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第18回 春の旅は要注意


ペリカン戸田の遠い夜明け

ペリカン戸田の遠い夜明け sun
クウネル編集部の戸田史です。「いちおう最年少ですが、三十路半ばです」と自己紹介し続けて幾歳月。三十路半ばずいぶん前に卒業したけれど、最年少編集部員からはなかなか卒業できません。ここでは、編集部で(主に)夜な夜な起こる、ヘンな出来事やちょっといい話などをご紹介していきたいと思います。
 

第18回
春の旅は要注意

今日は夜更けではなく朝の話。ペリカンの朝の日課は、育てている植物の世話。いまは大小17の鉢と5つのプランター、ふたつの睡蓮鉢が、決して広くはない我が家のベランダにひしめきあっています。起きぬけの寝癖頭のまま、じょうろ片手にしゃがみこみ、植物が日々成長していくさまを、ふむふむと観察。ものぐさ園芸なので、寝坊して水やりを忘れることもあるけど、たいていの日はこうして始まります。

取材や旅行で長く家を留守にするときは、水で湿らせた新聞紙を入れた大きなビニール袋を用意して、鉢やプランターの底を包んで出かけます。それでも「1日でいいから、東京に雨が降りますように」と祈るような気持ち。先日、10日間の沖縄出張から帰ってきたときも、荷物を置くなりベランダへすっ飛んでいきました。たった10日間。されどこの季節の10日間は大きかった。私の居ぬ間に東京は桜も開花して、すっかり春の陽気。水対策が功を奏したのか、みんなすくすくと…成長しすぎ!

枯れ枝だったブドウの木にはやわらかな新芽。イチジクの葉っぱもぐんと大きくなって、レモンの木にも赤い芽(成長すると緑になる)がちらほら。根っこだけになっていたルバーブも、赤い茎と緑の葉を覗かせています。つんつるてんだったはずの山椒は、ふさふさと若葉を茂らせている。ワイルドフラワーの種を蒔いたプランターからは、小さな芽がぽこぽこ。ああ、コデマリの花も咲きはじめちゃってるよ。しかも睡蓮鉢の中でメダカの子が生まれている…。

あまりの激変ぶりにたじろぐペリカン。もちろんうれしいのだけれど、ふだん、ちまちまとした成長を楽しんでいる身には、ちょっぴりさみしくもあるのでした。