FEATURE my town, my bookstore 小さくてもこだわりのある本屋さん
my town, my bookstore小さくてもこだわりのある本屋さん
Text: Ayako Kimura, Chika Goto (numabooks)
NOSTOS BOOKS
松陰神社前
現役デザイナーが挑む
本と町との新しい関係
本が好きだからという理由だけで本屋を始めるのは、もう古い!? 松陰神社前駅の商店街に2013年オープンした「ノストスブックス」の店長は、なんと現役デザイナー。「ウェブ中心の仕事をしてきたんですが、本のデザインをしたいという思いがずっとあって。だったら、好きな本を集めた場所をつくっちゃったほうが、営業するより間口が広がるかなと。オフィスの半分で本屋も始めちゃいました」。どこか戦略的な笑みを浮かべつつ店内を見渡す店長の中野貴志さん。1960〜80年代を中心としたデザインやアート本、写真集はひときわ目を引く場所に並び、棚に差された文学系の書物も、無作為に1冊を取ってみれば、美しい装幀や造本にはっと息をのんでしまう。住民がふらりと立ち寄って本を売りにくることもあるそうなので、今後、町との関わりが中野さんのデザインにどう影響していくのかも楽しみです。1: 店名の「ノストス」はノスタルジアの語源。真新しい店内にも懐かしさが漂う。2: 80年代のヒップホップカルチャーを記録した写真集『BACK IN THE DAYS』。3: 内装は、踏切先のカフェ「STUDY」と同じデザイナーが手掛ける。4: すべて知人の作品だという植物や雑貨類は地元民にも人気。
ノストスブックス≫ 東京都世田谷区世田谷4-2-12 1F ☎03-5799-7982 営業時間 13:00〜21:00、土日祝12:00〜20:00 定休日 水
nostos.jp/about
SUNNY BOY BOOKS
学芸大学
「プレーンな古本屋」の
生み出す磁力
学芸大学駅からにぎやかな商店街を抜け、住宅街にさしかかったあたり、ふいにその小さな店は現れる。店頭に積まれた絵本や、テーブル1つ分のささやかな展示空間―それらの織りなすプレーンな佇まいは、どんな人もすっと中に招き入れてしまう不思議な磁力を帯びている。ものの1時間もしないうちに次々と人が訪れては、贈り物の本選びの相談をしたり雑談を楽しんだり。「女の人と子どもがふらっと入れない店ではだめだ」。店主の高橋和也さんが都内の大手新刊書店に勤めていた頃、刷り込まれたそんな教訓があるという。心がけているのは、専門分野を設けない“普通の”古本屋さんであること。飾らない店のいでたちの根本にはそんな想いがある。開店から約1年半、お客さんや近隣との関係性もだんだん生まれ、なじみの顔を思い浮かべて本を仕入れることも増えてきたそう。「お客さんに本棚を育ててもらってるし、そこに自分も乗りたかった」。そう淡々と語る高橋さんの目は輝いている。1・2:「学芸大学、降りたことなかったんです」。この場所を選んだのも偶然のよう。3: 静かな熱を帯びた店内のPOPにも注目。4: 阿部海太『みち』。取り扱うZineなどにはここでしか手に取れないものも。
サニーボーイブックス≫ 東京都目黒区鷹番2-14-15 営業時間 13:00〜23:00、水木15:00〜22:00、土日祝12:00〜21:00 無休
www.sunnyboybooks.com
本誌P.198~201で紹介している7軒の本屋さんでは11/12から
「GINZAガールにおすすめの棚」のスペシャルコーナーを展開!
本にはすべてGINZAオリジナルのペーパーブックカバー(P.202の右上、コラム 1を参照)がかけられていて、
本を購入するともちろんカバーもついてきます。Let’s go to the bookstore!