第4回 船の上から、コタツの中から、今年もよろしく。
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第4回
船の上から、コタツの中から、今年もよろしく。
今年のお正月は家でゴロゴロしてました。マドロス、そういえば家でのお正月は久しぶりだったかも。年末年始は撮影の仕事もお休みになるので、例年はここぞとばかりに好きな写真を撮りに島に出かけていました。でも今年は忘年会が一週間ほど慌ただしく続き、毎晩酔っぱらっていたら、家で年を越すことになってしまいました。
テレビを見て、友達の倫ちゃん(写真家川内倫子さん)に借りたマンガ「太郎」全24巻(ちなみにボクシングのお話)をゆっくり時間をかけて読みながら人生をおもい、おせちやお雑煮、みかんなどお正月ならではの食べ物を食べては寝て、起きては食べ、1日中コタツから出られませんでした。窓のそとは雪景色だし、家でじっとしてるのがより幸せに感じられた正月。そして気持ちよくウトウトしながら、去年の正月は何してたかな~なんて考えた。そうそう広島県の宮島に鎮火祭の写真を撮りにいったんだ。
鎮火祭は、毎年大晦日に宮島の厳島神社で行われる火災よけの火祭り。神社内の祓殿(はらいでん)でおこされた火は近くの御笠浜(みかさはま)と呼ばれる浜辺に設けられた大束(キャンプファイアーのように交互にくまれた木々)へと移しだされる。その移しだされた火をめがけ、高さ約5メートルもある松明(たいまつ)を担いだ島民たちのいくつかの集団が、我先に自分たちの松明に点火しようと競い合う。
それぞれの松明に火がつけられた後に30センチくらいの小さな松明を手にした人々らがもらい火をし、かけ声とともに浜辺を練り歩く。火を消した松明や燃え残った木々を持ち帰るとその年は火事にあわないと言われている。マドロスも松明を手に厳島神社へ向かった。辺りも暗くなった6時頃、神社の回廊をひとつの小さな炎が揺れながらこちらに向かってきた。神の火だ。
小さな炎は神社のそとへ出て、島民たちが待つ御笠浜へ。設けられた大束に点火され、小さかった炎は瞬く間に大きくなる。松明を担いだ島民たち、小さな松明を手にした大勢の人々、みんながその瞬間を待っていた。神主の合図とともに各松明の代表者が我先に一番の火を奪い合った。
勝負は一瞬だった。神の火は島民たちの担いだ松明に点火され、続いてもらい火をしようと小さな松明を手にした人々が島民たちの担いだ松明に群がる。大きな炎、小さな炎。たくさんの神の火がかけ声とともに夜空に舞った。「よーいよい、よーいよい」「よーいよい、よーいよい」マドロスの松明にももらい火をする。
「よーいよい、よーいよい」その年の安全を祈ろう。火事が起きませんように。記録が仕事のカメラマンにとって記録したフィルムが無くなってしまう火事は一番の災難。 だからこころを込めて「よーいよい、よーいよい」年も明けた翌朝。初詣は厳島神社にいった。厳島神社の大鳥居は海にある。
潮が引くと地続きになり、潮が満ちると海に浮かぶ。船が好きなマドロスは満潮時に遊覧船に乗り、船で大鳥居をくぐって厳島神社に近づいた。海から手を合わせ「今年も一年よろしくお願いします」波にゆられ、船からの初詣。あ~それにくらべ、今年のお正月ときたら。睡魔にゆられ、コタツの中から「今年もよろしく」。
ご報告?
先日、アリヤマデザインストアに新年のご挨拶に伺ったら、アシスタントのブンさんが体重、体脂肪、内蔵脂肪などで体年齢がわかるハイテクな体計測器を手に計ってみろと言うので計ってみた。結果、マドロス体年齢40歳。36歳のコタツの正月を悔やみ、キャプテン(船長)の道へは体が基本だと愕然とする。よし今年は体を鍛えることにしよう。