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第25回 ごちそうさまの後は


ペリカン戸田の遠い夜明け

ペリカン戸田の遠い夜明け sun
クウネル編集部の戸田史です。「いちおう最年少ですが、三十路半ばです」と自己紹介し続けて幾歳月。三十路半ばずいぶん前に卒業したけれど、最年少編集部員からはなかなか卒業できません。ここでは、編集部で(主に)夜な夜な起こる、ヘンな出来事やちょっといい話などをご紹介していきたいと思います。
 

第25回
ごちそうさまの後は

vol. 38で「わが家のポテサラ」という企画でアボカドを使ったポテトサラダをご紹介しました。取材時に味見をさせていただき、「むむ、これはおいしい!」とすっかり気に入ったペリカン。翌日さっそくアボカドとじゃがいもを買ってきて、レシピのおさらいをしました。ねっとりクリーミーなポテサラをぺろりとたいらげ、大満足。さてと後片付け……と見やったまな板の上には、ころんと丸いアボカドのタネ。

眺めていたら、ずいぶん前に読んだ『捨てるな、うまいタネ』という本のことを思い出した。捨ててしまえばただのごみだけど、これも立派に育つ植物のタネなのだ。そもそもアボカドって、どんな葉っぱをした樹なんだろう。実験気分がむくむくわいてきて、水栽培に挑戦することを思い立ちました。

「モロゾフ」のプリンのガラス容器に水を張り、よく洗ったアボカドのタネを浸けておくこと1週間。タネのおしりがぱかっと割れ、根っこがぐんぐん伸びてきた。数日後にはタネの頭も割れてちいさな赤い芽が顔をだしました。せっせと水を取り替え、テーブルのうえのアボカドを見守る日々。やがて芽は緑色に変わり、やわらかなふた葉を広げてぐんぐん成長。今では背丈が50センチを超えました。ちいさな容器から、ひょろーーんと伸びた様子がかわいくってたまりません。そろそろ”アボカドン”とか名付けてしまいそうな自分が何だかコワいわ……。

そうこうしていたら、先日、沖縄特集のときにお世話になった方から立派なマンゴーが届きました。おいしくいただいた後に残ったのは、大きくて平たいタネ。今度は土に埋めてみたら、これまたひょっこり芽がでてきました。

アボカドとマンゴー。どちらも結実させるのは難しいみたいだけれど、元気に育つその姿を見るたびに楽しかった取材のことを思い出せるというのは、なんだかうれしいものです。