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第10回 気にくわない


ペリカン戸田の遠い夜明け

ペリカン戸田の遠い夜明け sun
クウネル編集部の戸田史です。「いちおう最年少ですが、三十路半ばです」と自己紹介し続けて幾歳月。三十路半ばずいぶん前に卒業したけれど、最年少編集部員からはなかなか卒業できません。ここでは、編集部で(主に)夜な夜な起こる、ヘンな出来事やちょっといい話などをご紹介していきたいと思います。
 

第10回
気にくわない

カタカタ、カタカタ、カタカタ。
カタタタタタタタタタタタ。
…………………。
カチッ、カチカチ、カチ。
カシャカシャカシャ、パチン。
…………………。

「ああっ! 気にくわない、気にくわない!!」

ぬぬ? 夜の編集部、長い沈黙をやぶって叫んだのは編集長です。

「いつからこんなことになったのよ?」
(な、なにがですか?)
「ねぇ、おかしいと思わない?」
(ひぇ~、私なにかヘマしたのかな……)

ちょっと怯え気味のペリカン、おそるおそるそのわけを聞いてみた。「パソコン相手に仕事してるみたいで気に入らない! なんでこんなのに向かっ て、あれこれやらないといけないのよ」

そういいながら、オナカではなく、パソコンをぽこぽこと叩く腹鼓編集長。
パソコン。それは編集長の天敵ともいえる存在。部内では「編集長はパソコンに 嫌われている」ともっぱらの評判です。・・・それはさておき。

編集長が不満を訴えているのは、パソコンを使いこなせるかどうかということではないのです。スタッフが膝つきあわせ、あれやこれやと話し合う。誰かに用事があれば、直接会いに行く。仕事ってそういうものなのに、なーんでこんなちっぽけな四角いものに向かって用事を済ませねばならぬのか。あーやだやだ。昔は携帯もファックスもなかったのにねぇ、ということだ(たぶん)。

2番目にパソコンに嫌われているペリカンは「そうだそうだ!!」と賛同の雄叫びをあげ、ふたりはおおいに盛りあがったのでした。もちろんパソコン仕事(この表現がすでにアナログ?)も大事ですけどね。