マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 645
No.645 CONTENTS
features
| 018 |
CHILL OUT
心を鎮める旅、本、音楽。 |
| 020 |
脳科学者・茂木健一郎/「チルアウト」って何だろう? |
| 022 |
PEOPLE/私の心を鎮めた、「チル」な旅&本&音楽。 |
| 024 |
奄美/島の暮らしが紡ぎ出す、言葉とリズムに身をゆだねる。 |
| 030 |
京都/清流、緑、心鎮まる寺院やカフェ。街全体がチルアウトシティー。 |
| 036 |
バリ/超高速グルーヴ&甘い弛緩。音と魂が共鳴する島へ。 |
| 042 |
フォルメンテーラ/サンドビーチが広がるチルパラダイス。 |
| 067 |
BOOKS/心を鎮める本。 |
| 072 |
MUSIC/自分を静かに取り戻す音楽。 |
| 110 |
イビサ/あのマドンナはこの男のチルな1枚を選びました。 |
| 114 |
パリ、アムステルダム/真夏の夜をゆっくり楽しむ、ヨーロッパ最新チル事情。 |
| 120 |
モロッコ/さらなるチルアウトを探す旅は、喧噪を抜け、無音のサハラ砂丘へ。 |
| 128 |
宮前公園/東京でだってチルはできる、風の奏でる歌を聴く公園。 |
| 043 |
特別付録 BOOK in BOOK
死ぬまでに観ておきたい
「スローでメローなニッポンの名景60」 |
| 083 |
CHILL OUT BIBLE
心地よくチルするために、知っておきたい7つのこと。 |
regulars
| 019 |
EYE OF THE B
「キム・キャトラル」ほか |
| 103 |
Brutus Best Bets
新製品、ニューオープン情報 |
| 134 |
人間関係 364
写真/篠山紀信『奄美な絆』山口智充、元ちとせ |
| 137 |
Steel Deep Beauty 121
TOYOTA iQ |
| 139 |
MIX & MASH
「ホンマタカシ」ほか |
| 148 |
BRUT@STYLE 194 a ceremony |
| 152 |
グルマン温故知新 276 カルネヤ/今井商店イーズ |
| 154 |
みやげもん 050 吉良の赤馬/次号予告 |
| 102 |
BRUTUS BACK ISSUES |
<カフェ・デル・マー>から見た、雲ひとつない水平線に沈む夕陽。この日サンセットの瞬間はピンク・フロイドが流れていた。 |
イビサ島発の心を鎮める音楽、
ベタだけど、いまだ心地よし。
今号の表紙は富士山です。都心からでも空気の澄んだ日に富士山が見えることがありますが、そんなときは理由もなく嬉しくなったりしませんか。日本人の心に深く刻まれた優美なフォルムを前にすると、手を合わせて拝みたくなるような、心の鎮まりを覚える人は少なくないでしょう。そんな表紙の富士山(写真家澁谷征司さんの撮り下ろしです)の上に、火口から噴き出したように小さな文字でchill outとあります。しかし、チルアウトという言葉に馴染みのない方もいるかと。元々は80年代後半から使われたクラブ用語で、激しく踊ったあとに、火照った体と頭を冷ますためにクラブがチル(冷ます)ルームなるものを用意したのがきっかけとか。そこには心地よいソファとダウンテンポな音楽がありました。そのような気持ちよく心を鎮める行為を、その後クラブシーンに限らずチルアウトと呼ぶようになったのです。
