有元葉子とクロワッサンの ひと工夫で格段においしくなる シンプル家庭料理(有元葉子 著)
家庭料理はシンプルがいいと思っています。
ただ、シンプルに簡単にとはいっても、「手をかけない」という意味ではありません。
できあいのお惣菜を買って簡単に食事をすますということとは違います。
家庭料理は心を込める、気持をこめることが大事です。家族のために自分のために料理を作るのです。
食べ物が体を作ります。体ばかりでなく、心まで作るのが毎日の食事です。
自分の食べ物は自分で作る、これが基本です。
自分で吟味して選んだ食材や調味料を使い、日々ちゃんと作って食べていれば、すぐには差がわからないかもしれませんが、10年後にはその心や体に大きな開きが出ます。
とはいっても、毎日、毎食手のこんだ料理は作れませんし、体もそれを欲していません。
家のご飯はシンプルでおいしいものが一番。
家庭料理は一生続くもの。
ひとり暮らしでも、自分で作る料理は家庭料理だと、私は思っています。
これを義務感ではなく、そこに楽しみを見つければ、そんなに大変と思わず、続けていけるのではないでしょうか。
私自身も家族と自分のために作るのが面白いからやってきたところがあります。
ちょっと努力がいるかもしれませんが、作ることに何か楽しみを見つけてください。
そうすれば、もっと前向きになり、自分でつくる面白さにのめりこむかもしれません。
クロワッサンの料理特集で紹介した私の料理やアイデアが、そのきっかけになれば、幸いです。
(はじめに、より)