マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 689
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No.689 CONTENTS

features

016 民芸とみやげもん
018 あれも民芸、これも民芸。
MINGEI with LIFE
024 坂田和實さん、こんなモノたちも民芸ですか?
028 染織工芸作家・柚木沙弥郎、民芸が教えてくれたこと。
034 現代のスリップウェアを求めて小代焼・ふもと窯へ。
038 残したい民芸。
044 東西の才人が愛した世界の民芸。
048 海の向こう、サンディエゴにもミンゲイの心を継ぐ人がいます。
052 みんぱくで世界民芸運動⁉
056 「いのくまさん」のおもちゃコレクション。
063 BOOK IN BOOKみやげもんスペシャル。リーチも愛した、きじ車の里へ行く。/諸国みやげもん図鑑/川崎巨泉を知っていますか?/住吉名物、千疋猿が復活します。
088 第2特集時計は死んだか?
 

regulars

009 Et tu, Brute?  「カラテ・キッド」ほか
081 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
118

人間関係 408
写真/篠山紀信『ミラーアレンジメント』東 信、後藤浩輝

121 Begin Your Journey 041 BMW X1
123 SUPREME BRUTUS
「ウィリアム・エグルストン」ほか
132 BRUT@STYLE 234 「今日 空 晴レヌ」
136 グルマン温故知新 320 京割烹 熊はん/二戀
138 みやげもん 094 八雲の熊木彫り/次号予告
117 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集
 
【SPECIAL CONTENTS】
ワールドカップ記念!? 
世界のかわいい民芸品、代表選手たち。
当然のことながら、「民芸」は世界中に存在する。民衆のエネルギーを肌で感じることのできる、ブルータスオススメの世界の民芸品をここで紹介。人形から仮面、陶器まで、今すぐ日本で手に入れることのできる民芸品たちを集めました。国旗をクリックすれば、その国の「代表選手」が見られます!
From Editors 1

「飛びかんな」や「刷け目」の技で知られる小鹿田焼の里、坂本窯の坂本浩二さん。職人然としたイケメン。突然押し掛けたにもかかわらず、快くいろいろなお話を聞かせてくださいました。坂本さんの作る見事な壷は本誌「残したい民芸。」のページで紹介しています。

大分の山間の里で、昭和初期にタイムスリップ!
2010年民芸の旅。

昭和18(1943)年に柳宗悦が書き上げた『手仕事の日本』(岩波文庫)は、いま読んでも楽しい本です。20年かけて美しい手仕事の残る日本各地を巡ってそれを記録したもので、民芸思想の貴重な資料であることを抜きにしても、大好きなものをひたすらに追い求めて旅する著者の昂りが感じられる名著です。残念なのは、そこで紹介された民芸のうち現存するのがわずか2割程度ということ。時代の流れではあるにしても、やっぱり寂しい現実ではあります。

それに煽られる気持ちもあって、大分県日田の小鹿田(おんた)焼の里へ行ってみました。静かな山間に10軒の窯元がひっそりと寄り合っている感じが、まさに里と呼ぶにふさわしい佇まい。『手仕事の日本』の中でも、「昔の窯場がどんな様子であったかを思いみる人は、現にあるこの小鹿田の窯を訪ねるに如くはないと思います」と評されていましたが、柳宗悦が里を訪れたのが昭和6年ですから、すでに80年前。さすがにそのままというわけには……という思いもなくはなかったのですが、里の姿を見たらそんな疑念も消えました。

小鹿田焼は、基本的に他の土地からの後継者をとらず、窯の数も増やさないことで、ずっと里の中だけで受け継いできているそうです。後継者不足で消えていく民芸も多い中、ここの窯の子は里で成長するうちに、自然と職人としての生き方を受け入れていくようになるといいます。材料は地元のもの、電動のろくろは使わないなどのルールも多く、保守的、閉鎖的ととる人もいるでしょうが、それによって80年前のままの姿を残せているのも事実。それは、やはり幸せなことのように思えるのです(偉そうな言い方ですみません)。

なので、今回の特集で民芸に興味を持っていただけたら、より深く知るために、ぜひ小鹿田焼の里にも足を運んでみてもらえればと思います。もし、いま柳宗悦が生きていても、「現にあるこの小鹿田の窯を訪ねるに如くはない」と言うはずなので。

 

●中西 剛(本誌担当編集)

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From Editors 2

7/9-8/1まで、クラスカの<Gallery2>にて「みやげもん展 ふたたび」が開催されます。特集で紹介したみやげもんなどが展示される予定です。
Gallery2/東京都目黒区中央町1-3-18 2F、無休、11:00-19:00 Tel: 03-3719-8124


