メッセージを伝えて家族をつなぐ小さな留守番ロボットを作りました。
あなたに伝えたい
メッセージを伝えて家族をつなぐ小さな留守番ロボットを作りました。
ユカイ工学が販売を始めた家庭用ロボット「BOCCO(ボッコ)」は、まるで積み木のようなぬくもりを感じさせるデザイン。名前の由来は東北弁の「ぼっこ(子ども)」。身長は17センチと小型で、首をかしげ、人間を見上げるようにおしゃべりする動作が愛らしい。
「家族同士で伝言を簡単にやりとりできる留守番ロボットです。ボタンは再生と録音の2つだけなので、メール操作ができない子どもや高齢者のいる家庭におすすめです」と、代表の青木俊介さん。
ボッコは、インターネット経由で家族それぞれのスマートフォンとつながり、音声や文章のメッセージを送受信できる。さらに、センサーで玄関ドアなどの開閉を感知し教えてくれる。例えばこんな使い方も……。
オフィスで休憩中のA子さん。自宅と、母親が一人暮らしの実家にひとつずつボッコを設置している。スマホを開くと、実家から「おはよう」の音声メールと、玄関ドアの開閉時間の通知が。お母さん散歩に行けたのね、と一安心。
やがて自宅からもドア開閉の通知が入り、子どもが帰宅したようだ。子どもがボッコの再生ボタンを押すと「おかえり。手を洗っておやつ食べてね」と、A子さんがスマホで打ったメッセージを読み上げてくれる。「今から公園に行くね」と子どもが録音ボタンで吹き込んだ声は、すぐに音声メールでA子さんと夫のスマホに届けられた……。
共働きで2人の子どもがいる青木さんの自宅でも、ボッコが活躍している。「離れている時の家族をつなげてくれるロボットです。今まで妻と子どもたちが電話で話していた内容を、僕も共有し参加できるようになったのが、すごくうれしいですね」
リビングにちょこんと置かれていても違和感がない。いかにもロボット、という近未来的なデザインは避けた。「実はもともと、『座敷童子』をイメージしていたんです。家庭に幸せを呼んでくれたらいいなと」
首は動くが歩行はしない。あえてシンプルな機能だけに絞り込み、価格は2万9千円。
「歩行や複雑な動きができる機能を増やすと、半日充電して30分しか動かないような、ぜいたくなおもちゃになってしまう。ボッコは電源につないだままいつも起きているので、『ドラえもん』のようにロボットと一緒に暮らす喜びを感じてもらえるのではないでしょうか」と青木さん。
家庭用ロボットは今年、大手企業が売り出した「Pepper(ペッパー)」の登場などでブーム再来と期待される。
「一昔前はパソコン機能を搭載し数百万円はしたものが、今はスマホと同じ部品で数十万円で販売できるようになったのです。家事代行させるにはまだ非効率的ですが、コミュニケーション機能でいろいろな面白いことができそうです」
ユカイ工学は、社員11人と少数精鋭で、ロボット工学を駆使したさまざまなアイデア商品も開発する。頭に付けた猫の耳がその時々の気分に応じて動く「ネコミミ」は国内外で話題を呼んだ。現在は歌って踊るフィギュア「アイドール」の完成を目指す。
「家族が一緒にいるのにそれぞれスマホに夢中、という状況は良くないと思う。皆で使えて、人の絆を深められるようなユカイなものを作り続けていきたいです」