第33回 夜明けのラーメン
ペリカン戸田の遠い夜明け
クウネル編集部の戸田史です。「いちおう最年少ですが、三十路半ばです」と自己紹介し続けて幾歳月。三十路半ばずいぶん前に卒業したけれど、最年少編集部員からはなかなか卒業できません。ここでは、編集部で(主に)夜な夜な起こる、ヘンな出来事やちょっといい話などをご紹介していきたいと思います。
第33回
夜明けのラーメン
立春を過ぎ、暦のうえではもう春。しかし今朝のペリカンは、むぎゅむぎゅっと積もった雪を踏みしめながら、東北の街を歩いております。
ここは岩手県の盛岡市。カメラマンのマドロス氏、ライターのつるやさんとともに、この街で開かれている朝市を取材しに来たのです。市が開いているのは早朝の5時半から8時半の2時間だけ。朝4時にはもぞもぞとベッドから起きだし、支度をしてホテルを出発しました。
気温はマイナス4度。夜明け前の凍った道はつるりとよく滑る。へっぴり腰のペリカンの横を、頬かむりに長靴姿のおばあさん達が、白い息をは きながらすたすたと追い越していきます。その先には、ずらりと朝市の店がたっていました。きれいなりんご、立派な凍り大根、できたてほやほやの酒粕、自家製のお漬け物……。ああ、どれも買って帰りたい。きりせんしょ(岩手の餅菓子)やひっつみ汁、シュークリーム(素朴な味!)やコーヒーの屋台もでています。取材をしながら、ひとつ買い、ひとつ食べ、しめは91歳の看板娘、ミヨさんの朝市ラーメン。しみじみとおいしいスープが、冷えたからだをあたためます。朝の光で、積もった雪がキラキラと輝くかせる頃には、お腹もかばんの中身もすっかり満タン。何ともすがすがしい一日のはじまりでした。お昼過ぎまでのんびりと盛岡の街を散策したあと、次の街の市場へと向かった取材チーム。さて、明日の朝ごはんは何を食べようかしら。詳しくは次号の記事をお楽しみに!