YUCARI vol.17 日本の旅(マガジンハウス 編)
『YUCARI』、今回の特集は「日本の旅」です。
日本で旅のルーツは、平安時代末期の熊野詣など宗教的な巡礼にあるといえます。『YUCARI』では、後白河上皇や平清盛が通った熊野詣の公式ルート「中辺路」を土地の歴史に詳しい語り部さんとともに歩き、熊野古道をリポートしています。
また、旅が一般庶民にも根付き、文化・産業として開花した江戸時代も、とても気になる時代です。街道や宿場が整備され、参勤交代は各地に経済効果をもたらし、移動を制限されていた一般庶民も伊勢神宮参詣という名目で通行手形を手にどんどん旅に出ました。現代のお伊勢参り=朔日(ついたち)参りの賑わいを味わいながら、当時のお伊勢参りを紐解いてみました。そこには、パッケージツアーの原点が見て取れました。
十辺舎一九の『東海道中膝栗毛』がベストセラーとなり、旅行ガイドの先駆け八隅魯庵(やすみろあん)の『旅行用心集』が刊行されたのも江戸時代。旅はブームだったのでしょう。そんな中、松尾芭蕉の『奥の細道』、芭蕉の足跡を名句とともに美しい写真で辿った企画もあります。芭蕉と同じ景色を見ているようで、ロマンチックな気分になれるでしょう。タイムスリップした感じの旅をしたい人のためには、お薦めの旧街道・宿場を紹介しています。
近頃の話題としては、数十万円の費用なのに抽選でしか乗れない寝台列車「ななつ星in九州」を。制作したデザイナーの水戸岡鋭治さんにインタビューしました。何でこんなにも申し込みが多いのかがわかると思います。
昨今、女性を中心にパワースポット、ヒーリングスポットへの旅が流行っています。熊野古道など世界遺産も人気です。古の人も現代人も旅に求めるものって同じなのかもしれないですね。
日本の大切なモノ・コト・ヒトの素晴らしさを改めて実感するのに「旅」はとてもいい時間をもたらしてくれそうです。
<特集内容>
・『奥の細道』、松尾芭蕉の足跡を辿って。
・いまこそ、巡礼の旅へ。
熊野古道/お伊勢参り/四国八十八箇所札所・遍路の道
・いにしえからの旅路、日本の街道。
五街道と関所/参勤交代/江戸の庶民の旅
・一度は訪ねてみたい、旧街道の風景十選。
・現代人が旅に求めるもの。
列車の旅をデザインする「ななつ星in九州」=水戸岡鋭治
船旅が誘う非日常の世界=大森洋子
・人はなぜ旅をするのだろう? =塩野米松
・コラム
日本の旅の歴史/街道の休み処・道の駅