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FEATURE 小原流家元に学びました! 真実の、花のある生活

FEATURE
Coming Into Flowers
小原流家元に学びました!
真実の、花のある生活


「わぁ、きれい」とお花を持ち帰った後、無造作に花瓶に突っ込むのもいいけれどせっかくならワンステップ上を目指したい。お花の扱い方、いけ方テクニックを120年の歴史をもつ華道小原流の26歳の家元がGINZA読者に指南します!
Photo: Kazuya Morishima Illustration: Asami Hattori Text: Sayuri Kobayashi
Design: TAKAIYAMA inc. Cooperation: Ohara School of Ikebana
 

— 誌上いけばな教室 —
花のいけ方は自由! だけどコツをつかんでおくと、あら不思議、かっこよくキマる!!
自分なりに応用することを前提に、まずはいけばなの基本を押さえておきましょう。

たてるかたち(基本型)

<お手本>

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真っすぐ伸び上がる草花や枝の美しさを表現する「たてるかたち」。直立するメインの花材と、ゲストの花材で骨格を作ったら、あとはその間に挿していくだけ。シンプルでメリハリがつけやすい。派手な色の〈ダリア〉は、正面から少し隠すことで、他を引き立たせます。

<準備するもの>

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主枝(メイン)として真っすぐな〈ニューサイラン〉の葉、客枝(ゲスト)には色や大きさの異なる〈ダリア〉を。計1000円くらい。ちなみにいけばなでは、いける難易度は「花→葉→枝」の順で高くなります。花器は脚付きで長さを強調。剣山は小ぶりの銀杏型で。


<ポイント>

まず、剣山が隠れるくらい水を注ぎます。長さを調整した主枝〈ニューサイラン〉は棒立ちでは風情がないので、指で軽くカーブをつけ、正面からきれいに見える角度で剣山の一番後ろに挿します。中サイズの〈ダリア〉は客枝として、前に45°傾け、長さが主枝の1/3くらいになるのが○ この2本の間にほかのものを挿していきます。花や葉先が、まったく別の方を向くのではなく、ほかと関係し合うように意識すると、まとまっていきます。それぞれ、長短、角度を変え、左右非対称になるのがきれい。最後に、正面から剣山が見えないように葉や花の位置で調整を。

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— 教えて家元! Q&A —
よーし、家でお花をいけてみよう(キリッ)と思ったら、素朴なギモンがあれこれ…。
宏貴家元に尋ねてみると、さすが! なるほど&びっくりの答えを返してくれました。

Q1:
お花の色合わせが難しいです。初心者でもまとめやすい取り合わせの基本があれば教えてください。

A:
花の色だけでなく、葉などの緑色を意識すると、合わせやすいですよ。濃い緑には赤が映えて、淡い緑には黄色や白が映えて見えるんじゃないでしょうか。色彩学に基づいた考え方もありますが、飾る場所の明るさによっても花の色の見え方は変わりますしね。僕は基本、青・赤・黄・白・黒の5色を軸に考えて組み立てたりしますけど、緑は大事。あとは、同系色で合わせるとまとめやすいです。

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Q2:
花瓶や水盤を持っていないのですが
日用品で代用できるものはありますか?

A:
お皿やグラスなどでも代用できます。花器はあくまでお花を生かすための水をためるもの。専用の花器に限定する必要はなく、花材と同じように自由です。僕も以前、持って帰った花が家にある花器には大きすぎたので、フライパンにいけたことがありますよ。小原流の先生で、戦後はものがなくて器の代わりに、すきやき鍋にいけていたという方もいます。逆に今では侘びたすきやき鍋というのもアンティークっぽくて面白いですよね。

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Q3:
お花をいけるときに“やってはいけないこと”は
ありますか?

A:
流派にもよりますが、これをしちゃいけない、ということは基本的にありません。花に対してこうしたいという気持ちを強くもちすぎるよりも、花にどう観せてほしいのか聞いてあげる気持ちが大切です。


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