マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 654
  • 目次
  • FROM EDITORS

No.654 CONTENTS

features

018 「生き方」を考える本。
020 男が惚れる男、女が憧れる女 11
チェ・ゲバラ、須賀敦子、北大路魯山人、伊丹十三、岸 惠子、開高 健、南方熊楠、向田邦子、ル・クレジオ、椎名林檎、赤塚不二夫
070 白洲次郎/あらゆるものを持っていた人。 文/酒井順子
074 スター☆の「生き方」
092 白洲正子/ほんものと出逢ってしまう人。 文・絵/辛酸なめ子
096 危機を乗り切った政治のリーダー。
フランクリン・ルーズヴェルト、高橋是清、吉田 茂、ジョン・F・ケネディ
098 冒険に生き、冒険に逝った、永遠の挑戦者たち。
ジョージ・マロリー、アーネスト・シャクルトン、植村直己、神田道夫
100 闘う女は美しい。感じるがままに生きた先駆者たち。
ジャンヌ・モロー、エディット・ピアフ、マリア・カラス、フリーダ・カーロ
102 賭場からの「生還者たち」の壮絶な記録。
阿佐田哲也、森巣 博、寺山修司、ドストエフスキー
104 社会の制約を超え、暴力を超えて、高く飛翔する女性たち。
アメリア・イアハート、レニ・リーフェンシュタール、スーザン・ソンタグ、斎藤 史
106 宇宙へ飛び立ったライト・スタッフ。
チャック・イエーガー、ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、毛利 衛
108 ダライ・ラマ14世/生き存えることを宿命づけられた人。
112 「生き方」本2009
075 特別付録 2009年のキーパーソン30人を知る本ガイド
 

regulars

011 EYE OF THE B
「ボビー・トレンディ」ほか
047 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
150 人間関係 373
写真/篠山紀信『受け付けました』錦織 圭、SONY
153 Begin Your Journey 006 FIAT 500
155 MIX & MASH
「アレックス・コックス」ほか
164 BRUT@STYLE 202 FOR SALE.
168 グルマン温故知新 285 ダム・ジャンヌ/レサシエル
170 みやげもん 059 牛のお守り/次号予告
143 定期購読募集
147 BRUTUS BACK ISSUES
From Editors 1
特集冒頭はチェ・ゲバラを紹介。彼も本を読んで人生を考えた人物でした。09年新春公開、注目の映画2部作『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』より。戦場でも本を手放さなかったゲバラの姿をベニチオ・デル・トロが熱演してます。
>> 映画のサイトはこちら
©2008 Guerrilla Films, LLC-Telecinco Cinema,S.A.U.

血液型でも勉強法でも分からない?
「本」と「生き方」の微妙な関係。

 トーハン発表の2008年ベストセラーランキングによれば、総合1位は人気シリーズ最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』。ジャンルは海外文芸ですね。しかし、続けてトップ10を見ていくと……2位『夢をかなえるゾウ』は自己啓発の習慣レクチャー小説。3位は『B型自分の説明書』で、4、5、9位もその型違いシリーズ。6位『ホームレス中学生』も小説形式とはいえお笑い芸人の自叙伝です。7位はズバリ『女性の品格 装いから生き方まで』、8位はその続編『親の品格』。10位も自分を高める実践術として『脳を活かす勉強法』、という案配。
>> トーハン発表の2008年ベストセラーランキングはこちら

 そう、1位こそ例外ですが、続く上位は軒並み見事に「人生を考える、生き方を考える」本なのでした。もちろん今年に限らず、人が本に求める要素として、広い意味の「生き方」は常に上位にあるでしょう。ジャンルが文芸であれ実用であれ、人生を変えるーーあるいはわずかでも人生に影響する瞬間を経験できるのは、読書の大きな魅力というもの。

 この特集では、上記のベストセラーこそ登場しませんが、いろいろな「生き方」を考える本を集めてみました。取り上げるのはチェ・ゲバラを筆頭に白洲次郎・正子から赤塚不二夫まで様々な人生とその言葉。たとえば、革命家ゲバラがギリシャ哲学から近現代思想まで渉猟する大変な読書家でもあったことは、彼に関する資料の随所に記されています。自身が名著に学んで生き方を考え、またそうして生きた人生とその著作がいま、現代を生きる人々の生き方を変えているーーそんな影響の連続は、今も続いてるようです。

 そしてもう一つ。2009年に脚光を浴びるーーそう担当スタッフ&ライター陣が考え、選んだキーパーソン30人をまとめたブックインブックを付録につけました。皆、その本が書店で話題を呼び、あるいは呼ぶことになりそうな面々。来る年を占うヒントとなるようなセレクトを目指しましたが、いかがでしょうか。

