マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 669
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No.669 CONTENTS
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| 017 |
Et tu, Brute? 「アル・フランケン」ほか |
| 053 |
Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報 |
| 100 |
人間関係 388
写真/篠山紀信『どちらへ』ヨンア、横山 剣
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| 103 |
Begin Your Journey 021 御殿場美華ガーデン×AUDI Q5 |
| 105 |
MIX & MASH
「蜷川幸雄」ほか |
| 114 |
BRUT@STYLE 216 Mr. White |
| 118 |
グルマン温故知新 300 日本料理 TAKEMOTO/クーリ |
| 120 |
みやげもん 074 大久保さんの八幡馬/次号予告 |
| 065 |
定期購読募集 |
| 099 |
BRUTUS BACK ISSUES |
【SPECIAL CONTENTS】
葛飾北斎の『諸國瀧廻り』カード。 |
『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』をはじめ、さまざまなテイストの浮世絵を世に残した葛飾北斎。自らを画狂人と称した彼の真骨頂を示す『諸國瀧廻り』の8図をBRUTUS謹製浮世絵カードとして本誌の付録にしました。ここでは、そのうちの3図を特別にご紹介。揃物の中でも激レアなこの付録、北斎ファンはもちろん、浮世絵ビギナーも、ぜひお手元にどうぞ。
*下の図版をクリックすれば、カードの裏面に書かれている説明書きを読むことができます。
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葛飾北斎『諸國瀧廻り 木曾路ノ奥阿彌陀ガ瀧』日本浮世絵博物館蔵 あまり知られていない北斎の大傑作。現代においても斬新な水の表現力は圧巻。
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葛飾北斎の珠玉の優品たちを
カードにしちゃいました。
「センターが、とよひなちゃんなんですよ」
ある美術館の浮世絵展で、喜多川歌麿の「当時三美人(富本豊ひな、高島おひさ、難波屋おきた)」を見ていたときに、三人の立ち位置がわからなくなって、「富本豊ひなは左の人でしたっけ?」と、美術館の方に尋ねたときの答えです。センターが豊ひなちゃんなんだ……。正直言ってそれまであまり愛着をもてなかった浮世絵の美人画観が、そう言われた瞬間からガラリと変わってしまいました。
言われて見ると、確かに3人の中で一番整った顔立ちの豊ひなちゃんは、別作品でもたいていセンターでした。まるで往時のゴマキのように。歌麿師匠のお気に入りだったんですね、彼女は。
葛飾北斎や歌川広重の風景画はわかりやすくとっつきやすい。ですが、実在の遊女や町娘の個々の特徴を取材して描き分けた歌麿の美人画も私のようなビギナーの方にはオススメです。歌麿師匠がどう描き分けたは、上記3人の目、鼻、口に寄って、よ~く見比べられる本誌をぜひご覧ください。ちなみに、切れ長の目のおきたが私はタイプです。でも、思えば好きなコはいつだってセンタータイプではなかった気がします。どうでもいいですね、すみません(笑)。
ところで、今回は特別付録に、日本浮世絵博物館さんのご協力のもと、葛飾北斎の「諸国滝廻り」の全8枚をカードにしました(写真)。北斎は水の表現にこだわり、特筆すべき優れた作品を多数残していますが、その中でもこの「諸国滝廻り」シリーズは、なかなか全8枚を一堂に見ることができない逸品揃いです。プロ野球カード(1973年)より古い1970年からの永谷園さんの浮世絵カードを覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、カードの先人へのリスペクトでもあります。
