マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 685
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No.685 CONTENTS

features

018 居住空間学2010
家具が育てる部屋。
020 見立て、見いだし織りなす、理想の住まい。/吉田昌太郎
024 自分の価値観に正直に、ありのままで住む。/森田大剛
028 名作家具と暮らす北国の森の家。/織田憲嗣
032 “遊び仲間”がそばにいる、賑やかな秘密基地。/つがおか一孝
036 住み継ぐ。室伏次郎、吉村順三が建てた家。
046 アンダーカバー、高橋盾の家具にまつわるストーリー。
050 先人たちの言葉を知れば、家具のおもしろさが見えてくる!
051 「あのデザイン」の歴史と背景がわかる家具map。
056 建築家は家具までデザインしたいのです。
058 憧れの家具から妄想する8つの部屋。
074 Home, Sweet Hudson !
いつかはハドソン・ヴァレー。
「伝説の家具ディーラー、安住の地」マーク・マクドナルド/「マルセル・ブロイヤーのトレーラーに住む」デヴィッド・ディアオ/「ようこそ、カリム・ワールドへ」カリム・ラシッド……etc.
 

regulars

011 Et tu, Brute?  「ジャーメイン・ジャクソン」ほか
065 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
104

人間関係 404
写真/篠山紀信『クールアダム』アダム・ランバート、デーブ・スペクター

107 Begin Your Journey 037 三菱RVR
109 SUPREME BRUTUS
「忽那汐里」ほか
118 BRUT@STYLE 230 rokusoan
122 グルマン温故知新 316 ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ/ビストロ・アバ
124 みやげもん 090 身代わり蛙/次号予告
099 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集
 
【SPECIAL CONTENTS】
憧れの家具から妄想する3つの部屋。

憧れの家具を1つ手に入れるだけで、平凡だった生活が新鮮で豊かなものに。
場所も予算も度外視して、ひとつの家具から理想の暮しを妄想してもらいました。
本誌では8人の究極の空間をご紹介。ここでは、そのうちの3人の“妄想”を公開します。

From Editors 1

犬は自分の家を褒めてくれる人が大好きになるようです。加西の家の住犬カルムに熱い抱擁を受けている担当フォトグラファーの伊藤徹也さん。「こんなに熱いキスを受けたのは、人生で初めてかも……♡」目を覆わんばかりのラブシーンでした。

居住空間について考えることは、
人生の道楽をひとつ増やしてくれます。

今、7/15発売号に向けて、スタジオジブリ関連の調べものをしています。かれこれ2010年があけてから、家ではずっとジブリの映画が流れている気がします。今回の『居住空間学2010』を作っている間も、ずっとずっと流れていました。その中に、『ポニョはこうして生まれた』という5本組の DVDがあります。ある場面で、宮崎駿監督が言いました、「空間を作ることは究極の道楽」だと。目の前がぱっと広がりました。ジブリ特集についてではなく、『居住空間学2010』のテーマについて。『もっと住むことにどん欲に、わがままに、そして少し贅沢になった方がいい』。

そんな思想を編み込みつつ、取材した兵庫県・加西の住まい手は、「あんたじゃなくてもできる! って家は面白くない」と気炎を巻きちらし、神奈川・茅ヶ崎にて、住宅建築の巨匠・吉村順三の家に住む人は、「家にふさわしい人間になりたい」と謙虚に語ります。今回、登場してくれた住まい手たち、それぞれ顔は違うけれど、自分らしい空間と真摯に向き合い、そして楽しみ尽くしている充実の表情があります。

「空間について“考えるだけ”でも道楽」。この号の取材を終えて、僕がたどり着いた答えのひとつです。みなさんも『居住空間学2010』とともに、あらためて、いま住んでいる部屋について考えてみませんか?

 

●杉江宣洋(本誌担当編集)

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From Editors 2

「大和町の家」は特集内「住み継ぐ」をテーマに取材した中の1軒。「これすごくないか?」と矢印入りで突っ込みを書き入れた取材メモ。漢字の少ない汚いメモで失礼!


