「今気になっているのはアイシーなトーンのメイク。色数を抑えたユニセックスなムードは、1990年代初頭のファッションが再燃している流れにもリンクする」と、UDAさん。

そんな気分にピンときたのが神戸さんだ。

「悩んだ末に今の仕事に覚悟を決めて臨んでいる様子に揺るぎなさを感じました。彼女みたいにフェミニンだけど芯がある人こそ静けさが新鮮に映える気がしたんです」（UDAさん）

〝アイシー〟といっても色を一切使わないわけではない。

「肌色は明るさを出さずにフラットにし、位置的に黒目より内側に入れるチークで奥行きを。眉や目元、唇からは赤みを極力抜いています。ただ、これだけだと不健康に見えかねないので、睫毛の先端のみグリーンを使用し、生気を吹き込みました」（UDAさん）

ありきたりから脱却したメイクに、後日、神戸さんからは「マンネリを解消できた!」と喜びの感想が届いた。

ベースメイクは、素肌よりもワントーン落とした肌色をセレクト。ちょっとした赤みや色ムラにピンポイントで対応できるようブラシを使い、均一に整える。顔にメリハリを残すためのチーク（4）は、目のすぐ下、黒目よりも内側に。明るい髪色に合わせてトーンアップしたい眉には、赤みのないアッシュ系のカラーを使用。アイラインにはアッシュと同系色のカーキを使い、全体を淡いトーンに統一する。アイラインで目のフレームをしっかり立たせたうえで、肌に同化しすぎないピンク味を帯びたコンシーラー（1）をアイシャドウのように使い、二重幅よりオーバー気味にオン。これは、睫毛の先端のみに塗るグリーンのマスカラ（2）を強調する意図も。リップメイクは、ベースアイテムを唇まで塗って血色をいったん消し去った後、青みがかったベージュ（3）を、肌色と違和感をつくらないようにラフに直塗り。