そこにないことはいいなぁ。そこにはないのかもしれないと思えた瞬間、じゃあどこにあるんだろうと考え始められるのがいい。Ａは絶対にＡだと考えた時点で思考は止まる。ＡはＢでもあるのかもしれないと考えられれば再び思考は巡り出す。この世の全てのものは、常にそこに在り続けるわけじゃない。形あるものはいつか壊れるし、地面だって動いてる。体の細胞は毎日作りかえられ、人も、場ごとに違う自分がいたりする。諸行無常。だからいつも心は柔靭なままでいよう。

絵・文／水野 学