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正しい知識を伝えることで"性の不幸"から若者を守れます。

あなたに伝えたい (342)

正しい知識を伝えることで"性の不幸"から若者を守れます。

染矢明日香さん
そめや・あすか NPO法人ピルコン 理事長


染矢明日香さん

文・及川夕子
日本の年間中絶件数は約20万件で、出生数の約5分の1の命が「産まない」という選択をされている。10代の中絶は、そのうちの10%だ。

「正しい性知識がなかったために、予期しない妊娠や中絶、性感染症で悩む若者もいます。ネットポルノなど、過激な性表現を目にする機会はどんどん増えているのに、子どもたちが性や避妊について学ぶ機会は圧倒的に少ないのです」

〈ピルコン〉は、中・高校生やその保護者に向けて、性とヘルスケアについての教育を行うことを主な活動としているNPOだ。代表の染矢明日香さんは、20歳で妊娠・中絶を経験した体験者でもある。

「人ひとりの人生を奪ってしまった罪悪感は、今も消えません。産むか、中絶するかの選択になる前に、当事者意識をもって避妊についてもっと多くの情報を得ておくべきでした。また知識があっても、相手に避妊の意思を伝えられない人もいます。代弁者としても、実体験を伝えていきたい」

出張授業では、恋愛で相手を傷つけないためにはどうしたらいいかなどを話し合うグループワークも取り入れている。

「大学生が身近な立場から、性やライフプランニングについて伝える新しいプログラムも進めています。産みたいと思ったときに授かれるように、自分らしい生き方を選択できる若者を増やしていきたいですね」



問合せ先・NPO法人ピルコン http://pilcon.jimdo.com
*平成24年度厚生労働省「衛生行政報告例の概況」より