マガジンワールド

From Editors No. 1073 フロム エディターズ 担当編集より

担当編集より

銀座の職人は、真摯で、優しくて、そして食べるのも速かった!
今回の銀座特集、これまでとはちょっと趣向を変えて、新しいアプローチで特集がスタートします。テーマはずばり「名店の“切り札”ができるまで」。銀座には「この店に来たら、絶対にコレを食べなきゃ!」という一皿や一品、つまり“切り札”を持つお店がとても多いのです。その“切り札”ができるまでを、誌上でつぶさに公開するという初の試みです。

では、いったいどこのお店の、どんなお料理のメイキングを追うべきか。Hanakoが誇る知識豊富なベテランライター陣にリサーチしたところ、圧倒的な票を集めたのが『てんぷら近藤』。池波正太郎など数多くの文化人に愛され、今年4月のオバマ大統領来日の際、実は安倍首相との会食の場として候補にも挙がっていたという(当日の予約客に迷惑をかけるわけにはいかない、とお断りされたそうです)、当代きっての天ぷら職人・近藤文夫さんのお店です。今回はお忙しいなか、ご無理をお願いして、早朝の仕込みから『てんぷら近藤』の切り札ができあがるまでを、約6時間にわたって密着させていただきました。

天ぷら職人として40数年のキャリアを持ち、ミシュランの星を持つ名店の店主でありながら、近藤さんの語り口は穏やかでとても丁寧。若輩者である私の、素材や調理についての初歩的な質問にも、懇切丁寧に教えてくださいます。築地での仕入れが終わると、「じゃあ店に戻る前に、朝ご飯を食べていきましょう」と、場内にあるカレー屋さんでの朝食に、私とカメラマンもご一緒させていただくことに。

驚いたのは、近藤さんの召し上がるスピード。御年67の近藤さんが、仕入れに同行したお店の若い職人さんたち(おそらく20代)と全く同じスピードでカレーを平らげていくのです。さすがは銀座が誇る名店の職人、仕事も早ければ、食事も素早い! しかも我々の分までご馳走してくださったのです(感涙)。

近藤さんの愛情深いお仕事ぶりはぜひ誌面でお楽しみいただきたいのですが、今回の取材で改めて実感したのは“店は人なり”。ということ、名店には名人がいる。そして名人と呼ばれる人は、どこまでも真摯で優しい。そんな名人による名店が、信じられないほどの密度で集まっているのが、銀座です。この秋、そんな名人たちの“切り札”を味わいに、ぜひお出かけしてみてください。

担当編集 蜂須賀雄一郎


Hanako No. 1073

銀座で食べる。

581円 — 2014.09.25
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Hanako No. 1073 —『銀座で食べる。』

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