「軒先」を借り気軽に開店できるサービスであなたのビジネスの第一歩を応援したい。
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「軒先」を借り気軽に開店できるサービスで
あなたのビジネスの第一歩を応援したい。
定休日でシャッターが下りた店先、昼間空いている駐車場……これまで見過ごされていた場所を「もったいない」と、活用するアイデアを思いついたのは、西浦明子さん。ウェブサービス「軒先.com(http://www.nokisaki.com)」を運営している。
「小さなスペースで短期間だけお店を開きたいという方は多いです。空いている場所を有効活用したい人とマッチングすれば、喜んでもらえるのではないかと考えました」
西浦さんは7年前、妊娠を機に会社を辞め、輸入雑貨のネットショップを始めることに。まずは街に店を出してお客の反応を見ようと、数日だけ借りられる小さなスペースを探した。
「それがなかなか見つからず、不動産業者でも扱っていません。商店街の貸し店舗は1週間で21万円とびっくりするほど高く、半年先まで予約で埋まっていました。一方で街を見回すと、空いている店先やスペースが実はたくさんあることに気がついたんです」
利用者のニーズがあり、場所もあるのに仲介するシステムがない。それなら自分でつくろうとウェブサイトを立ち上げたところ、販売場所を借りたいという声がどんどん寄せられた。苦労したのは、スペースを貸してもらえる場所を確保することだった。
「商店街を回り、副収入が得られることを説明しましたが、初めのうちは、どんな人たちが使うの? と不安がられました。トラブルに対処できる保険などの仕組みをつくり、少しずつ貸し出しの実績を積み上げました」
地道な営業が実り、現在は全国で約2500カ所の貸しスペースを仲介する。ドラッグストアやホームセンターの店先や駐車場のほか、商店街の空き店舗など屋内スペースも多い。大半の利用料は1日数千円だ。
「現在は、借り手も貸し手も、法人や業者の割合が高いです。個人で利用する方の業種はさまざまで、農家の方が採れたての野菜を販売したり、曜日限定で子ども英語教室やエステサロンを開いている女性もいます」
2012年末から始めた新サービスは「軒先パーキング」。高齢で車を手放すなどして駐車場が空いている一般家庭や、空きがある月極駐車場が全国で約2000カ所登録されている。ネットで事前に予約できる仕組みが好評で、観光地、イベントなどに行く人の利用が増えているという。
「今まで価値がないと思われていたスペースが、経費をかけることなく価値あるスペースに生まれ変わり、提供した方も利用した方も笑顔になってくれる。そこにやりがいを感じます」と西浦さん。
「かつての私のように、趣味を生かして小さなお店を開いてみたいと思ったとき、気軽に一歩踏み出せるお手伝いをしたいですね」
今後はもっと個人客にサービスを知ってもらい、起業に役立ててほしいと考えている。