クロワッサン - CROISSANT | あなたに伝えたい

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あなたに伝えたい | 282

高齢者が食事のときに誤嚥しにくい椅子を作りました。

根本かおるさん ねもと・かおる 元・UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)職員



「オヤ」は、クルドの女性にとって気持ちを表現する手段。「繊細で美しいものです」
撮影・川口順子(人物) 写真提供・難民支援協会

「日本にも難民がいると聞いて、驚く人もいます」。海外で長く支援活動に携わってきた根本かおるさんの話だ。ソマリア、イラク、トルコ……戦争や迫害、政治的混乱で故郷を追われた難民や庇護申請者などの数は世界に4370万人。日本の人口の3分の1だ。
「日本で庇護を求める人の数は過去最高レベルになる勢いで増えています。『国を持たない世界最大の少数民族』と呼ばれるクルド系の人々も目立ちます。庇護申請をしても難民認定は難しく、認定がおりるまでの宙ぶらりんの期間、経済的にも精神的にも、健康面でも、とても厳しい環境におかれるんです」
 日本でも、3・11の震災後の避難生活では、同じように“待つ”ことを強いられている。その苦しさを、根本さんは難民や庇護申請者でいる苦しさと重ね合わせた。
「この“待つ”期間を、いかに希望を失わないでいられるかこそが問題なのではないだろうか。私自身、そんな視点をもち始めた中で、日本国内で難民支援協会の、クルド難民の女性たちをサポートする活動を知りました」
 クルド系の文化は男性優位、女性だけでは外出さえ難しい。まして見知らぬ国の日本では、ほとんどの女性がひきこもり孤立する。
「そんなクルドの女性の自立支援プロジェクトです。『オヤ』という、クルド伝統のレース編みを作りながら交流し、技術を伝え合う」
 クルド語で「平和」「自由」を意味する、
「Azadi」と名づけたブランドも立ち上げ、その活動の場は、生きる上で欠かせない日本語を学ぶ場としても機能し始めている。
「震災後、誰もが『故郷はかけがえのないもの』と感じたと思います。だからこそ、世界中の、故郷を追われた人へ思いを馳せてほしい。知ることは、その一歩だと思います」

 

「Azadi」の活動への問い合わせは、難民支援協会へ。「オヤ」を通してクルドの文化を 知る「オヤ・カフェ」も定期的に開催。 ☎03・5379・6001
www.refugee.or.jp/