マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 650
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No.650 CONTENTS

features

036 山特集
ワンダーフォーゲル主義
038 松浦弥太郎、世界で最も美しい道、ジョン・ミューア・トレイルを行く。
048 10分で分かる、ジョン・ミューア・トレイル。
050 YOSEMITE IN THE SIXTIES
056 CAMP 4
060 The Best Outdoor Shops in San Francisco
064 HISTORY OF GREAT BACKPACKING GEAR
102 日本の山。 写真/ホンマタカシ
104 日本の登山史と名トレイル。
106 ワンダーフォーゲルに出かけるなら、どこですか?
110 ロープウェイでらくらく山登り。
112 山を愛した建築家、吉阪隆正。
116 本の山。
120 山の文芸誌『アルプ』が遺したもの。
136 山とスーツ。
146 THE SUITS TREND 2008−09 A/W
 

regulars

021 EYE OF THE B
「オプラ・ウィンフリー」ほか
073 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
170 人間関係 369
写真/篠山紀信『いーはとーぼのお茶』秦基博、井ノ原快彦
173 Begin Your Journey 002 VOLVO XC70
175 MIX & MASH
「萩原健一」ほか
184 BRUT@STYLE 198 Afterimage
188 グルマン温故知新 281 和の食 いがらし/虎白
190 みやげもん  055 火の神・水の神/次号予告
081 定期購読募集
101 BRUTUS BACK ISSUES
From Editors 1
ちょうど今頃は紅葉のピークなのでは。ロープウェイを利用して絶景を楽しみたいです。写真は本誌でも紹介している中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ。

山は決していいことばかりはないけれど、
きっと何かいいこともある、
そんな場所だと思います。

 数年前から山のことが好きで仕方ない。2~3年前は週末、山に行くと言うと皆、何しに行くの? みたいな反応だったのに最近は山に行くと言うと、いいなー、とか言う反応に変わったのだから、随分、山の人気度も上がったものだと思う。
 山に行くには、まず道具を揃えるところから始めます。ザックを買って、登山靴を買って、レインウエアを買う。これで大体大丈夫です。次に行きたい山を決めたら情報集め。登山口までどうやって行くかや、地図を見てコースタイムを調べたり、宿泊する山小屋を決めたりする。ここまでは大抵、楽しいものです。しかし、いざ山を歩き始めると、荷物は重くて肩が痛くなるし、暑かったり寒かったりで大変です。雨が降ったりするかもしれないし、景色だって曇っていれば、全然楽しめなかったりする。山小屋では質素な食事と大部屋での雑魚寝に耐えなければ行けません。
 それでも山は楽しいなって、帰る頃には思えるから、凄いです。山の何が好きなんだろうと考えながら、今回、この特集を作ってみました。松浦弥太郎さんとアメリカが誇るロングトレイルを歩いてみたり、サンフランシスコのアウトドアショップをはしごしたり。登山道具の歴史について学んだり、山を愛した建築家や作家たちのことを改めて考えたり。山に関する書籍もずいぶん面白いものが集まりました。
 特集を作り終えて、山の何が好きなのか分かったような分からないような気持ちです。ただ山を歩くと、すれ違う人に挨拶をするのですが、僕はそれが一番好きなのかもしれません。

●木下孝浩(本誌担当編集)

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From Editors 2
 
この四日間でみんなとどれくらい話しただろうか? それよりも70キロを一緒に歩いたことで生まれたつながりのほうがとても大きい。

要するに独り主義
ジョン・ミューア・トレイル雑感
そして、五人の仲間たち

 サンフランシスコあたりのチャイニーズレストランに行くと、テーブルをはさんで座った老夫婦が、互いに好き勝手なことをしながら料理を食べている光景によく会う。おじいさんは、経済新聞を読みながら、おばあさんは文芸雑誌など読みながら、一言も言葉を交わさない。相手の顔さえ見ない。仲が悪いのか、喧嘩でもしてるのかというとそうでもない。雰囲気はいたってあたたかい。こういう夫婦は間違いなくとびきり仲がいい。見ていて、夫婦って良いな。こういう風に歳をとれたら良いなと思う。
 JMTは、五人で歩いたが、その後半、なんとなくだけど、こんな夫婦のような、うまく言葉で言い表せない、微妙なつながりが五人には生まれていた。確かに。
 山歩きって不思議だ。おもしろいと思った。なぜなら、誰も言葉を交わそうともしないし、相手を干渉することもないし、それでいて、みんな勝手なことしていていいのだもの。ただ歩くだけ。独りでも大勢でもそれは変わらない。
 辛さを乗り越えた時にわかる、その人が何者かということ。人と仲良くなるには、お酒を飲むより、山を一緒に歩いたほうがいいね。きっと。
 そういえば、ゴールしたとき、誰も「ゴール!」って言わなかったし、抱きあうなんてこともなかったことを最後に告白する。そのさらりとした感じと、つながりって、とても好きかもしれない。僕は。

●松浦弥太郎(文筆家)

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From Editor in Chief
北アルプス・燕岳の山頂にある畦地梅太郎作「山男」。1泊2日で会ってきました。燕岳は「もうダメ」と思ったところで休憩所が見えてくる、優しい山です。燕山荘もとても快適な山小屋。オススメです。

ブルータス<ワンゲル部>設立。
北アルプス、燕岳1泊2日の登山。
目的は、山男に会うことでした。

 先日、山男に会ってきました。
 本気で惚れちゃったからです。ひと目会いたくて、頂上まで登りました。北アルプス、燕岳(つばくろだけ)、標高2763メートル。9月最後の週末。
 ブルータス・ワンゲル部最初の登山は、山のセミプロたちが引率。休憩は10分以内、休み過ぎると次がきつくなるから、ザックも下ろしてはいけない。僕は次第に無口になります。鼓動が耳に響きます。あのロープウェイに乗れないですか?「あれは荷物用ですっ!」。燕岳は初心者向きの山、と聞いていたのに…。ただひたすら、歩く、登る。
 周囲が開けてくる頃、槍ヶ岳が遠くに見えました。「表銀座」と呼ばれる尾根が続いてます。富士山の頭も見える。あはー、写真みたいだコレ。ホントに自分で登ったのか! 気がついたら、脚の疲れはウソのように消えてます。およそ4時間の登山です。登り始めは誰でもきついんだそうですネ。
 目指すのは山頂にある「燕山荘(えんざんそう)」。『山と渓谷』の読者アンケートで1位になった人気の山小屋。ここの玄関前で、“山男”は僕らを待っていてくれました。
 山と共に生きた版画家、畦地梅太郎の手になる石彫りの山男が、燕岳の頂上をバックにぽつねんと。優しい顔です。無口だし、ぼーっとしているけど、なんでだかタノモシイ。会えてよかった。貴男に会いに来た。動かないのをいいことに、ほおずりしてしまいました(笑)。
 山特集。表紙を飾るのも畦地梅太郎の版画です。日本とアメリカの名トレイルを特集しながら、山と向き合った人々が残した写真や文章を再録しています。登山ではなく、山歩き。だからタイトルは「ワンダーフォーゲル主義」と付きました。計画、準備から、登るとき、下るとき、そのすべての過程がかけがえのない経験になるのが、山。この特集が、皆さんへの小さなきっかけになれれば僕らはとてもうれしいです。
 山男はいつも皆さんを待っていてくれます。ぽつねんと。

●西田善太(ブルータス編集長)

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