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麹と乳酸菌の力で、腸も肌もきれいにする発酵茶。

手みやげをひとつ (255)

大豊町碁石茶協同組合の碁石茶

麹と乳酸菌の力で、腸も肌もきれいにする発酵茶。


大豊町碁石茶協同組合の碁石茶
大豊町碁石茶協同組合の碁石茶
 
「麹が好きすぎて、味噌や塩麹やお酒のこととなると話が止まらなくなります」

というのは、塩麹ブームの立役者のひとりとしても有名な、おのみささん。

「手みやげも、当然、麹にまつわるものが多いですね。味噌や塩麹といった直球の製品ばかりでは面白みに欠けるかも、と思い、最近では変化球として、麹を使った“お茶”を手みやげにしています」

それが、碁石茶。高知県大豊町に伝わる伝統的なお茶で、中国のプーアル茶に代表される後発酵茶の一種だ。茶葉を天日干しする風景が碁石を並べたように見えることから、そう名付けられたという。優れた健康効果はかなり注目されているのだが、大量生産はできないのだとか。

「以前、生産現場に行ったことがあるのですが、とにかく手間がかかるんですよ。摘んだ茶葉を蒸してから、ムシロの上にふんわりと空気を含ませながら積み、上からまたムシロをかけます。このムシロについているのが、麹菌の兄弟のような菌。しばらくおいて発酵させます。さらに、菌が付着した茶葉を桶にびっしりと詰め、上から茶葉を蒸した時に出た蒸し汁をかけて重石をします。すると、お漬物のように乳酸発酵が始まるのですが、その発酵パワーたるや、かなりの重量の重石が持ち上がるほど! 約20日ほど寝かせて固まったら、包丁で程よい大きさに切って、晴天の続く日を選んで茶片を一個一個並べて天日干し。カチカチに乾いたら、やっと完成です」

とても手間のかかる製法のこのお茶は、味も香りもかなり個性的だ。

「白菜を塩だけで酸っぱくなるまで漬けたような、そんな香りなんです。味もほのかに酸っぱい。でも、いやじゃない、クセになる味。麹と乳酸菌のダブルパワーで、腸も肌もきれいになるみたいです。それにしても、麹って、乳酸菌とも相性がいいのよね。ホント、偉い!」

麹の奥深さに、ますます引き込まれていく、おのさんなのでありました。

おのみささん
イラストレーター、麹料理研究家
おのみささん
京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)卒業。味噌造りをきっかけに、麹を使った料理の探究に目覚め、麴料理研究家に。著書に『麴のおつまみ』『麴のレシピ』『塩麴のおかず』など。



おおとよちょうごいしちゃきょうどうくみあいのごいしちゃ●高知県長岡郡大豊町黒石343・1☎0887・73・1818 営業時間 8時30分~17時30分、土・日曜祝日休。碁石茶 50g 2,940円。
http://www.town.otoyo.kochi.jp/tokusan/

撮影・青木和義 文・沖さち子