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わからなくても、とぼけて先に進む。
毎日の仕事も、2010年からの生き方も。
吉本隆明さんは85才です。
吉本さんの影響を
直接受けた団塊の世代は、
さすがに編集部にはいませんが、
ブルータスは、
今年30才になります。
この雑誌が世に出た頃の
編集部の先輩たちは、
きっと、吉本さんの本のフレーズを、
飲んでいるときにそらんじたりしたはずです。
去年の春、
糸井重里さんに誘われて、
あまりまよわずに、
吉本隆明特集を立ちあげたのは、
そんな単純な動機です。
この特集は、
ほぼ日刊イトイ新聞、
つまり“ほぼ日”の人たちと
毎週のように顔をつきあわせてつくった本です。
ぼくらが今回、
なぜ、ほぼ日といっしょに
この特集を作りたかったかを言います。
“わかりやすさ”の時代、とか言って、
いちから簡易にして、
講座のように読みくだくのが流行りだそうです。
でも、難しい言葉でしか伝わらないことが
実はたくさん、あると思うんです。
だから、ぼくたちは“吉本隆明入門”なんて、
作ったらだめなんです。
わかった気になって、
ひと言ぐらいなら言えるよ、という人を
作るだけですから。
なんとなくわかったら、
もうその先には進まないでしょう。
だから、
ひと言で言うと、とか、
1分でわかる、は、やりたくないのです。
そこで、ひと言で言えないことを
どうするかというと、
信頼できる人にお願いする、
ということになります。
それが今回は、糸井重里さんでした。
ほぼ日は、なんでも
わかりやすくしてるわけじゃないと思うんです。
“いまはわからないでもいいよ
(いつかわかるかも、だからね)”
という部分を残して先に進む。
糸井さんと話すといつもそう思うんです。
吉本さんという巨大で偉大なカタマリがあって、
その歩き方を教えてくれる人が、
糸井さんという「ヒモトキ人」です。
糸井さんは、読み手(作り手)のぼくらが
道を間違えても、見ていてくれる気がします。
崖から落ちそうになっても止めないで、
複雑骨折しても「大丈夫だよ」って
言ってくれてる気がする。
それをこの特集に、取り入れたかったんですね。
だから、
入門書というより、
完結した特集だとおもって、
つづきは、読んだ人がそれぞれにどうぞ。
と、いろんな人に
差し出したい本になったと思います。
どうでしょう、
おどおどして、足踏みしているより、
とぼけて、先に進んでしまいましょうよ。
あとでふりかえればわかることは、
あとまわしにして。
●西田善太(ブルータス編集長)
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