第1回 耳を澄ませば、腹鼓
ペリカン戸田の遠い夜明け
クウネル編集部の戸田史です。「いちおう最年少ですが、三十路半ばです」と自己紹介し続けて幾歳月。三十路半ばずいぶん前に卒業したけれど、最年少編集部員からはなかなか卒業できません。ここでは、編集部で(主に)夜な夜な起こる、ヘンな出来事やちょっといい話などをご紹介していきたいと思います。
第1回
耳を澄ませば、腹鼓
ぽん!
夜明けは遠い。しかし明けない夜はない、そして書き終わらない原稿もない、とつぶやくペリカンのそばで、今宵も威勢のよい、あの音が響きはじめた。
ぽぽぽん!
その正体は編集長の腹鼓。取材を終えて、さぁ原稿書き、という時分になると、夜な夜な編集部にこだまする。我が編集部の風物詩。
どうして、ぽん! とやるのかは知らない。けっこういい音がする。
ついでに言うと、そんな時は、ぴかぴかに磨かれた靴が、机の下に脱ぎ捨てられていることが多い。足音もなく、さささーっと部屋を歩き回る。
さらについでに言うと、机の引き出しから、お気に入りの乾物(するめいかなど)などが登場することも多い。昨夜はたしか、カリカリ梅でしたね。
ペリカンも、無性におしゃぶり昆布が食べたくなってきました。あれ、靴も脱いじゃった。こっそりお腹もたたいてみようかな。隣の席の太田さんもきっと、そろそろ…。いよいよアヤシイ、夜の編集部。
ぽこぽん!