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第19回 おもかじいっぱい、改めおもかじさんばい ぼくらの猛烈!ワールドカップ体験記


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僕はカメラマンのマドロス陽一こと長野陽一と申します。この度、5冊目の新刊『長野陽一の美味しいポートレイト』(HeHe) という料理の写真集を出版します。その中にはku:nelで撮り続けてきた料理写真もたくさん掲載されています。それらは美味しさだけではなく、料理を通して取材対象者の暮らしやストーリーを伝える写真たちです。島々のポートレイトを撮るように料理も撮り続けてきました。そして料理写真はポートレイトだと考えました。それを“美味しいポートレイト”と名付けます。ここでは旅した島で見たこと感じたことや、写真の話をしたいと思っています。

http://yoichinagano.com/

 

第19回
おもかじいっぱい、改めおもかじさんばい ぼくらの猛烈!ワールドカップ体験記

おもかじいっぱい、改めおもかじさんばい ぼくらの猛烈!ワールドカップ体験記

ついに2006年サッカードイツワールドカップが開幕しました。前回の「誓ったからね、無人島で」で書いたとおり、マドロスはオレ様(クウネルAD)、そしてもじゃ(クウネル vol. 20『ワシはボールが好きなだけ』文章を担当)とともにドイツ、フランクフルトにやってきました。ご存知のとおり、日本の初戦は痛恨の敗戦でしたが、ぼくら三人は最後まで諦めません!ということで今回のおもかじいっぱいはドイツフランクフルトからぼくらの猛烈!ワールドカップの体験記をお届けします。

6月17日(土) フランク

フルトの夕日が綺麗なレーマー広場のとあるカフェにて
マドロス「今日はスタジアムでポルトガル対イランを観戦したけど、イランが負けて予選敗退が決まっちゃいましたね。あ~残念! 今回アジアの試合はどこか元気ないなぁ…」
オレ様「アジアの人は他所の土地に来ると謙虚になるよね。でもイランのサポーターは負けたのに”イラン!イラン!”と街を闊歩してるよ。試合に負けてそれが出来るってすごいなぁ。日本は同じことが出来るかなぁ…」
もじゃ「ワールドカップはお祭りですからね。韓国に負けたトーゴもスタジアムでは勝ったように騒いでました。けど、あいつら(トーゴ代表)余力残ってましたよ。正直もっと悔しがれ!!」
マドロス「あ、店員さんカワイイなぁ」
オレ様「負けてもああいうふうに選手もサポーターも下を向かないってことは、ある意味羨ましいなぁ。豪州戦の後の俺たちのヘコみようっていったらなかったからね。特にマドロス! 君が一番へこんでた!」
マドロス「はぁ~明日のクロアチア戦のことを考えると…どうしよう…もじゃ…」
もじゃ「いや、大丈夫です! ヒデも残り2試合勝つって言ってましたからね。明日はもうパーティーナイト決定です。あれ、マドロス、電話鳴ってるよ?」
マドロス「あ、ホントだ(マドロス、どこかへ行ってしまう)」

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オレ様「ベルリンにはあんまりカワイイ娘がいなかったけど、フランクフルトは多いね。ウフ」
もじゃ「同感です!」
マドロス「(電話しながら大きくうなずく)」
もじゃ「どこの国の女の子がカワイイっすかね?」
オレ様「全部の国を見たわけじゃないからなあ~」
マドロス「(電話から戻ってきて)確かにね。でもイランの女の子はカワイかった!」
オレ様「やっぱりアジアだね」
マドロス&もじゃ「うん!(ふたりそろって)」
もじゃ「ヨーロッパの女の子は若い時はカワイイんですけど、年をとると…なんでああなりますかねえ」
マドロス「きっとソーセージとフライドポテトのせいでしょう」
もじゃ「あとビール!」
オレ様「ウチらの泊まってるアパートの近くにあるスタンド食堂(勝手に命名)は野菜サラダが充実してて、結構美味しいよね~」
もじゃ「しかしあのソーセージはやばいっすよ! 多量のケチャップにカレー粉! しかも皿から溢れ出んばかりのフライドポテト!! オウンゴールでしょ! そりゃあ腹出るっちゅうの!」
オレ様「出る出ないと言えば、日本代表はこっちのテレビに全く出ないねぇ」
マドロス「注目度が薄い(ガックリ)、明日の試合で見返したいな」
オレ様「日本人は街(サポーター)でもピッチ(選手)でも、”俺たちはここにいるんだ”と言うアピールが足りないと思うんだよ。日本人の良さとして、いいか悪いかはまた別だけど…」
マドロス「確かに…ぼくもいま注文するときについ思わず躊躇してしまいました。”コーヒーください”ってドイツ語で”コーヒービッテ!”だっけ?」
もじゃ「っていうか、ボクはアメリカで”ミスターコーヒー”って呼ばれましたけどね」
オレ様「それ、どういう意味?」

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もじゃ「アメリカでコーヒーを頼む度に、いつもコーラが出てくるんですよ。しかもLLサイズ。ボクの発音が悪いんですよね。で、次こそはと思って挑んだ店で、ハッキリと”コーヒー!”って言ったんです。何回もね。で、出てくるのを待ってたら、前に注文した人たちが順番に名前を呼ばれてるんですよ。”あれ、そういえばオレ、名前聞かれなかったなあ”って思ってたら、店員が”ミスターコーヒー、ミスターコーヒー”って呼ぶんです! ”あぁ、オレのことなんだぁ…”ってうなだれてレジに行ったら、コーラが用意されていました。サイズはもちろんLL!!」
マドロス「よしッ! コーヒービッテ!!(強くアピール)」
もじゃ「ええっと、なんの話してましたっけ?」
マドロス「日本人はアピールが足りない! コーヒービッテ!!」
もじゃ「そう! 僕らのこの格好を見て下さい! もはや遊びじゃないですからねえ、正直」
マドロス「そう! 真剣勝負! ぼくは昨日、夜なべして、衣装に赤い鳥の羽を縫いつけたからね」
オレ様「っていうか、俺たち毎日格好のことしか考えてないかも…」
マドロス「あぁ、そうだーっ! 日本の色の青いカバン買わなきゃ!」
オレ様「そうだよ! 日本が負けたのはあの緑色のカバンのせいだよ! だってオージーの色じゃん!」
マドロス「すいませんでした! アディダスの青いカバンにします! やっぱり日本代表と言えばアディダスでしょ。ぼくは衣装を全部アディダスでコーディネイトしてるんだ」
もじゃ「あ、ボク、靴がナイキだ…」
オレ様「ナイキはオーストラリア(のスポンサー)だよ~。クロアチアもブラジルもナイキじゃんよ~」
マドロス「ブラジルと言えば、昨日デパートで、セレソン三人衆(ブラジル代表のエメルソン、ジダ、アドリアーノ)と写真撮ったね(笑顔)」
もじゃ「イエ~イ! アドにピースさせちゃったもんねー!」
オレ様「アドって意外と小さかったなあ。プレー中とのギャップを感じた」
もじゃ「アレ(ハート)もちっちゃいんじゃん?」
オレ様「ブラジル代表は敵!」
マドロス「そうだ! あいつらに絶対勝つ!」
もじゃ「…ロナウジーニョ、デパートに来ないかなあ…会いたいなぁ…」
オレ様&マドロス「コラ、もじゃ!」

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