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第24回 あじさい園芸部。


ペリカン戸田の遠い夜明け

ペリカン戸田の遠い夜明け sun
クウネル編集部の戸田史です。「いちおう最年少ですが、三十路半ばです」と自己紹介し続けて幾歳月。三十路半ばずいぶん前に卒業したけれど、最年少編集部員からはなかなか卒業できません。ここでは、編集部で(主に)夜な夜な起こる、ヘンな出来事やちょっといい話などをご紹介していきたいと思います。
 

第24回
あじさい園芸部。

おととしの梅雨時、あじさいの挿し木に挑戦しました。編集部にあった真っ白い切り花があまりにもきれいで、みんなで分けて持ち帰ったのです。花を楽しんだあとの枝を2節くらいで切り分けたものを6本、土に挿しておいたら、そのうちの2本が無事に根付きました。

去年は2輪のおおきな白い花。今年はちょっと小ぶりな5輪が、梅雨空のしたでみずみずしく咲いています。ちいさな鉢植えゆえにさほど成長はしませんが、年々少しずつ育ってゆくさまを見るのは本当にうれしいもの。

このささやかな喜びを誰かに話したくてうずうずしていたとある夜、隣の席でパチパチとパソコンに向かっている太田さんをつかまえて、「あのときのあじさいがね……」。思い切り仕事の邪魔をしているにもかかわらず、ふむふむ、すごいねー、と聞いてくれた太田さんに「挿し木やってみたらどうですか? 楽しいですよー」とあじさい園芸部(部員はペリカン1名)への入部を勧め、さてと仕事に戻ろうか……と思ったそのとき、隣の席から声が。「よし! じゃあ今年のあじさい挿し木にしといてー。で、来年私にちょうだい!」だって。

お、太田さん……、挿し木の楽しさは、根付くかどうかドキドキしながら見守ることも含まれるんですよっ! てな文句を言いつつ、 翌朝ベランダで、せっせと挿し木をしたペリカンです。あじさい園芸部、来年こそは増員を目指します!