さて、このクラブシーンにおけるチルアウトカルチャーに、最も影響を与えた人物のひとり、ホセ・パディーヤを取材しに野村訓市さんとイビサ島に行ってきました。ホセはチルアウトCDのスタンダード『カフェ・デル・マー』シリーズのVol.1から6までをコンパイルした伝説のDJです。イビサ島にある世界一有名なサンセットバーが〈カフェ・デル・マー〉。そこのレジデンツDJだったホセが、その美しいサンセットを気持ちよく観賞するためのバックグラウンド・ミュージックを流していたのですが、それが評判でCD化されたものが『カフェ・デル・マー』シリーズです。これが大ヒットし、チルアウトというコンセプトがクラバーだけでなく、世界的に広まったわけです。取材前にVol.1~6までをもう一度聴き直しました。なにげなくパット・メセニーやスタン・ゲッツが混ざっていたり、シリーズの最後Vol.6のラストはダスティ・スプリングフィールドの『ザ・ルック・オブ・ラヴ』だったり、クラバーでなくとも、ぐっとくる選曲です。インタビュー中に「パコ・デ・ルシアを忘れることができない!」と彼は語っていましたが、Vol.2にちゃんと入っていて、そこにスパニッシュ魂を垣間見ました。ぜひ本誌の野村さんのインタビュー記事を読みながら、ホセの『カフェ・デル・マー』シリーズを聴いてみてください。
●芝崎信明(本誌担当編集)
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撮影:澁谷征司
高千穂の天真名井(あめのまない)。天上から水を移した場所、と伝わる。樹齢1000年を超えるケヤキの根元から今も水が湧き続ける。 |
〝日本のふるさと〟で見つけた、
不思議と心が鎮まる時間。
今回の特集テーマ、「心を鎮める旅」に相応しい目的地はどこか。浮かんだのは、清らかな水と緑に満たされ、古い神社や寺が点在するような場所でした。
九州の高千穂はその典型です。奇岩連なる峡谷や谷間に落ちる真名井の滝が見所ですが、この地に散らばる神社も由来からして相当なもの。たとえば創建不詳の天岩戸神社。日本神話の黎明で天照大神が隠れたという天岩戸が残り、それを御神体に祭る神社です。近くには八百万の神々が集って相談したという天安河原や、天孫が降臨した山など錚々たる古社や聖地がずらり。観光地化したとはいえ、高千穂は、日本のふるさとのような不思議な空気が漂う場所でした。
心鎮まる場所だから寺社が建てられたのか、寺社として長く祈りが捧げられてきた場所だから心が鎮まるのか。あるいはその両方が正解かもしれません。神仏と自然が深く関わる日本では、古い寺社の多くが自然に囲まれた地にあります。この特集付録ではそんな寺社を始め、鎮静作用たっぷりの場所を全国から60カ所、収録しました。喧噪から逃れる夏の旅。行く先選びのヒントになればと思います。
●渡辺泰介(本誌担当編集)
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イビサ島、バリ島にモロッコのサハラ砂丘。特集では世界でチルアウトしてますが、実は日本はチルの目的地の宝庫なんです。 |
電話のベルのかわりに、
好きな音楽を流して。
この特集があれば、仕事もチルに!
この号の発売日はちょうど編集部の夏休み。といっても、ファッション班はロンドン、釣り特集班はニュージーランドに出張中。ほかにも働き者の編集者たちがぱらぱら、短パンで打合せ。カリフォルニアのジョン・ミューア・トレイルで過酷な取材をしたチームが帰国そうそう、写真のチェック中。
自分はといえば、この夏は休めないな、と思いつつ、たまった仕事を片付けてます。今週は電話もならないから、好きな音を流しながらの“チル仕事”。それもよしです。でしょ?
「心を鎮める旅・本・音楽」のオススメはブック・イン・ブック『ニッポンの名景60』。川・山・浜・樹・月…など、漢字一文字ずつをくくりにして、まだ見ぬ景色がずらり。いい写真は誘ってくるなぁ、としみじみ。
特集のサブタイトル“チルアウト”はクラブカルチャーから来た言葉です。仕事や遊びを全力で楽しんだ後、心とカラダをリセットする時間。刺激的な特集も好きですが、ブルータスはチルな特集も得意。眺めるだけでチルアウト、ぜひチルな音楽を流しながらお楽しみを。
あ、電話鳴った。仕事だ…。
●西田善太(ブルータス編集長)
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