ブルータス - BRUTUS | 706

マガジンワールド|株式会社マガジンハウス
 

No.706 CONTENTS

features

014 昨日の糸井重里
022 今日の糸井重里
2011年1月12日~2011年3月5日の全記録と、127の言葉。
024 【言葉カレンダー】1月12日~1月18日
026 1月12日/年始の言葉
028 1月17日~18日/「ほぼ日」研修旅行
030 【言葉カレンダー】1月19日~1月25日
032 1月25日/谷山雅計と「広告」の話
036 【言葉カレンダー】1月26日~2月1日
038 【言葉カレンダー】2月2日~2月8日
040 2月2日/イチローの話
042 2月7日/任天堂・岩田聡社長と『MOTHER』の話
046 証言「糸井重里は○○である。」
矢沢永吉、谷川俊太郎、仲畑貴志、よしもとばなな、塚越隆行、石田ゆり子、みうらじゅん、鈴木敏夫、笑福亭鶴瓶、前川 清、清水ミチコ、湯村輝彦、南 伸坊
052 【言葉カレンダー】2月9日~2月15日
054 2月11日/「ほぼ日手帳」イベント
056 2月12日/巨人宮崎キャンプ訪問
060 2月14日~18日 高橋源一郎の「小説ラジオ」
064 【言葉カレンダー】2月16日~2月24日
066 2月22日/『羊どろぼう。』発売
068 2月23日/羽海野チカと対談
070
2月24日/社長室を調査
072 明日の糸井重里
078 Book in Book
3月5日/糸井重里の「素直であるためのワークショップ」講義録。
 

regulars

007 Et tu, Brute?  「エミリー・ブラウニング」ほか
089 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
098 人間関係  425 写真/篠山紀信
『聖・双生児』中村うさぎ、マツコ・デラックス
101 クルマのある風景 04 「アウディ A8」(撮影/笠井爾示)
103 SUPREME BRUTUS 
「スティーヴン・ドーフ」ほか
112 BRUT@STYLE 249 ほぼほぼファッション。
116 グルマン温故知新 337 鮨来主/鮨あんじょう
118 みやげもん 111 泥面子/次号予告
087 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集
 
【SPECIAL CONTENTS】
糸井重里の「社長室」を訪問。

密着取材中、糸井さんの留守を見計らってこっそり訪れた「社長室」。一見、世の社長室のイメージとそれほどかけ離れていないように見えるけど、並んでいるものは普通じゃない。仕事部屋12カ所を検証した本誌の中から3箇所をご紹介します。

From Editors 1

糸井さんは嫌な顔ひとつせず、全ての行動に同行させてくれました。この特集は、その場面、場面で発せられた言葉がドキュメントされています。

“糸井重里”と、僕たちが約束したこと。

最初の“糸井重里”体験は、NHKの深夜番組「YOU」の司会者である“糸井重里”だったと思う。と思う、というのは、彼が「YOU」の司会をしていたのは1982年から1985年のこと。1974年生まれの僕が、(6つ上の姉がいるからとはいえ)どれだけこの番組のことを覚えているのか、はたまた、本当に、この番組を見ていたのか、かなりの疑問符は付くものの、記憶のどこかに、くっきりと、あの誰にでも馴れ馴れしく、素っ気ない話し方をする“糸井重里”という司会者を覚えている。そして、「MOTHER」、「徳川埋蔵金」という順で“糸井重里”をリアルタイムで体験することになり、その前後でやっと「糸井重里って、コピーライターなんだ」なんて思ったりしたのだった。いつも何かを企んでいて、どこかに何かを隠していて、一体、何だろう、この人は? 正直、そう思っていた。編集の仕事をしていると、“糸井重里”という名前を聞くことも少なくはない。良いこと言う人もいれば、そうでないことを言う人もいる。だから、輪を掛けて“?”は増えていく。恥ずかしながら、“糸井重里”という人に対する、僕の認識はその程度のものであった。そんな僕が、何かの縁で彼と知り合うことになり、そして、彼の特集を作ることになった。実は、特集を始めるにあたり、彼と交わした約束がある。「嘘をつかないこと」。おそらく、彼はそれを約束だなんて思ってなかったかもしれない。最初の打ち合わせの時、僕らの「糸井重里のドキュメンタリー本を作りたい」という無謀な投げかけに、彼が言った何気ない一言「やらせは嫌だな」を、2カ月間、僕らは守り続けながら、彼と行動を共にすることになる。そこには、いつも何かを企んでいて、どこかに何かを隠していて……、僕の中の“糸井重里”はいなかった。すべてが明け透けで、すべてが真正面から。いつも、必死に考え、言葉を紡ぎだす“糸井重里”がいた。彼の存在を知ってから、四半世紀、僕は“糸井重里”の何を見てきたのだろう。この本は読んでもらうと、“糸井重里”と、ある2カ月間を一緒に過ごせる不思議な感覚を味わってもらえると思う。そして、本当の彼、その一端を、その感覚の中から知ってもらえると思う。「嘘をつかないこと」。密着を終え、この約束を守り通した意味が少しわかった気がする。“糸井重里”を知っている人、知らない人、そして、知っているつもりの人みんなに読んで欲しい一冊となった。