巻末連載「みやげもん」が、
特集ページにお邪魔してます。

「うちのは“おみやげもの”じゃなくて、伝統工芸品なんですけどね」。
ドキッ。来ましたよ、いつもの。

“おみやげもの”という言葉には、「観光客相手に作られたわりといい加減なもの」ってイメージがあるみたいで、取材のお願いをすると、ちょくちょくこんな感じのリアクションをいただきます。たしかに、観光地の土産物店には、軽くめまいがするほどの、ユルいおみやげものも多いですから(これはこれで旅の楽しみのひとつだったりもするんだけど)、「一緒にされたくない」という気持ちもよーくわかります。まして、“おみやげもの”よりもう一段ダラダラ感の増した“みやげもん”なんてタイトルの連載ですからね。

“みやげ”とは、もともとは「宮笥」と書き、神社からいただくお酒や菓子を入れる器のことだったそうです。その昔、大流行した伊勢神宮へのお参りは、なかなか庶民にできることではなく、村の人々が皆でお金を積み立てをし、代表者が「お伊勢参り」へと向かいました。そして、参拝の証として伊勢神宮からいただいた宮笥を持ち帰り、村人みなにふるまったそうです。ところが、量が足らず村人全員に行き渡らないことも多く、宮笥の他にご当地の特産品を買って帰るようになり、今の“みやげ”スタイルになったのだとか。

“みやげ”という言葉はもともとありがた〜い物を指す言葉だったんですね。「みやげもん」の紹介ラインナップに寺社の授与品が多いのは、そんな由来からです。ということで、当然のことながら毎回多大なるリスペクトを持ってご紹介させていただいてますので、なんだかいい加減な名前の連載ですが、今後とも取材にご協力お願いします!

さて、今号は、巻末でひっそり続いていた「みやげもん」が、特集ページにお邪魔してます。深夜枠ではまぁまぁだった番組が、ゴールデンになった途端化けの皮がはがれる、なんてことになりませんように……。

 

●川端正吾(本誌担当ライター)

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From Editor in Chief

10年前、柳工業デザイン研究会と日本民藝館に通い詰めて作ったカーサ ブルータスはムックに。工業デザインの中にも民藝の思想が生きている、そこんところはこっちの本でご覧ください。

>ムックの詳細はこちら


「ウソヲカリナケレバアラワセナイマコト」
河井寛次郎に誉められたい。

僕の愛してやまない文章があります。民芸運動家の一人、陶芸家の河井寛次郎による激烈な誉め言葉。棟方志功の作品を見た感想の手紙です。

民芸運動の中心人物、柳宗悦はもともと白樺派の同人です。民芸という思想を民衆に広げるために、言葉が果たした役割は大きかったはずです。宣言は高らかに、理論は力強く。彼らが使う「健康な美」というフレーズには、現代で言うところのコピーライティングの才能を感じます。

しかし、それよりもなによりも、彼らの言葉が力を発揮したのは、同時代の作家を誉めるときだったと思うのです。民芸運動に賛同して次々に生まれる作家を激励し、鼓舞し、作品を讃える。作家たちを前に前にと進ませたのは、「用の美」のように使い込まれた言葉の新しい組合せ、使い方…つまりは、素晴らしい誉め言葉だったんだと。

近作六枚続キノ大幅ミタ、アレハ何ダ、何ト言フアレハ狼藉ナ仕事ダ、何トイフ不逞ナ表現ダ、何トイフマバユイ労働ダ、世界ヘノ何トイフコレハ新ラシイ喜ビダ、獣物ノ何トイフ素晴ラシサダ、人間ノ何トイフ高貴サダ、何トイフ無茶苦茶ナ美術ダ、今想ヒ出スニ血ガ湧ク、勇ミ出ス、(中略)スベテハ何トイフ腹ノ立ツ素晴ラシイウソダ、何トイフケダカイ無礼ダ、何トイフカグワシイインチキダ、(下略)。

棟方志功の新作を見た、という河井寛次郎の言葉。すごいと思いませんか?
「今想い出すに血が湧く、勇み出す~何という気高い無礼だ、何という香ぐわしいインチキだ。」
僕ならこの手紙を懐にしまって、その勢いで次の作品に不眠不休で挑んでしまいそう。

河井寛次郎はこんな言葉も残しています。

ウソヲカリナケレバアラワセナイマコト。

なんかすごい。少し震える。
嘘を借りなければ表せない真実。
この言葉は、創作に携わる人を引き込む魅力のカタマリです。

この手紙を読むたびに思うんです。1度でいいから、これくらい誉められたい。
河井寛次郎に誉められたいのです。

 

●西田善太(ブルータス編集長)

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