんよ。

ご多分に漏れず、２歳の娘は乗りもの大好き、なのです。とくに新幹線は、乗ったことがないのにテレビで流れた「はしれちょうとっきゅう」という歌が大好きで、ビデオを見るたびに「しんかんせん！」と喜ぶのですから。そりゃあ、母さん、がんばります。

はたして帰宅後、私の帰りが遅くて膨れっ面だった娘に見せると、たちまち目を丸くして、膝の上でくり返し動画を見ております。大成功、とにんまりしたのでした。

さて、日を改めてカメラマンの長野さんと再び掛川に向かう朝のことです。品川駅で乗ってきた長野さんが、これ、と携帯の画面を見せました。そこにはなんと、先日私撮ったのと同じアングルでホームにすべりこむこだま号が映っていました。実は長野さんにも電車大好き！な息子さんがいるのだそうで、撮らずにはいられなかったそうなのです。

こどもを持つお父さん、お母さんの携帯にはかなりの確率で新幹線の動画、入っていそうですねぇ、と車中、電車話が弾んだのでした。