 

●伊藤総研(本誌担当編集)

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From Editors 2

2月14日よりほぼ日にて5夜連続で行われた、「高橋源一郎さんの午前0時の小説ラジオ」(本誌p.60~)では、毎夜深夜3時まで密着。人さまの職場に夜中までいるというのは、何か変な感じのするものでした(図々しくもすぐ慣れましたけど)。

148時間分から選んだ言葉。
ブルータス史上、
もっとも効率の悪い特集?

ずいぶんと効率の悪い作り方をしてしまいました。

昨年10月、糸井さんの特集が決まり、企画に関わるスタッフが集まり、特集の方針を決めようとしたところで、いきなり立ち止まりました。
スタッフそれぞれの持つ糸井さんへのイメージがバラバラで、思いつく肩書きだけでも、ほぼ日刊イトイ新聞主宰、コピーライター、埋蔵金を掘ってた人、タレント、『MOTHER』の生みの親、ツイッターの人……と、とりとめなし。
「一体、糸井重里とは何者か?」という、根本的な問題にぶつかってしまったのです。
そして、何度かミーティングを重ねるうちに、私たちはその答えをまとめることをあきらめました。
ブルータスが、ある目線で「糸井重里論」をすることはできない。やればできるけど、それをした場合にきっと取りこぼすものがたくさん出てきてしまうことが見えていたからです。

そして選んだ方法が、今回の密着ドキュメントでした。
記事として使うか使わないかは後から決める。とにかく可能な限り糸井さんの日常にくっついて、それをこぼさず記録するということに徹し、回したICレコーダーの総時間は、じつに148時間! 序盤こそ、お互いに存在を意識しなくもなかったですが、終盤の取材では、糸井さんから「中西くん、さっきの会議もいた?」と言われるほど、風景の一部と化し(?)、ひたすらに記録し続けました。

もちろんページにはかぎりがあるので、記事から漏れた言葉や写真の量は、通常の号の比ではありません。それだけに効率はひどく悪い。それでも、糸井さんの“そのまま”を見せるということには、最上の結果を出せている自信があります。

表紙にある「糸井さん、あなたは何者ですか?」の結論を、最後までブルータスはアンサーとして示しません。
それは、読者の方ひとりひとりに託したいと思っています。

 

●中西 剛(本誌担当編集)

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From Editor in Chief

「○○○○を知っていますか?」というのは、ブルータスの伝統的(?)タイトルのひとつ。特集タイトルは「今日の糸井重里」になりましたが、このキャッチはほぼ日の新刊『羊どろぼう』の帯に使われています。無駄がない!

ブイヨンのファイルに入っていたのは
「糸井重里を、知ってるかい?」

去年の9月のことでした。
ランチの途中で、ほぼ日の冨田さんから
クリアファイルを渡されたんです。
「西田さん、あの、これ」と。

草原で枝をくわえたブイヨン、のファイルには
A4にたった一行、横書き、明朝体。
「糸井重里を、知ってるかい?」

僕は5秒で返事するのがモットーです。
で、5秒でたどりついた答えは…、
「やりましょう。でもいつやるかは待ってて」

ホントは(おわ、こう来たか!)が本音でした。
吉本隆明号
で一緒に仕事をして、
次はどんなことができるかな、と考えていたけど、
糸井重里号までは頭が回らなかった。
だって、ど真ん中、本丸、頂上、というかホンモノ。
やりましょう、と返事をして、
冨田さんの後ろ姿を見送りながら、
(これ、時間かかるぞ…)
と、空を見上げ、遠い目をしたものです。

その後の密着取材の様子は、
編集担当のFrom Editors や
ほぼ日の「ブルータス」特設ページ
に詳しくのってます。
ひとことでいうと
「時間かかった」じゃなくて「時間かけた」特集。

編集部員2人を2ヶ月、
相手先に送り込んで本をつくるなんて…。
あとにもさきにも、できないだろうし、
やらないと思います。
150時間分のテープ起こしって(笑)。

青山のほぼ日に行って、
糸井さんと会話のキャッチボールをする。
いろんなことを確かめたり、
思わぬことを発見したり、
懸案の答え(らしきもの)にたどりつけたり。
でもほぼ日の玄関を出て、
目の前の歩道橋を渡るころ、
「でもあの話は消化できてないぞ」と立ち止まる。
あのコトバはなんだったんだろう。
そして、いつもと違うアタマを使って
歩きながら考えはじめる。

僕にとっての糸井重里さんは、
いつも「わからない」をくれる人です。
2ヶ月間、密着取材をして
わかったことはそれです。

 

●西田善太(ブルータス編集長)

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