意外と知られていないですが、浮世絵は「ぜんぜん買えるアート」です。江戸時代のモノだから高いに決まってると勝手に思い込んでいたのですが、誰でも知っている広重の「東海道五拾三次」が1万円台で手に入ったりする「大量にプリントされた身近な大衆アート」なのです。ある日の原宿の浮世絵美術館のお客さんは私以外全員外国の方でした。ちょっともったいない気がします。本誌をきっかけに博物館・美術館・ショップを訪れて、実物を見て、触れることをぜひオススメいたします。きっと楽しいですよ。
●黒岩広義(本誌担当編集)
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ロンドンのロイヤルアカデミーオブアーツで今年開催された
「KUNIYOSHI展」を見に行きました。大盛況でした。
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浮世絵を紹介するために現代美術を
使ってみた。なるほど、わかるわかる。
「似ている、とか言ってるだけじゃなくて、”比較”しなければいけないよ」と言ったのは、デカルト先生だったか。そうじゃなくて、「類似なものは二つ並べると面白いんだ」と教えてくれたのだったか。どちらにしてもそんな簡単な言い方でないことだけは確かなのだけど。
浮世絵を見ていると、あ、こういうの現代美術にもあるある、つながってるね、と思うものに出会います。現代のアーティストが意識してるものもあれば、たぶん無意識のものもありますね。たとえば、鈴木春信の描く女性たちのたおやかな線と画家・町田久美が丁寧に引く曲線に共通点を見たり、写真家・藤原新也は現代的な「冨嶽三十六景」を撮っていたり。及川正通はスターたちの似顔絵を描き続けているけれど、200年前にはそれは写楽や豊国の仕事だった。美人画なら昔・喜多川歌麿、今・篠山紀信に、おまかせというところだろう。
この特集ではただ単に、この絵は誰々という浮世絵師の作で、この人はですね・・という紹介の仕方はしていません。この絵、いいでしょ、今なら村上隆が、奈良美智が、会田誠がこういう役割を果たしていますね。浮世絵って江戸の人たちの最先端アートだったんです、と紹介してます(アートというだけでなく、浮世絵は雑誌のようなメディアでもあったわけで、そのことも取り上げてます)。200年ほどの隔たりではやってることはたいして変わらないのかもしれません。
ただの浮世絵画集ではないですよ。浮世絵好きは余裕で現代美術もわかるし、現代美術好きはこれからはきっと浮世絵にも興味持てちゃうという画期的な特集がこれなんです。
●鈴木芳雄(本誌担当編集)
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浮世絵師は誰にするか、担当黒岩と考えました。逃走劇は、今回の表紙にも登場した葛飾北斎に頼みます。冨嶽三十六景の外伝、「甲州見延越」。今だったら、表紙もありか。
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江戸のうわさ話に花が咲くとき、
真ん中にいつも、浮世絵がありました。
なにしろスキャンダル好きなもので、江戸庶民は。
今の世に浮世絵師がいたら、ここ一番のかき入れ時。看板娘の逃走劇、空白の6日間を下敷きにした連作が飛ぶように売れ、人気役者のスキャンダルの方は、もう売り切れ必至でしょう。手に入れた人は幸運です。懐から絵を出せばもう人だかり、皆であることないことピーチクパーチクで大盛り上がり。
いつも話の輪の真ん中にあったのが浮世絵なんです。
浮世絵はもう噂レベルで書いちゃう。人気の水茶屋の娘、笠森稲荷前のお仙が誰それと仲がいい、てだけで、駆け落ちの(想像)図がばらまかれる。おもしろければそれでいい。江戸中にうずまく妄想を、多色摺りで仕立てます。
浮世絵が海外に渡った当初は、一枚一枚手で描いた絵だと思われていたようです。寸分もずれなく多色摺りをしているとは思いもしなかったそう。一枚絵より、手摺り、プリントの方が難しい。伊豆の桜を彫り込んだ版木を使って、1枚の紙に幾度も重ね摺りする。噂レベルの駆け落ちの絵でも、相当な熟練の技を経てるのが好き。プロなんです。
若冲、国宝、琳派、仏像と巡ってきたブルータスの日本美術特集は、とうとう浮世絵にたどりつきました。一番大衆的だから、浮世絵特集はお勉強スタイルではなく、目で楽しむスタイルになってます。
江戸庶民は、話の種は浮世絵で見つけました。おもしろいことは「浮世絵に聞け」なのです。でもって、浮世絵のことはブルータスに聞いてください。
●西田善太(ブルータス編集長)
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