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第20回 おもかじさんばい、更に改めおもかじにはいとはんぶん 終わってしまったW杯、僕たちの旅立ち・・・


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僕はカメラマンのマドロス陽一こと長野陽一と申します。この度、5冊目の新刊『長野陽一の美味しいポートレイト』(HeHe) という料理の写真集を出版します。その中にはku:nelで撮り続けてきた料理写真もたくさん掲載されています。それらは美味しさだけではなく、料理を通して取材対象者の暮らしやストーリーを伝える写真たちです。島々のポートレイトを撮るように料理も撮り続けてきました。そして料理写真はポートレイトだと考えました。それを“美味しいポートレイト”と名付けます。ここでは旅した島で見たこと感じたことや、写真の話をしたいと思っています。

http://yoichinagano.com/

 

第20回
おもかじさんばい、更に改めおもかじにはいとはんぶん 終わってしまったW杯、僕たちの旅立ち・・・

おもかじさんばい、更に改めおもかじにはいとはんぶん 終わってしまったW杯、僕たちの旅立ち・・・

先日、サッカーW杯ドイツ大会が終わってしまいました。我らが日本代表の結果はともかくとして、オレ様、もじゃ、そしてマドロスは現地ドイツでも、日本に帰ってきてからも大会終了まで、試合に挑んだ選手達、そしてサッカーというスポーツから沢山のことを感じました。だから今回の『おもかじにはいとはんぶん』では前回よりも更に熱く!強い気持ちを持ってみんなで語り合います。ということで今回のおもかじいっぱいは、更に改めおもかじにはいとはんぶん。僕たちのW杯ドイツ大会の総括!そして旅立ち・・・をお届けします。

7月17日(月) 深夜、アリヤマデザインストアにて 

オレ様 「W杯っていったいなんなんだろう・・・マドロスにとって、今回のW杯っていったいなんだった?」

マドロス 「え~、いきなり、難しい質問ですね・・・」

オレ様 「じゃあ、シャンパンでも飲む?」

マドロス 「イェーイ、乾杯しましょう!」

オレ様 マドロス 「僕たちのワールドカップに乾杯~! 日本代表は完敗~!(泣)」

オレ様 「ゴクゴク、あーさっぱりしててうまいねぇ。どこのシャンパンだろう? あっ、しまったっ! オーストラリア産だ!」

マドロス「えぇっ! オージーなんだぁ。今でも本当にクヤシィーッ! 第1戦のオーストラリア戦・・・」

オレ様 「まぁ、ともかく4年後ですね。でも日本で観ていた人達は結構落ち込んでたみたいだね。現地にいるとW杯はお祭りだなんだって感じた。お祭りと、真剣勝負が交互にやって来る。負けた後はお祭りなんだよって、自分を慰めたりもするんだけど」

マドロス「毎日、試合の度にどこかの国が負けているわけですからねぇ」

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オレ様 「あれ? そういえばもじゃは?」

マドロス 「今回は『おもかじにはいとはんぶん』ですからね。もじゃはここにはいません。じゃあ、呼んでみましょうか。せーのっ」

オレ様 マドロス 「おーい! も~じゃ~!」

もじゃ 「(電話の向こうから)はーい! みなさんお元気ぃ~? 僕は今、福井県の敦賀というところに来てまーす! ここはなぜか韓国の方が多くて、韓国料理店や韓国カラオケ店、韓国人スナックなどが街にたくさんあるんですよ。ちなみに今、カラオケ中です。いやぁ、フランクフルトで見た韓国対トーゴ、思い出しちゃいます。あの試合の韓国はよかったですよねえ」

オレ様「ハートの強さを感じたね。絶対にあきらめない、絶対に勝つぞっていう強い気持ち。それがプレーに出てた」

マドロス「正直うらやましかったなあ」

もじゃ「日本がクロアチアに引き分けたあと、韓国はフランスと引き分け。結局スイスに負けて決勝トーナメントへは行けなかったけど、日本の予選敗退とは全然中身が違いますよ。アイツらは熱かった! あ、カラオケ、僕の番だ。“島人の宝”歌ってきまーす!(電話はそのまま)」

オレ様 「もじゃいないけどUNO(カードゲーム)でもやる?」

マドロス 「おっ、懐かしいですね。僕らドイツでは何かを決める時はいつもUNOの勝敗で決めてましたからね。例えばお風呂の順番とか、買い出しに行くとか。荷物を持つとか。しかも『大黒UNO』っていう日本代表の大黒選手版のUNOっていうのがあるんですよね。特別ルール付きの。それがツネでした(笑)」

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オレ様 「サッカーの話に戻るけど、今回のW杯、内容はともかく結果が欲しかったってヒデ(中田英寿選手)がインタビューで言ってたね」

