イクメンに優しい会社が増えれば、家族がもっと幸せになれると思う。
あなたに伝えたい
イクメンに優しい会社が増えれば、
家族がもっと幸せになれると思う。
家事関連時間全体(家事、介護・看護、育児、買い物)
うち育児
参考:総務省「社会生活基本調査」(平成18年)
理事の一人、徳倉康之さんは2男1女のパパ。これまで育児休暇を3回取得した。医師である妻・美智子さんと協力し合って家事・育児を分担し、子どもからは「お父さんの料理もお母さんの料理もおいしいね」とほめられる。
初めて育休を取ったのはイクメンという言葉が普及する前の2009年。キャリアアップのための試験を控えた美智子さんを支えようと8カ月間の休みを希望したが、勤めていたメーカーでは男性の育休は前代未聞だった。「『何考えてるんだ』とか『そのまま会社を辞めちゃうんじゃないか』とか、驚きや戸惑いばかり。半年前から願い出たのですが、交渉は大変でした」。会社の最重要顧客の営業担当だったこともあり「復帰しても席はないぞ」という冷ややかな声もあったというが、やっとのことで育休に。
「実際は育児休業というより育児修業でした。長男は生後4カ月でしょっちゅう泣くけど、ミルクがほしいのかオムツを替えてほしいのか分からない。理性と常識で回っていたビジネス界にいたのに、24時間が本能と理不尽との勝負。仕事のほうが数倍ラクだ! と叫びたくなる怒涛の日々で、適応するまで2カ月かかりました」
会社に復帰してからは保育園のお迎えなどで残業が困難に。だが徳倉さんは営業成績ナンバーワンに返り咲いた。「実は独身時代、仕事をし過ぎて病気になり一時危篤にまでなったので、それからは少ない時間で仕事の効率を上げる工夫をしてきたんです。成績さえよければ定時で帰っても文句は言われませんから」
育児の話ができるパパ仲間がほしいと軽い気持ちでFJに入ったが「ボランティアを続けるうちに面白くなり、思い切ってFJに転職しました。周りの声を聞くと女性も男性も子育てしづらいと言っている。そんな今の社会を変えられると思ったからです」。もし収入が不安定になっても「今度は私があなたを支える番」と美智子さんが背中を押してくれた。
現在、育児セミナーや企業関係者への講演などで各地を飛び回る。イクメン普及をはじめ、夫婦のパートナーシップ、祖父の孫育て(イクジイ)、父子家庭支援など幅広いテーマで活動しているFJが現在、力を入れるのが「イクボス」プロジェクトだ。
「長時間労働を前提とした企業風土を変えるにはまず上司(ボス)の意識を変えることが必要です。子育てしやすい環境を整えれば、部下のストレスが減り仕事の効率も上がる。さらに自分たちも親の介護休暇を取りやすくなる。説明すると皆さん『目からうろこが落ちた』と言ってくれます」
2008年のリーマンショックと2011年の大震災で、日本人の価値観の変化を感じるという徳倉さん。「家族の営みを再確認する時代が来ていると思います。
“よい父親”ではなく、“笑っている父親になろう”というのが僕たちのメッセージ。仕事も一生懸命やって家族と楽しむ時間もある、そんな生き方をしようよ、と呼び掛けていきたい」