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あなたの夢、みんなでかなえたい。ネット発信で支援の輪を広げます。

あなたに伝えたい

夢があるけど資金がない……。そんな人々を応援する新たな仕組みがクラウドファンディングです。

あなたの夢、みんなでかなえたい。
ネット発信で支援の輪を広げます。

東京生まれ。大学時代から夢の実現を応援するプロジェクトを手掛け、大学院生だった2011年、日本初の試みとなるレディーフォーを開設。HPはhttps://readyfor.jp/
東京生まれ。大学時代から夢の実現を応援するプロジェクトを手掛け、大学院生だった2011年、日本初の試みとなるレディーフォーを開設。HPはhttps://readyfor.jp/
米良はるかさん
めら・はるか READYFOR代表
日本で今じわじわと広がりつつある「クラウド(群衆)ファンディング(資金調達)」。自分の夢を実現させるため、インターネットを介して不特定多数の人々から支援金を集めるサービスだ。ピンとこない人は、米良はるかさんが開設したウェブサイト「READY FOR」(レディーフォー)を開けば一目で分かるはず。

「ミャンマーで移動クリニックを実現するため車を購入したい」、「子どもたちと捨て犬が触れ合う保護施設をつくりたい」――希望にあふれたプロジェクトがずらりと並び、それぞれに支援金がいくら集まっているか、グラフで示される。期限内に目標額を達成すれば成立。支援者は記念品やイベント参加などのお返し(リターン)を受け取ることができる。

「これまでのような〝寄付してあげる〟ではなく〝みんなで応援しよう〟という発想です」と話す米良さん。マラソンランナーと、沿道で手を振る人たちのように、実行者と支援者が感化し合う関係を目指している。

「ランナーは声援で励まされ、観客は一緒に沿道を走り出したり、次の大会に自分も出たくなってマラソンを始める人もいますよね。同様に、このサイトを見た人が共感するプロジェクトの支援者や仲間となり、次は自分も夢をかなえたいと一歩踏み出す、そんな好循環を広げたいのです」。サイト名には「いよいよあなたの番。用意ができましたか?」という意味が込められている。

昨年11月に成立したプロジェクト「がん患者が自分の力を取り戻すための場マギーズセンターを東京に」は、過去最高となる2200万円を集めた。募集期間の最終日、実行者の女性たちが支援者たちと開いたカウントダウンパーティーに米良さんも出席し、成立した瞬間の喜びを分かち合った。

「ちょっと前まで見知らぬ同士だった人たちが手を取り合って泣く光景に、強い願いが周りを巻き込んで新しいコミュニティが生まれるんだな、と感動しました」

レディーフォーはこれまで約1600件のプロジェクトの資金を調達。累計8億4千万円の支援金を集め、同種のサイトでは日本最大規模だ。プラン作りから助言するきめ細かいサービスで、実行者の約7割が目標を達成できた。

「でも開設前は心配されたり、うまくいかないよ、とよく忠告を受けました」と振り返る米良さん。

以前留学していたスタンフォード大学があるシリコンバレーでは、出会った人から決まって「あなたは何をやっているの?」「それで、私はあなたのために何をしたらいい?」と質問された。情熱を持って何かに取り組むこと、それを支援することが当たり前という環境に刺激をもらった。「挑戦する人の背中を押してあげて、みんながもっと気軽に夢を発信できる空気を日本でも広めたいですね」


成立したプロジェクトの数々。多くの人の共感を呼びました。
地域の人の魅力を伝えるガイドブック『福井人』を出版。支援者のカメラマンが製作に参加してくれた。資金だけでなく仲間も集められた。
地域の人の魅力を伝えるガイドブック『福井人』を出版。支援者のカメラマンが製作に参加してくれた。資金だけでなく仲間も集められた。
沖縄に「森のおもちゃ美術館」を建設した。支援者に木製パズルのピースが届き、美術館を訪れ自分の名入りの木枠にはめこむと完成する。
沖縄に「森のおもちゃ美術館」を建設した。支援者に木製パズルのピースが届き、美術館を訪れ自分の名入りの木枠にはめこむと完成する。
がん患者の相談支援を行う英国のマギーズセンターを東京にも建てたいと、がん経験者と看護師の女性2人が発案。着工を目指し活動中だ。
がん患者の相談支援を行う英国のマギーズセンターを東京にも建てたいと、がん経験者と看護師の女性2人が発案。着工を目指し活動中だ。


撮影・千田彩子 文・魚住みゆき