もじゃ 「(突然電話の向こうから)ヒデーっ! 引退しないでくれよ~! ・・・突然でしたよねぇ。今回の日本代表はヒデの無言のがんばりが痛い程伝わってきた大会だったなあ。能活(よしかつ:GK川口能活選手)も熱かった。そういうのがチーム全体に伝わってない日本代表がなにより寂しかった・・・」

オレ様 「ヒデが言ってたけど、普通『がんばる』なんて言わないよ。プロとして当たり前のことだからね、でもそれって一緒だな、サッカーでも何でも。おれらも仕事で言わないもんね「がんばります!」なんて。プロとしてそれは当然のことだから」

マドロス 「それが頭ではわかっていても、体現できるかどうかですよね。ジーコジャパンの選手でそれが出来ていたのは、ヒデと能活だけだったかもしれない・・・」

もじゃ 「日本代表はなんだかんだ負けですわ。でも僕らは勝った! なんてったって日刊スポーツの『熱きサポーター!ベスト32!』で第10位でしたからね。もちろん世界ですよ。世界10位!」

オレ様 「負けたから10位なんでしょ(笑)。決勝リーグの1試合目で負けたって感じかな」

マドロス 「あぁ、でもこのオーストラリアのシャンパンホントおいしいなぁ」

オレ様 「オーストラリアではシャンパンではなく、スパークリングワインと言うんじゃん?シャンパンと言えばフランス。ジダンだよね」

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もじゃ 「特にブラジル戦のジダンはよかった~。鏡月(韓国焼酎)飲みながら言うのもなんですが、あれぞ華麗なるシャンパンサッカー。フランス代表は、指揮者ジダンとそのオーケストラって感じでした。大会前の引退宣言でチームがひとつにまとまったのかもしれないなあ。勝ってジダンに有終の美を、って」

マドロス 「ヒデもジダンみたいに大会前に引退宣言してたら選手達の雰囲気・・・違ったかなぁ」

オレ様 「自分が引退宣言しても、周りの選手が変わらないであろう何かをヒデ自身は知っていたと思うんだよね。そういう人は孤高と言うか。わかっている人って周りにうるさく言わないもんだよね。でもチーム全体をまとめる力はまた違った能力で、ヒデ自身はそういう選手ではなかった」

マドロス 「じゃあ質問! オレ様は自分に置き換えてみるとどうですか? 仕事とか日常とかで全体をまとめる力のあるタイプ? それとも孤高な人ですか」

オレ様 「ヒデや能活とかと似てるところはあるのかな、でもどちらでもない。『がんばります!』とか『がんばれよ!』とかその部分をさらけ出すのはどうでもいいことだと思ってて、やっぱり結果が全てだと思っているから。プロはやはり結果だとおもう。そして言い訳をしないってことですよ・・・あれ、質問に答えてない?」

マドロス 「本作りだって、AD、カメラマンやイラストレーター、ライターに編集者・・・沢山の人が関わって一冊の本を作る。チームプレーじゃないですか。今回は結果、ヒデや能活の気持ちはチーム全体をまとめ上げられなかったと思うんですが、チームをまとめることの大切さや難しさって本作りにもありますか?」

オレ様 「自分に置き換えるとどうかなあ。カメラマンでもイラストレーターでも仕事をお願いするってことは任せることだから、細かいことはいちいち言わないよ、これもまた答えてない?」

マドロス 「それは信じてるってことですかね」

オレ様 「そう信じて託す! 信じてるって口で言いながら期待していたりする……。でも期待だけだと大体裏切られるんだけどね、期待してるってことはある意味不安を抱えてるってことでしょ。託す側はちゃんと道を作っておかないといけない。いい結果を出すには監督は道を作っておいておかないと、、、今回のW杯を観て改めて思った。道を作るのが監督でその道をおもいっきり走るのが選手! それが必要なんだと。」

マドロス「そのためには監督も選手も準備が必要ですね。4年後に勝つための準備」

もじゃ 「“侍なら明日死ぬ準備をしておけ”みたいなことを三島由紀夫も言ってましたよ! 大体、今回の日本代表の“サムライブルー”ってキャッチコピーも全然ダメです。“ブルー”って“憂鬱”じゃんよ! 負け感漂うコピーつけるなっちゅうの!(やや興奮気味) えーっと、だから・・・サポーターも含めて、やれるだけのことはやっていかないといけない、ということです!! グダグダ言うなら自分達もどこまでも追っかけてって、声を枯らして叫ばないといけないハズ。僕はいきますよっ! ね、そーでしょ? オレ様ぁ~! マドロスぅ!」

オレ様 マドロス「W杯の総括! 『期待は裏切られるもの』と思ってないとダメ! 自分がやれることを全力で出し切ったという裏打ちがないから、期待しちゃう。『信じる』って言うのは自分もやるだけのことはやったってことだ! サッカーも人生もそれが大切だ!」

もじゃ「あ、カラオケの順番来ちゃった。BOOWYの“B・BLUE”歌ってきま~す!」オレ様 マドロス「コラ、もじゃ!!」