マガジンワールド


第32回 着物の森


コロポックルの小屋

koropokkur

クウネル編集部の塚越です。人より多少サイズが小さいため、コロポックル系に属しています。目線も若干低いので、世界が広く見えて仕方ありません。ここでは、そんな重心低めな目線で見た毎日をお伝えしたいと思います。

 

第32回
着物の森

先日、初めての着物撮影を経験いたしました。次号1月20日発売号でご覧いただけるページです。誌面でもおなじみのおしゃれな女性たちが、最近にわかに「着物」に目覚めているらしい。その着物姿がまた、艶やかでかっこいいそうな。そんな噂を聞きつけて、クウネル初の着物企画となりました。

撮影当日、スタジオには、被写体となる女性たちが次々に現れます。まずは洋服でのポートレート撮影。それが終わったら、いよいよ和装の撮影です。別室に待機した着付けの先生のもとへご案内し、待つこと30分余り。大変身した彼女たちの着物姿が、まあ、かっこいいのなんのって! ほんの30分前に、リラックスした笑顔を見せていた同じ人とは思えません。その華麗なる変貌ぶりに、こちとらため息しか出ないわけです。その圧巻のポートレートは誌面をご覧いただくとして……。

ご登場いただいた皆様の眩しい着物姿に、「素敵〜」「きれい〜」と、自らのボキャブラリーの貧困さをうらめしく思いつつ、目をハートにして賛辞を送っていると、耳元でささやくのです。今回の企画の総監督、ライターYさんとスタイリストOさんが。ふたりとも、キリリと着物姿で現場に臨んでおります。その説得力ったらない、見事な着こなしっぷりです。

「着物着なよ〜。いいよ〜、楽しいよ〜〜〜」。
「似合わない人はいないんだよ〜。体型選ばないんだよ〜〜〜」。
「着るだけで自信がつくんだよ〜。誰だって素敵になれるのよ〜」。
「日本人なんだから着ないなんてもったいないよ〜〜〜」。

ほとんど催眠術です。聞いているうちに、どんどん着物が着たくなってきます。四頭身、土偶体型の自分ですら、素敵に着られるような気になってきます。

あ、危ない、危ない。うっかり、入ったら出られない「着物の森」に吸い込まれるところだった。我に返って、ブルブルっと首を振ってみたものの、どこか後ろ髪を引かれる思い。きっと、臆さずその森に飛び込めるのが、おしゃれ上級者なんですね。その一歩を踏み出せるか否かで、世界の見え方は大きく変わるような気がします。ううむ、と唸りながら、素敵な着物に見合う人生修行(と予算)が足りない自分を省みる師走の1日でした。来年はがんばるぞー!