ブルータス - BRUTUS | 702

マガジンワールド|株式会社マガジンハウス
 

No.702 CONTENTS

features

026 居住空間学・椅子編
座るブルータス
028 椅子と暮らす、3軒の居住空間。
  37年の歳月、家と椅子と時間をかけてよい関係を築く。…阿部 勤
  リノベーションの家を埋める椅子たちの果たす役割。…伊藤愼一
  「住むための道具」に刻まれる、建築家と家族の半世紀。…清家 清
042 スツールLOVE。…中原慎一郎
046 僕らのスタンダードチェア。…青野賢一、伊賀大介、生方ななえ、田島一成
050 フレンチ・ヴィンテージの椅子。…TETSUYA
052 伊勢谷友介さんがリペアの現場を訪ねました。
直して使うということ。
056 ボクの居場所。1 ポム/村上 隆
065 ボクの居場所。2 アッサム・オブ・アッサム/オードリー・ヘプバーン
078 倉俣史朗  篠山紀信
クラマタの椅子が伝説である理由。
082 永見眞一に7つの質問。
086 椅子の神様、宮本茂紀のアタマの中。
088 ゼロ年代の椅子を読む。
090 建築家に聞きました。
あなたにとってスタンダードな椅子とは?
092 空間と椅子の相性を探せ!
スタイルで選ぶ椅子。
057
特別付録
偉人が愛した椅子カード。
 

regulars

019 Et tu, Brute?  「エイドリアン・グレニアー」ほか
105 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
118 人間関係  421 写真/篠山紀信
『サザン』高田聖子、妻夫木 聡
121 Begin Your Journey 054 ルノ- メガーヌ ルノー・スポール
123 SUPREME BRUTUS
「アリス=紗良・オット」ほか
132 BRUT@STYLE 246 4 chairs
136 グルマン温故知新 333 クゥイエット デュ ブーケ/クリスチアノ
138 みやげもん 107 ちんころ/次号予告
113 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集
 
【SPECIAL CONTENTS】
この椅子、いったい誰の椅子?
身近な存在だからこそ、たくさんのストーリーが染み込む「椅子」。偉人たちが愛した椅子とその物語を、本誌ではカード形式でお届けしています。ここでは、その中から3脚をご紹介。誰が座り、どのような物語があるのか。ぜひ本誌で、こだわりの33脚をご覧ください。
From Editors 1

阿部勤さんが送ってきてくれた椅子リスト。特徴や使われ方の簡単な解説付きという丁寧さにも感動。

住むことは座ること。
椅子のあるところが家の重心です。

これまで取材でいくつもの家を訪ね、いつも思っていることがありました。いい家には、いい椅子がある。
ここで言う「いい椅子」とは、高価な素材が使われているとか、有名な誰それが作ったものだとか、そういうことではありません。家と一体となって居場所を作る椅子。座り心地抜群、とはいかなくても、その場にいることを許してくれるような、拠り所になる椅子があるか否かで家と人との関係は天と地ほど変わります。

特集「居住空間学 2008」で訪ねた伊藤哲夫さんの「湯河原の家」の書斎には、30年以上座り続けている曲木の椅子がありました。籐の座面は日に焼け、長年さすり続けた木の肘掛けは黒光りするほどツヤツヤ。その椅子に座ると、低い本棚に囲まれる安心感があり、西側の窓からは、海と空とがちょうど半々に見えました。
座りながら、あぁここが、伊藤さんの居場所なんだなぁとしみじみ。できれば取材も撮影も休止して、しばし座っていたいくらいでしたが、しみじみの後、この椅子のあるところが家の重心であり、伊藤さんの世界の中心なのかもしれない、と思ったことも「椅子と居住空間」の関係を改めて考えるきっかけになりました。

そんなこんなの話しをしながら作っていった今回の特集、「だったらこの家でしょ!」と何人もの人に推薦されたのが、表紙にもなった阿部邸です。
建築家・阿部勤さんの自邸で築37年。建築学科の学生が調査に通うほどの名作住宅であり、訪ねた人の誰もが「居心地のいい家」と言う阿部邸には、はたして、どんな椅子があるのか……。取材前に資料として送られてきたリストにはざっと40脚! 多いです。多いですけど、訪ねてみれば、一脚一脚に家と人とをつなぐ役割があり、それらの椅子あってこその居心地の良さだと実感できました。

他にも、椅子好きたちの人生の一脚から作り手たちのアタマの中まで、単なる椅子紹介に留まらず、椅子をとりまく様々なストーリーを追った今回の特集。読めばきっと、椅子のことが今よりもっと好きになり、自分だけの「いい椅子」が欲しくなる!

 

●岡野 民(本誌担当編集)

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From Editors 2

「偉人の愛した椅子カード」からひとつ。人間国宝がある映画監督のために作った、通称「王様の椅子」。答は本誌で。

椅子=人間そのもの?
あなたはどんな椅子に
座っていますか? 

以前、取材でイラストレーターの安西水丸さんの仕事部屋に伺った際、一脚の椅子を披露されました。鳥取の医師で民藝運動家でもあった吉田璋也氏の医院に置かれていたものと同じ椅子だそうで、それを嬉しそうに自慢されたのを覚えています。素朴で派手さもないけれど、なぜか惹きつけられるその椅子が、安西さんのキャラクターに不思議に重なって見えました。

「椅子」という言葉には、家具としての意味のほかに、「大臣の椅子」などと使われるように、地位やポストを表す意味もあります。今回のBRUTUSでは、椅子を最小単位の居住空間と考えて特集したわけですが、そもそもはもっと人間を直接的に表す、名刺のようなものなのかもしれません。

そんな椅子と人間の関係性を見つめてみようという試みのひとつが、付録の「偉人の愛した椅子カード」です。
吉行淳之介、ピカソ、白洲正子、イヴ=サン・ローラン……国内外の33人の偉人たちが愛用した椅子はどんなものだったのか。中学生用の椅子を生涯使い続けた人もいれば、父親の手製の椅子を持ち歩いた人もいるし、ウン十億円の椅子を愛した人もいます。「なるほど」もあれば「意外!」もあるわけですが、椅子を見ているだけで、その人物にもう一歩近づけたような気になれるのが不思議です。
ぜひ、カードを並べて、偉人たちの生活、その物語に思いを馳せてみてください。

 

●中西 剛(本誌担当編集)

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