ブルータス - BRUTUS | 701

マガジンワールド|株式会社マガジンハウス
 

No.701 CONTENTS

features

014 男の作法
016 酒 酒の飲み方にこそ、男の美学が表れる。
022 ファッション 流行では選ばない。哲学があるから身に着ける。
026 伝え方 男たちの言動が聴衆の魂を大きく揺さぶる。
030 仕事 通人が惚れ込んだ職人たちの流儀。
034 金 金の使い方で、男の器は試される。
036 人情 情厚き人には理由がある。映画における「人情考」。
040 スタイリッシュの値打ち。 文/村松友視
043
特別付録
遊んで覚える男の作法かるた 46人の先人たちの、男の生き様。
074 趣味 真剣に取り組むからこそ生まれる、遊びのルール。
078 色気 100%女子目線! 香り立つ男の条件とは。
080 クルマ 愛する1台の選び方、付き合い方。
084 社交 百戦錬磨の11人が挙げる、マナー+αの社交作法。
090 クリント・イーストウッドの作法。
 

regulars

007 Et tu, Brute?  「チャーリー・シーン」ほか
059 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
098 人間関係  420 写真/篠山紀信
『むきだしの母』園 子温、園 いずみ、園 路果
101 Begin Your Journey 053 Audi A1
103 SUPREME BRUTUS
「今江敏晃」ほか
112 BRUT@STYLE 245 table manners
116 グルマン温故知新 332 流石別館/仁行
118 みやげもん 106 彫物/次号予告
093 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集
 
【SPECIAL CONTENTS】
46人の粋人たちの作法が詰まった、男の作法かるた。
本誌にて、特別付録として収録されている「男の作法かるた」。過去の粋人たちの作法が、花くまゆうさくさんのイラスト&参考文献と共に紹介されています。誌面で紹介する46人のうち、3人分をご紹介。次の新年会では、かるたを囲んで男の作法を覚えてください!
From Editors 1

自らが経験したエピソードをもとに書かれた1冊には、男の作法が詰まっている。『女たちよ!』伊丹十三/新潮文庫/500円。

憧れの大人になるためには、
まず自分の“野暮”を感じるべし?

「寿司屋で勘定を払う時、板の向こうにいる職人に金を渡すものではない。彼らは直接食べ物を扱っているのだから。このことを私は山口瞳さんにならった」
伊丹十三さんの著作『女たちよ!』の前書きにある一節。伊丹さんは続ける。包丁の握り方は辻留さんに、俎への向かい方は築地の田村さんにならった。パイプの扱い方は白洲春正さんに、刺身の食べ方は小林勇さん……最後はこう締めくくる。
「と、いうようなわけで、私は役に立つことをいろいろと知っている。そうしてその役に立つことを普及もしている。がしかし、これらはすべて人から教わったことばかりだ。私自身は──ほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない」

どこまで本気なのかは分からないが、“本物”を求め続けた粋人として知られる伊丹さんが自らを「容れ物」と評し、スタイルの手本は他の通人たちの“作法”にあると書いた。最初は知識として入ってきたことが、真似るうちに板につき、容れ物の中で混ざり合い熟成され、私たちが見聞きする伊丹さん一流の“作法”になったのではないか、と推測する。

今回、酒の作法について聞くために、秋田にある〈BAR ル・ヴェール〉の佐藤謙一さんを訪ねた。佐藤さんは帝国ホテルで23年、独立後に銀座の店で12年というキャリアを経て今に至る、名バーテンダーだ。今号でエッセイを寄稿していただいた村松友視さんとも親交が深い。彼の話を聞くにつれて、私の「まったく無内容な、空っぽさ」加減を実感する。酒の銘柄についての話に始まり、深く酔ってからはバーに行かない、まわりのお客にも細やかな気配りを、長居はしない……。

佐藤さんのみならず、今回取り上げた粋人たちは皆“本物”を志向する方々ばかり。いちいち私の“容れ物感”を痛感する結果となった。
でも、それでいいのだと思う。きっと、粋な大人への道は、自らが空っぽであることを認識し、通人たちに学ぼうとする姿勢から始まる。大事なのは、良きものを積極的に取り入れ、上手にブレンドや熟成をする、優秀な容れ物になることなのだ……なんて、自己弁護してしまう。
今号を読んでいただき、少しでも“自分を磨く”きっかけになれば嬉しい。

 

●阿部太一(本誌担当編集)

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From Editors 2

言い回しを考える際に使用した50音表。あまりにも苦労したため、今号が完成して何週間も経った今でも捨てられずにいます。

作法とがっちり向き合った2ヶ月間。
世代を超えて使える付録の完成です。

打ち合わせで出た軽はずみなヒトコトから、苦難の道は始まりました。
「年明け1号目だし、昔の人の作法は“かるた”にして紹介するのがいいんじゃない?」
後に味わうことになる苦労など知る由もなく、閃きは行動に移されました。今号の特別付録『男の作法かるた』のために集まったスタッフは計6人。数々の無理難題な企画を手掛けてきた、百戦錬磨のエディター・ライターばかりです。

まずは、ネタ出し。「男の作法」と呼ぶにふさわしい、過去の粋人たちの言葉や振る舞いについて調べます。集まった作法は、一見するとどれも“男らしい”ものばかり。けれど、精査してみると、“単なる言葉”だったり、“ある日の出来事”だったり。今回求めているのは、その人物の生き様や美学が感じられる言動。ここで、スタッフには改めてコンセプトを確認してもらいます。「OK」「NG」のやりとりを繰り返すこと、なんと1ヶ月! このあたりから、今回の企画の難しさをヒシヒシ実感することに。

次のハードルは、「言い回し」。かるたなので、並べる順番は50音順。出揃った作法を眺め、一文字目を調整しながら言い回しを考えます。50音表をつくり、成立した文字を順番に消していきます。“あ行”や“か行”の音から始まる言い回しはすぐに思いつきますが、困難を極めたのが“な行”と“ら行”……。打ち合わせに打ち合わせを重ねます。深夜、ぐつぐつと煮詰まった状況の中、救世主となったのは「ロブスターとも対等に闘うため、最新技術は使わない」と謳ったジャック・マイヨール。彼の登場は、私たちに大きな感動を与えてくれたのでした。

最後は、読み札のブラッシュアップ。なるべく区切りのよいところで改行し、3行になるように整えていきます。少ない文字数に四苦八苦しながら、調整します。編集者やライターだけでなく、デザイナーや校正チームも総出で取り組みました。そして同じ頃、花くまゆうさくさんから46点のイラストが到着。およそ2ヶ月の作業期間を経て、大作『男の作法かるた』ができ上がったのでありました。

これから毎年、正月には家族全員でかるたを囲み、人間として成長させてくれた2ヶ月間を思い出すでしょう。私に息子が生まれれば、このかるたを通じて男としての生き様を彼に伝えていくことでしょう。そして私自身も、46人の粋人たちの作法を改めて心に刻むことで、より一層男に磨きをかけていくことでしょう。まさに永久保存版の今回の付録、とくとお楽しみください。

 

●田島 朗(本誌担当編集)

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