家とは、住まいとは
とてつもなく強いものなのでした。

「こんなにいい加減に生きていていいのかと問いかけてくるような家だった。だから会社を辞めた」

「大和町の家」の建主、中原洋さんはサラリとそう言って、30年住んだ家との関係をどんどん話し始めるのだけれど、私はその言葉を簡単に消化することができず、ちょっと面食らったみたいになっていました。

取材ノートを見返してみると、「これすごくないか?」と突っ込みを「書き入れて」いる私。その場で言えよって話でもあるのですが、返す隙もなく言われた言葉の重みを、その後の取材を通して考え続けることとなりました。家とは、住まいとは、それほどまでに強いものかと。

「大和町の家」は建築家、室伏次郎さんの設計で1974年に完成。2004年に現オーナーへと住み継がれました。ある特定の人のために、たったひとつ、オーダーメイドで作られた家が、新たな住み手にとっても魅力的で価値をもつということ。それは偶然ではなく、住むこととか生きることに真剣に向き合って作られたものだけが持つ、力なんだと思います。「建物」という外側の話だけではありません。今回取材した家や部屋のどれもが、そういう力を持っていました。

誰にでも合うように作られた平べったいものが、結局、誰の心も動かさず、何も生み出さないってことはよくあるわけで、あぁ、雑誌だって同じじゃなかろうかと、背筋が伸びる思いがします。

 

●岡野 民(本誌担当ライター)

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From Editor in Chief

その前年、『もう家は建てない!__集合住宅特集』がヒットしたのに、'99年に作ったのは「東京23区に家を建てられますか?」です。その中で自分がお気に入りの企画は「センセイじゃない建築家リスト」。一緒に家を建てたくなるセンセイじゃない若手建築家有望株を厳選してインタビュー(皆、現在も大活躍中)。でもって、1年後に「安藤忠雄があなたの家を建ててくれます」ですから、編集者ってのはホント、節操がない。というか、僕なんですけどね(涙)。

編集者は何冊も「この号に尽きる」特集を持つ。
さて、インテリア特集「居住空間2010」は?

90年代の半ばに『コンピュータ最終案内』という特集を作りました。人からもらう名刺にメールアドレスがあったりなかったりの頃です。「そろそろ最終案内、発車のベルが鳴る。迷っている人も、そろそろ未来行きの列車に乗りましょう」とうたう特集です。その後もコンピュータやネットワークを追いかけてきましたが、いつもあの号が頭に。あの号が始まり。あの号に尽きる。

同じように自分が追いかけているジャンルが建築とインテリア。往年の人気連載「ブルータス不動産」、ブルータスやカーサの住宅特集取材で、数え切れないほど住宅を見てきました。目は肥えていると思います。こちらも“あの号に尽きる”をいくつも持ってます。狭小住宅特集なら『東京23区に家を建てられますか?』、建築家と家を建てる特集なら『安藤忠雄があなたの家を建ててくれます』、住宅マニュアルなら『最強・最新、住宅案内20xx』などなど、自慢話は尽きません(笑)。

でも、インテリアの特集だけは、この1冊と決める特集がまだないんです。

だって、毎年、おもしろくなるから。「心地よい」インテリアがどんどん見つかっちゃうんで、決められないのだ…。
『居住空間学』は今年3年目になります。毎年、GW最中の5月1日はインテリア特集、と編集長になった時から決めていました。創刊30周年を迎えるブルータス往年のヒット企画名を、あえて復活させたものです。

建築に偏りがちだった自分のスタッフたちに、「住まい手>建築家」とだけ書いた企画書を見せて始めた企画は、毎年毎年、変化します。よりおもしろく、かなり新鮮に。

なぜだと思います? 住まい手のセンスには限界がないからです。無数の体験と実験が繰り返されて、今もどこかに、僕らが驚愕するような部屋が生まれている。建築家というプロとの出会いに左右されない、自分だけのインテリアは、でっかいノリシロがあるんですね。自分の持っている家具をスケール通りに書き出してから、家の設計を決める人(P.28)、少年の夢は50代に叶うんだ! とうっとりできる、自分の遊び道具と一緒に暮らしてる人(P.32)。自分だけの場所に時間と情熱を注ぐ人たちは、私的でわがままで、なのにどこかしら「今」とつながってる。「価値観の判断が外側にある人たち」(P.26)と、真逆の人たちに会いに行ってるんだから、おもしろくなるに決まっています。

で、完成しました。インテリア特集はこれに尽きる1冊。『居住空間2010』。とりあえず、2010年の「これに尽きる」ですけど。

 

●西田善太(ブルータス編集長)

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