 さて特集ページが校了し、いま編集部のデスクには今回取り上げた様々な本が山積みに。もともと不勉強な上に日頃はネットでニュースを見るばかりという身ですが、今はこの“宝の山”を掘り起こさなければ、という気持ちがヒシヒシと……。年末年始、少しゆっくり時間が取れる時期、読者の皆様にもこの特集がちょうどいいお役に立てれば、と思います。

 

●渡辺泰介(本誌担当編集)

このページの先頭へ

From Editors 2

当社秘蔵の写真を元に、辛酸なめ子さんが白洲正子の艶姿をチャーミングに描いてくれました。

空前の白洲正子ブームを辛酸なめ子が
ひとり静かに眺めてみると……。

 友人に白洲正子のファンがいる。「審美眼」という言葉を日常生活でもちょいちょい使い、「にせもの」が嫌いで、「ほんもの」を好きだという。かばんの中に“とんぼの本”の白洲正子特集をしのばしている月もあった……。そんな彼女のエピソードを歯医者帰りの辛酸なめ子さんに話したら、静かに、「正子のこと、書けそうです」と言ってくれた。これが、我々の第一回目の“本特集”打ち合わせでした。今もなお、(主にクリエイティブ畑の)女たちを魅了してやまない白洲正子の魅力とは? その秘密を解明してもらうべく、週末、町田市にある記念館<武相荘>に足を運んでいただいたりもした。こうして、何十冊もある著書に目を通し、<武相荘>に生息する“正子ニスト”を研究してもらっている間に、なめ子さん自身にも変化が起きたというのです。「街を歩いている時は正子フェアを開催している書店に、書店に入れば正子関連の本棚に呼ばれるようになりました……」と。やはり、何かに“呼ばれる”ところまで行き着いてこそ、辛酸ワールドは展開するのだな。短期間でひとりの作家に精通する、なめ子さんのスピードたるや相当なもの。今回の仕事を通して、“前倒しの女王”と呼ばれる彼女の生き方を目の当たりにしたような気がしました。なめ子さん、歯医者通いはそろそろ終わった頃でしょうか? 打ち合わせ中はお菓子もコーヒーも断たれていましたが、今頃は甘党復帰していることを願います。

 ちなみに、パートナーである白洲次郎の記事を書いてくれた、もうひとりの“前倒しの女王”である酒井順子さんとの初の打ち合わせは、奇しくも東急本店内の甘味処でした。特集テーマをキャッチするのも、締め切りまでも前倒してしまう才能を持ち主に(おふたりとも驚くほど速筆なんです)、甘いものは必須なのでしょうか。なめ子さん、順子さん、白洲夫婦の研究ありがとうございました!

 

 

●吉田直子(本誌担当ライター)

このページの先頭へ

From Editor in Chief
松山市の伊丹十三記念館はあったかい場所です。建築家・中村好文さん設計の建築も、資料の見せ方も、伊丹十三が本当に好きな人たちが考えたつくりになってます。お土産の十三饅頭、3つ食べました。

世界一魅力的な「空っぽの容れ物」になりたい。
ブルータスは伊丹十三に教わってます。

「と、いうようなわけで、私は役に立つことをいろいろと知っている。そうしてその役に立つことを普及もしている。がしかし、これらはすべて人から教わったことばかりだ。私自身はーーほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない。」(伊丹十三『女たちよ!』前書きより。新潮文庫)
 寝不足じゃないですか? YouTube見過ぎですよ。何度も言うけど、すべて見るには2,000年かかります。慌てない慌てない。年末年始に考えるのは、この先数十年の話、生き方です。モニタから離れて、本と人。「生き方」を考える本、250冊、年末はこの特集をぜひ読んでください。
 僕が「生き方」を学んだのは、伊丹十三さんの著作です。
 きっかけは、僕が憧れる人たちがこぞって、伊丹さんに憧れていたから。僕の“人生の師”の映画監督も、私淑するテレビプロデューサーも、数々の編集の先輩も皆、伊丹本を読んでいた。著作を読み込んでみたら、先輩たちの元ネタがたくさん見つかりました。あのとき得意げに話してたのは、このエッセイに出てるじゃないか…とクスリとしたり。
 伊丹さんの『女たちよ!』の前書きは、寿司屋の勘定の払い方は山口瞳さんに、包丁の持ち方は辻留さんに、パイプ煙草、食事のマナーやレモンの割り方は誰それから…と始まります。伊丹さんの周囲に集まるのは、いつもホンモノの人たち。しかも、そこで得た話を、僕らにとびきりおもしろく語ってくれる。読んだすぐ後、誰かに話せるくらい勘所をつかんでいて、ホント、ずいぶん使わせていただきました。
 冒頭は、前書きのしめの部分。伊丹さんに学ぶのは、「空っぽの容れ物」という在り方生き方。なんか雑誌も似てるな、と最近思ってます。いい容れ物になりたいです。

 

●西田善太(ブルータス編集長)

このページの先頭へ